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2004.03.28

チベットの悲報…じゃないや、秘宝

 「チベットの秘宝」(檜山良昭/広済堂文庫)入手。
 伝言板であさださんにご紹介いただいた小説です。あらすじからしてスゴイです。

 チベット王家に古代から伝わった黄金の冠、黄金の剣、黄金の錫杖。この三つの秘宝を手にした者は、世界を統べること可なり。といわれ、世界制覇の野望に燃えるヒトラーは、冠と剣をすでに手中にしていた。そして古代文書の解読で黄金の錫杖がダライ・ラマの所有であるのを知り、ヒトラーはひそかに奪取を命じた。謀報部員竜造寺大介は、大戦前夜のインドで反英工作のあと、幼少のダライ・ラマ十四世をかかえ列強の思惑で貴族たちが対立するチベットへ。そこで竜造寺は、ドイツ学術探検隊の不審な行動を目撃する。構想十年、史実を基に描く冒険小説。

 
 「ラマの錫杖」(96年)の文庫化で、当時一度読んだような気がするんですが、まったく記憶にありません(汗)。ヒトラーのチベット仏教傾倒説、日本人の先祖はチベット人説、カルカッタの暴動を扇動する陸軍諜報員……と、嬉しくなるような設定てんこもり。トンデモ説と史実をうまく料理して「これはこれでアリ!」にしてくれるのか、本編まで一緒にトンデモになっちゃうのか、キワキワの粗筋に期待は募ります。
 ……が! ストーリーを追う以前に、地の文の破壊力が満点で……。hihomap.jpg
 「お腹がすいたわ。お昼を食べに行かない?」「(略)あなたったら、トイレに立つときのほかは、椅子に座りっぱなしですもの。体に悪いことよ」……これが博物館に勤務してチベット考古学者の助手を務める女性のセリフ(頭悪そうだなぁおい)。
 「胃痙攣を起こしますぞ。(略)もっとゆっくり食べたらどうじゃ」…大谷探検隊の時代から20年以上現地で研究を続けているという日本人考古学者(ビザは!? パスポートは!?)。それにしてもこれは「どうじゃ」。
 「お父様はいつもこの調子なのよ。気になさらないでね」「竜造寺さんのばかあ!」……その娘。1935(昭和10)年ってこれが普通でいいんでしょうか。
 「日本人の旦那、外国人がやってきましたぜ」……これがチベット人の男のセリフ。1935年に書いた小説ならともかく、近代を舞台にした現代小説でこれは萎えます。
 「わたし(略)何も知らない言うたね。気ィつけたほうがいいね」……カルカッタで働く中国人元クーリーだそうです(わかりやす!)。1935年に書いた以下略。
 うあ~、宿直勤務の合間に読めるかな、と手に取ったけど、衝撃的なセリフの数々にストーリーが全く頭に入ってこないや、すいません。「通説」とかの真贋に突っ込むどころの状態じゃないです、うう。読み終えたら改めて報告、ってことで。あ、ちなみに、表紙めくってすぐについている「地図」もいい味出してます。

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Comments

確かにあまりのスゴさに悶絶しました。
構想10年。
10年あればもっと別のことが、と思うのは大きなお世話ってもんでしょうか。

ちなみに、戦前は中国に行くのに旅券だのビザは、
「朝鮮各地、満鉄、満州国内各鉄道沿線は勿論日中周遊経路による中国鉄道沿線並開港地点等の視察旅行には旅券の必要はないが、右以外の中国奥地旅行の場合には、帝国領事館を経て中国官憲から身辺保護の為め旅行者に与えられる一種の旅行免状とも言うべき「護照」を受けて行かれる方がよい(護照は銀二弗の収入印紙を添えて領事館に下付を出願すれば二ー三日、長くとも一週間内に受けることが出来る」だそうです。
(日本旅行協会「旅程と費用概算」(昭和10年版):漢字は旧字を改めました)

Posted by: あさだ | 2004.03.28 at 06:20 PM

【チベットと日本の百年】でドイツ隊のフィルムが上演されましたね。逆卍もなんか関係ありそう。

blog ってチベット語の表記みたいですね。星先生(彼女のチベット語教室に通いましたしたが、まったく身についていない)のTibetan Writer 2000 でちゃんとチベット文字になります、意味は?。
http://www3.aa.tufs.ac.jp/~hoshi/dictionary/tibwrpro.html

PS:裏ルンタさんにメールを出しておきました。

Posted by: 酔鬼(小関) | 2004.03.29 at 01:20 PM

>あさださま
 コメントありがとうございます。あさださんも脱力したクチですか(笑)。構想10年はその通りですよねー、10年(遠い目)。
 ビザとパスポートは満州事変その他了承済みの"お約束"のつもりでしたが読み返したらかなり頭悪い物言いになってました(すいません)。フォローありがとうございました。当時は日本語でも「護照(フージャオ)」という表記があったのかぁ。(でもやっぱチベット発掘研究は難しい気がするなぁ(笑))

>酔鬼さま
 ドイツ隊のフィルムですか。書き込めば面白い舞台装置になることは間違いない気がしますよね>1935年のチベット
 お小遣いで劇場で最初に観たもんだから"すり込み"みたいになって忘れられない映画「インディ・ジョーンズ魔宮の伝説」が1935年の上海とインドという設定なんですよね~。あれはワクワクした。
 ところで"blog"がチベット語のローマナイズみたい、というご指摘には「おおっ」。b-lo-ng(チベ文字を3つ並べてください)みたいな文字の並びを思いつきましたが、教えていただいたチベット語ワープロに入力してみたところ
http://lung-ta.cocolog-nifty.com/lungta/blog.jpg
こんなん出ました。わお上下に重なっとるう!! 調べたら、「blo」(手前の文字)は「心」「気持ち」「精神的な働き」みたいな意味のある重要単語のようです。ngの後ろにさらにnをつけてngan(悪魔、害悪、いたずら、不運)として、blo-nganで「悪意」「悪い心」みたいな意味になるようです(辞書によれば)。「ちべ悪意@うらるんた」ですか……ふ…深いなあ(>違うか)。
 なんかかっこいいし後でチベット文字の画像作ってタイトルのところに入れようかしらん。
 あ、blogの(本来の?)意味は「web-log」(web=蜘蛛の巣⇒インターネットの電子網/log=航海日誌、飛行記録⇒記録、データ蓄積)から来ていて、「Web上に残す記録」みたいな意味だと思います。
あ、それからメールもありがとうございました。返信出しました。

Posted by: うらるんた | 2004.03.31 at 02:29 AM

 bloの例は(gにこだわらずに。nganのngとblogのgは別音です)やはりblo bzang(心・良い:人名「ロプサン」)のほうがよいでしょう。「思いやりの心をもった@うらるんた」。…ふ…深いなあ。
 別府のロプサンのHPはhttp://www.apu.ac.jp/~lobsado1/index.html。
 blogは「to listen to,to pay attention to」の意です。

Posted by: ichhan | 2004.04.03 at 01:36 AM

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