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2004.05.21

チベ系j-pop? 東京エスムジカ「月凪」

tsukinagi.jpg 「チベットをテーマにした歌詞内容で、チベット語コーラス部分もあるらしい」と聞き、「月凪」(東京エスムジカ/ビクターエンタテインメント)を入手。
 「世界ふしぎ発見!」(TBS系)のエンディング・テーマ曲で、公式サイトによると、

「月凪」
歌詞のテーマはチベット。この地での愛の終わりを痛む人、そしてその心が醸し出す幻影を歌う。ラストのコーラスはチベット語で作詞されおり、この絶妙なオリエンタルで不思議な夢幻世界から“東京エスムジカ”の世界が始まる。

だそうです。ラストのコーラス、テレビでも流れるんでしょうか。

 聴いた感想。
 イントロにチベットっぽい音源(ギャリン&ティルブっぽい)とコーラスが使われてます。「オンマニ~~ィペメ~~」。おおっ、チベット人バックコーラス!? と一瞬期待しましたが、「サンプリング」としてCD名のクレジットが入っているので、どこかから音源を持ってきたのかも。
 女性ツインボーカルは、石垣島出身のほうの女性の、島唄っぽい歌いまわしが心地よいです。
 歌詞は「チベットがテーマ」と明言されてますが、漠然とした抽象的な言葉遣いの歌詞なので、何かチベット的なモチーフが歌われているというよりも、あくまでも「イメージ」と考えたほうが良さそう。だいたい出だしが『海鳴りがうたかたの月に凪いで』だもん(チベットに海はありません)。
 そんで、うらるんた的興味・関心といえば何よりも『チベット語歌詞』のその1点に尽きたわけですが……歌詞カードがチベット語(しかもウ・メー)表記だよ……!! (←ウメー読めない)※ウ・チェン(活字体)もいろいろ組み合わさってるのはてんでダメですが
 ちなみにチベット詞部分の作詞は「チベット詞協力:リンジン・ギャリ・野口」(和光大や拓殖大でチベット語を教えるチベット人の先生です)「協力:チベット文化研究会」とあり、「作詞こだまさおり氏ってチベット関係者? 何かチベット詩から一節を引用したの?」 などとあれこれ考えた疑問は霧消いたしました。そらー本格的なわけだ(歌詞ウメー表記だもんなぁ)。
 ちゃんと日本語訳詞がついており、次のように書かれています。

東方の山の天辺に
十五夜お月様が出ると
あなたの顔が心に浮かんできます
そして私は幸せを感じるのです
 恋に生きた放浪の詩人ダライ・ラマ6世の有名な詩「東方の山の頂」を思わせるフレーズですねー。(映画「チベットの女イ シの生涯」にも引用された詩で、このへんに中国人が訳した文章があります)友人がチベット語講座で訳してくれた和訳は以下。
東方の山の頂きから
白く明るい月が昇った
未生の母の御顔が
心にめぐりめぐった
 古典を重んじるチベット文化ですから、本歌取りなのかもしれません。よしっ、ならば耳コピに挑戦!! と思ったのですが……わ、わっかんねぇ(泣)。
 シャルでぃデぷりツェワー
 チョンゲーダワしょーちゅー
 キェランィしぇーほーちゅー 
 キィポでぃお~し~ら~
 いらはいディーうぉんちゅ~
 (1~3行目繰り返し)
 ンゲーィーラてぃーげっちゅ~(以上耳コピ)
 東方の=シェ(ル?)▽十五夜=チェンガ▽月=ダワ▽あなた=キェラン▽幸せ=キィポ▽私の=んゲー……など、単語を類推できるところを頑張ってみたのですが、「ゲッチュー」とか「ウォンチュー」とか聞こえるし。ダメですね、そうですね。(しょぼん)

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Comments

 早速「月凪」を買ってきました。うらるんたさんが指摘されているように、このチベット語詞はダライラマ六世の歌の本歌取りと思われます。字が小さすぎて読みづらい。もっと度の強い眼鏡がいるなあ。困った困った。
 チベット語は早すぎて私にはむりなので、歌詞カードを信じて聞き取ると、次のようです。

shar phyogs ri'i rtse la,
bco lnga'i zla ba shar dus,
khyed kyi zhal ras dran 'byung,
mgyogs po mjal rgyu byung na,
yid la bde skyid yong ngo.

shar phyogs ri 'i rtse la,
bco lnga'i zla ba shar dus,
khyed kyi zhal ras dran 'byung,
yid la bde skyid yong ngo.

シャルチョック リボイ ツェラ(東方の山の頂に)
チョガイ ダワ シャルドゥ(十五夜の月が出るとき)
キェキ シェレー デンチュン(あなたのお顔を思いだしました)
ギョッポ ジェーギュ チュンナ(すぐさまお会いできたなら)
イーラ デキィー ヨンゴ(心に幸せがやってきます)
 *歌詞カードでyid la bde skyid yong ngo.となってますが、どうしてもyid la bde skyid 'byung (イーラ デキィー チュン)と聞こえます。

 ところでチベット人がこの本歌を曲にした楽譜(「在那東山頂上」 『蔵族女声独唱歌曲選』p53-4)も見つけましたが、楽譜も読めず音痴でCDの「月凪」の曲とどうつながるかはわかりません。この歌はダライラマ六世の「倉央嘉措情歌」の中のひとつで、チベット人なら誰でも知ってる歌です。
 その歌の中国語・英語訳はいろいろありますので、以下いくつか紹介します。

本歌(.蔵文:tshangs dbyangs rgya mtsho'i mgul glu snyan 'grugs kyis bkod pa bzhugs so)
1.shar phyogs ri bo'i rtse nas (在那東山頂上)
shar phyogs ri bo'i rtse nas,
dkar gsal zla ba shar byung.
me skyes a ma'i zhal ras,
yid la 'khor 'khor byas byung.
 和訳はうらるんたさんのコメントをみてください。

B.中文(『第六代達頼喇嘛倉央嘉措情歌』)
従東辺的山尖上,
白亮的月児出来了。
”未生娘”①底瞼児,
在心中已漸漸地顕。

 ①”未生娘”系直訳蔵文之ma-skyes-a-ma一詞。系”少女”之意。
 また庄晶訳(『倉央嘉措情歌及秘伝』p11)によればma skyes a maは”嬌娘”(かわいらしい女の子)。そして同頁の注釈によれば、「ma skyes a ma.一詞,,有人訳作少女,佳人・・・・・・・,是対”未生”一語的誤解。這個詞並非指”没生育過的母親”即”少女”,而是指情人対自己的恩情象母親一様,・・・(以下省略)」とあります。王沂暖訳(『蔵族女声独唱歌曲選』p54)では”未嫁少女”。

C.英文(『The Love-songs ot 6th Dalai Lama
  Tshang・yang Gya・tsho』)
From the mountain peaks in the east,
The silvery moon has peeped out.
And the face of that young maiden,
Has gradually appeared in my mind.

 注
A.蔵文(『倉央嘉措及其情歌研究(資料匯編)』p79)は4種で同じ。
B.中文訳は於道泉(1930)訳(同じくp209)など十種。
C.英文訳は於道泉訳(同じくp190)。ダラムサーラの図書館(LTWA)からも「Songs of the Sixth Dalai Lama」がでていますが、友人に貸してしまい紹介できません。
D.題詞(1の蔵文・中文)は庄晶(同じくp148・p348:『倉央嘉措情歌及秘伝』)による。B・Cの題は本歌名ではなく、書名です。
E.中文の注にあるように、”未生娘”はダライ・ラマの暗喩として聞くことが可能です。

直接リンクするにはどうしたらよいのでしょうか。
 楽譜:http://ichhan.hp.infoseek.co.jp/mark/6thdalailama1.jpg
 『蔵族女声独唱歌曲選』:http://ichhan.hp.infoseek.co.jp/list/tibetc2.html#kakyokusen
 『倉央嘉措情歌及秘伝』:http://ichhan.hp.infoseek.co.jp/list/tibetc1.html#6thdalailama2
 『倉央嘉措及其情歌研究(資料匯編)』:http://ichhan.hp.infoseek.co.jp/list/tibetc1.html#6thdalailama1
 『Songs of the Sixth Dalai Lama』:http://ichhan.hp.infoseek.co.jp/list/tibete3.html#6thdalailama

Posted by: ichhan | 2004.05.23 at 07:54 PM

 わすれました。楽譜の続きです。
http://ichhan.hp.infoseek.co.jp/mark/6thdalailama2.jpg

Posted by: ichhan | 2004.05.23 at 07:58 PM

 友人に貸していたダラムサーラの図書館にあるLTWA出版の『Songs of the Sixth Dalai Lama』がかえってきました。
http://ichhan.hp.infoseek.co.jp/list/tibete3.html#6thdalailama

そのK.Dhondup氏訳はつぎのとおりです。

Over the eastern hill rises
The smiling face of the moon
In my mind forms
the smiling face of my beloved

Posted by: ichhan | 2004.05.29 at 08:35 AM

>icchanさん
英訳とリンクありがとうございます。リンクはタグを打たなくても「http~」記載で自動的にリンクになります。
群馬だけかも知れませんが、ファミリーマートでヘビーローテーションしてるみたいですね。ファミマで2回聴きました>「月凪」 でも、最後のコーラスまでかかる前に「初夏のオススメは……」みたいなナレーションが被ってしまい、チベット語が流れず惜しいです。イントロの「オンマニペメフム」はテレビでも流れてるんでしょうかねー。(←「ふしぎ発見」あまり好きになれず見てません)

Posted by: うらるんた | 2004.06.07 at 05:47 PM

 いま(朝9時5分頃)TV(「題名のない音楽会 21」:関西は6Ch)で東京エスムジカが「月凪」を歌っていました。日本語歌詞のあとにチベット語も歌われ、その歌詞もカタカナでテロップが入りました。その最後の歌詞とテロップは5月29日のコメントで書いたように、イーラ デキィー チュン(yid la bde skyid 'byung:心が幸せになった)でした。
 チベット語の音をカタカナ表記するのは非常にむつかしいので、bco lnga'i zla ba shar dus(十五夜の月が出るとき)をチョガイ ダワ シャルドゥなどと表記しておきましたが、今回録画できなかったので、テロップのカタカナと私のカタカナ表記が違っていたのかは確認していません。


Posted by: ichhan | 2004.07.04 at 09:38 AM

icchanさんご無沙汰です。
こちら(関東)では、やはり早朝にTV出演があったらしいのですが、私も全然知らず、聞き逃しました。某サイトにテロップを写したらしいものが載っていましたが真偽不明(あるいはカラオケに入っていてそこにはカタカナ字幕がついているらしいのでそっちかも)。それによると
> シャル チョク リィ ツェ ラ
> チョ ンゲイ ダワ シャル トウ
> ケ キ シェーレ コル チュン
> ギュポ ジェルキュ チュン ナ
> イ ラ テキ レプ チュン
だったようです。
「すぐに」は「ギョッポ」、「幸せ」はテキではなく「デキ」のほうが原音に近い気もしますが、とにかくicchanさんが書いておられた
「歌詞カードの原語では『デキィヨンゴ』(幸せが訪れます)は『デキィチュン』(幸せになります)に聞こえます」
という部分、公式カナ表記でも「デキィ チュン」のようですね。……あれ、「デキ レプ チュン」?
 ……とりあえずもう既に私のチベット語聞きかじり能力を超えているのでこれくらいで済みません。

Posted by: うらるんた | 2004.07.06 at 01:58 AM

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(チベットゴ) 月凪の最後の部分に登場する。 チベット文化研究所の協力により「これでチベットの人が聴いても大丈夫(早川)」らしい。 歌詞の内容等については下記の... [Read More]

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