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2004.06.20

「チベタン・スマイル2004」その1

ts200401.JPG チベット難民学校「チベット子ども村(TCV)」代表のジェツン・ペマ女史を招いたイベント「チベタン・スマイル2004」に行ってきました。
 別件で上京しなきゃと思ってたんですが県外に出られる6月の休日が19日しかなく、相手方にその旨連絡を取ったところ「その日なら(チベタン・スマイルの)会場にいます」とのことで、もろもろの用事も兼ねての上京。……と、自分の消極的っぷりを強調しても仕方ないんですが、なんか見たことのある方々が揃いのTシャツでまめまめしく働いていらっしゃいまして。一等地(赤坂)、大会場、大人数にもかかわらず、手づくり感あふれる(逆の見方をすれば“内輪感”“身内感覚”でもありますが……)、心地よいイベントになっていて、参加して良かったなあと思いました。
 以下、簡単なご報告など。

 講演会開始前に開かれた、ジェツン・ペマ女史とTCVスポンサーとの交流会の様子です。「スポンサーと直接会いたい」という、女史のたっての希望で開催されたとのことでした。ごらんの通り、30人程度が膝と膝をつき合わせて向かい合う、非常になごやかな交流会でした。
ts2004001.JPG
 本来的な意味でいうと、「ルンタ・プロジェクト」はTCVスポンサーとはいえない(*)んですが(ごめんなさい)、どさくさで参加してしまいました(もっとごめんなさい)。同じ会場と聞いていたので、400人の会場で、スポンサーが100人くらいいる前で内輪の話をするんかな~、なら横から聞かせてもらおう、程度のつもりだったので、小さな部屋のアットホームな雰囲気にどぎまぎ。ルンタで里親をしてくださってるぽちさんとSさんも参加されてました。ぽちさんは20tコンテナでTCVに衣服とメンツィーカンにエアーベッドを輸送した「久留米チベット文化交流会」の代表も兼ねての参加です。

 (*)「TCVスポンサー」というのは、一義的にはTCVのスポンサーオフィスに直接ドネーションしたり里親費用を払っている人を指すと思います。身寄りが全くいないなど困窮した状況の難民の子どもたちはこうした寄付で支えられて学費も食事も寮費も全額免除で勉強することができます(TCVの里親制度は年間1人300$くらいの設定になっています)。そうした最低限の補助を受けられない(例えばダラムサラに両親がおり当然ながら寮費や食費は支払い義務があるなど)、でも困っている(病気になって収入がなくなった、夫が暴力をふるうので逃げてきたが正式な離婚手続を取っておらず「母子家庭」とはみなしてもらえない、TCVを卒業するが進学費がない、など)難民の家族からルンタ・プロジェクトにSOSが入り、そうした子どもたちの生活費や学費を1対1で支援してるのがルンタの里親なので……。あと、ルンタ宛に送っていただく衣類も、内容によって関係者や幼稚園、一時収容センター、TCVに振り分けて贈っているので、最終的にTCVにいくケースも多いとはいえ直接的な“スポンサー”ではないかもしれませんね。このへん混乱されてる方もいたようで申し訳ありません。でも、支援の入り口はいくつもあって、出口が全部チベットにつながっていればいいと思いますのでね。

 他には、MLリンカで募ってグループで里子支援をしている「チーム・リンカ」(←嘘です今私が勝手に呼びました)、菊池体操さんとTashi久保さんの「キク」などのTCV支援グループ、個人で衣類を贈られたことがあるという方、どんな支援方法があるか分からないので数カ月前にTCVを訪ねてきたという母娘さん、などがいらっしゃいました。
 ↓真剣な表情でスポンサーからの質問に答えるジェツン・ペマ女史です。 
ts2004002.JPG まず女史が挨拶。
 「現在、TCVでは200人程度の子どもたちが(里子として)日本からの支援を受けています。今回来日が決まった時、支援者、スポンサーと交流したいと思いました。また、スポンサー側から欲しい情報があったら教えてください。続けて情報提供できるよう努力したいと思っています」とあいさつ。「里親の方々には、TCVから里子の写真や履歴書が届いていると思います。子どもたちが自立することがTCVの一番の目的であり、それを支えてくださる皆さんにお礼申し上げます。子どもたちとコミュニケーションをとる上での要望などあればお聞かせ下さい」とのことでした。
 30人程度の参加だったので、グループごとに簡単な自己紹介。なかに、都内で共同生活をしているフリースクール(だったかな)の子どもたちが、「質問を用意してきました」と、緊張した表情で紙片を手に質問してくれました。以下、印象に残った一問一答です。
 質問「辛いこと、いやなことがあった時はどうしますか」
 女史「つらい時は、もっと広い視野で考えて、自分よりももっとつらい立場にいる子どもたちのことを考えてはどうでしょう。世界にはいろんな境遇の中にいる子どもたちがいます」
 質問「将来、どんな人になってほしいですか」
 女史「チベット語では家族のことを『キンサン』といいます。TCVの子どもたちは、ひとつのキンサン(家族)のように、20~30人が『ホーム』と呼ばれる家に住み、そこでは親の役割をする夫婦がいて、子供や兄弟のように愛情を持って育てています。学校の勉強ももちろんですが、法王のおっしゃるように、究極の目的は『人のために役に立てる人』に成長して欲しいと思っています。子どもたちは能力も適性もそれぞれ違うので、貢献できる人に育ってほしいと思います」
 ts200402.JPG 質問「子供村の子どもたちが大切にしているものは何ですか」
 女史「一番小さな子どもたちは遊ぶことが大好きです。中ぐらいの子どもたちは勉強が大切だと思います。そして大部分の子どもたちは、また大きくなると、法王のお言葉や法王のことを大切に思っています。」「家族単位の30~40人の部屋にはいると、いろんなものが壁に貼ってあって、それを見ると子どもたちの好きなものが分かります。サッカーが大好きで、サッカーの写真がたくさん貼ってありますね。それから法王の写真は必ず貼ってあります」
 質問「世界が平和になるにはどうしたらいいと思いますか」
 女史「法王がいつも言っているのは、『平和の最初の出発点はそれぞれの心の中から始まる』ということです。その心構えをどうするかは、チベット仏教のなかで語られていますので、仏教を知れば分かるようになると思います。今、皆さんはとても忙しく、プレッシャーの多い日々を送っていると思いますが、1日のうち5分でも10分でも、自分がやっていることややろうとしていることについて、深く見つめ、考えて行動したらよいと思います。」
 質問「今まで一番幸せだと思ったことはなんですか」
 (子供の頃の思い出話をされていらっしゃいましたが、別の方から話し掛けられて内容を聞き取りそこねました。どなたか覚えていたら教えて下さい)
 その他、里親になっている方からはこんな質問も。
 「里親になっている子供から、『10月23日のアニバーサリーデーに来て欲しい』と手紙をもらいました。10月23日は何の日ですか」
 女史「10月23日はTCVの創立記念日です。例年10月23日に、また法王の滞在予定日には前後にずらすこともありますが、記念行事をしています」
 また、2カ月前にダラムサラのTCVを訪ねたという母娘さんからは「2カ月前にダラムサラのTCVへ行った時、ドミトリーの壁に『11月チルドレンズデイ』という紙が貼ってありました。これはチベットのお祭りですか。また、どのような支援をしたらいいですか」という質問がありました。
 女史からは「11月の『こどもの日』はインドの祝日です。ネルー元首相の誕生日にちなんだ記念日です。TCVでもインドと同様に祝っています。また、支援ですが、TCVには年間400~500人の子どもたちがヒマラヤを越えて教育を受けるために来ています。里親になっていただくのが一番良いと思います」と答えていました。
ts2004003.JPG 別の里親さんからは、子供(里子)から届いた手紙の内容についての質問も。「『モデルスクールに進学する』と手紙に書いてあったのですが、モデルスクールとは何ですか」。
 女史「モデルスクールは、イタリアの有名な声楽家パバロッティが支援コンサートを開き、開設される学校です。既に建物が建設中です。優秀な子どもたちを選び、施設や先生も相応のものを整える予定です。今年は12学年のうち、(中学生にあたる)6,7,8年の子どもたちを選抜して成績が良い子を入学させる予定です。来年は5年生以上から選びます。教師も優秀な人材を選び、設備も内容に見合ったものを作りたいと思います。選抜される子供は、インドにあるTCV全18校から試験を受けて選ばれる予定です」
 ――ふぇえ、知らなかった。日本でも中高一貫教育だの飛び級だのやってますが、TCVもいよいよ「全員に最低限の教育を」の時代を終え、「上に行ける人間から上へ」のエリート養成時代ですか。凄いなあ。
 他にはこんな質問もありました。「インドでチベット人としてのアイデンティティを維持することは困難だと思います。チベット人としての教育に力を入れているのか、あるいはインド人的なものであってもチベット人はチベット人であるとお考えですか」
 女史「現代教育の中で、宗教、文化、伝統を身に付けられるよう、アイデンティティを維持できるよう努力しています」
 ちょっと概念的に難しい質問で、交流会の場の雰囲気にもそぐわなかったし、通訳のケルサンさんも大変だったかも。時間切れで駆け足の回答になってしまい残念でした。別に何かインタビューの機会をもらえたらじっくりと聞いてみたいな(英語で直接)、と思いました。

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