コンサート「黄金の華(セルキ・メト)」
チベット人の友人から誘われてチベット人ミュージシャンのコンサート「黄金の華」へ。「チベット人の間でとても有名で、TCVにいた頃皆が聴いていた歌手です」と言われ心動き、急に休みがついたので無理矢理上京。このところ血中チベット濃度が低下中で低血チベ状態だったし。
新宿のお寺が会場と聞いて、なぜか一人勝手に野外コンサートだと思いこんだ私。セーターにマフラーまで装備して、ものすごい厚着で出かけたのに、着いてみたら立派なホールでした。着いたら既に満席で後方には立ち見がびっしり。眼鏡も曇る熱気! チベット人が多数、知人の姿もちらほら。誘ってくれた友人以外に、さささんと地元のMASSさんもいらしてました。
コンサートは、TIPA(Tibetan Institute of Performing Arts 亡命政府チベット舞踊芸術学院)出身で米在住のテチュンさんとチミ・ユドゥンさん、日本人ダムニェン奏者タシ・クンガさんの歌と演奏。チベット音楽というとちょっと前までは声明やお寺でお経とともに演奏される仏教楽器(ギャリンとかカンリンとか)が中心でしたが、チベット・フリーダム・コンサートが日本でも開催されたあたりから民間音楽が増えてきた感じ。今回は、1920~1930年代にラサで人気を集めた伝説的なダムニェン奏者の作曲した曲を中心にした、とのことでした(詳しくない私にはもちろん知らない曲ばかり)。
チベットで、歌は生活とともにあります。私が思い出すのは、サムイェ郊外で冬に備え牧草を刈り取る人たちに出合った時、1人がダムニェンを演奏して歌を歌い、皆が唱和しながら刈り取った草を積み上げていた仕事歌。歌声に惹かれて近寄りながら、「なぜこの人だけ遊んでるんだろう? うたなんか歌って」と思った私のバカだったこと。それから、ダラムサラで過ごしたロサル。歌いながら酒を勧められ(チャンシェ=酒の歌)、歌い終わるまでに杯を空けないともう1杯飲まなければいけない! 酒が弱くドツボにはまった私とN氏は、何度その美しい節回しを聴いたか……。そしてそれから、成都の西南民族学院(現在は大学)の週末、どこからともなく集まってくるチベット人学生たちの踊りの輪……。
演奏がどんどん速くなる「ソナム・パンゲ」、「オムマニペメフム」のリフレインが入る「チム・ゲー(ディの歌)」……テチュンさんのダムニェン演奏はダイナミックで、曲のサビには足拍子が入り、床を踏みならしてリズムをとります。チミ・ユドゥンさんは歌いながら腕を交差させ、たおやかな振り付けで体全体で表現。
ああ、野外コンサートだと思いこんだ理由が分かった気がする。これってやっぱり、一緒に体を動かしステップを踏んで楽しむものなのに違いない(>決めつけですが)。チミ・ユドゥンさんの手振りが会場から自然に沸いてくる音楽なのに違いない。っとまあ、そんな気分にさせてくれる楽しい演奏でした。
弓で弦を弾く「ピワン」(中国楽器の胡弓の古いタイプに含まれるらしい)を演奏しながらオリジナル曲「シュエカンセン(Snow Lion of Peace)」を歌うテチュンさん。二胡などは一般的に椅子に座り、膝で楽器を固定してソロで奏でますが(だから女子十二楽坊の集団立ち弾きは驚かれた)、テチュンさんのピワン演奏は、立て膝をついてワイルドに弾き鳴らし、間奏では腰だめにピワンを抱えてタテヨコにスイングさせながら回り踊ったもんね! かっ、格好いいっ。もうほんと、ステージが狭くてもったいなかったです。
やはりここは「女子十二楽坊」に対抗して「ぽもちゅぐににゃむしぇ」(女性+12+みんなで音楽/正しいチベ語なのかどうかは知りません)を結成してもらうしかないのではっと。テチュンさんはCMO(China Music Orchestra/YMOをカバーしたイケ面ギャミ民族音楽バンド)の真ん中とってる揚琴奏者よりカッコイイしステージアピールも上だ!
伝統音楽もいいけど私のような素人にはずっと聞き続けているのは辛いので、もちっと現代風にビートなぞ入れて、BEGINのウチナー音楽とかディック・リー(古っ!)の曲みたいなの作ってくれないかな、とかね。
終了後は友人が隣り合わせた日本人女性2人をナンパ(!?)+TCV出身のチベット人留学生2人とその友人でダラムサラで1年弱チベ語を学んだ仏教の専門家+MASSさんの計8人でお茶。チベット話尽きず。さらに4人は流れてインド・パキスタン料理「カラチ」。店主はパキスタン出身ということですがヒンディー語もぺらぺらで、チベット人2人はヒンディー語にシフト。日本人同士と友人は日本語、私以外の3人はチベット語、たまに4人全員で英語、注文はヒンディー語という怪しいテーブルになりました。キポチュン(楽しかった)。
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Comments
せるきめと こがねのはな
新宿の寺までは10分で着くところに住んでいますが、何故か行かず、今日御茶の水に行ってきました。
イケメンですね。CDとカレンダーを買ってきましたがCDにはグッとくる哀愁を帯びた曲が多い。ネーネーズとのコラボレーションは合いそうですが、ネーネーズは解散したみたい。知らなかった。1920年代の歌には prof. ☆さんも注目していました。
http://www.cosmos.ne.jp/~miyagawa/text17.html">http://www.cosmos.ne.jp/~miyagawa/text17.html
Posted by: 酔鬼 | 2004.11.14 01:11 AM
ここのレポートを読めば、行かないわけにはいかんだろう、ということで、私もお茶の水公演に行きました。
(先週はカゼで死んでました。残念)
チミさんの水晶の声との評価は偽りナシ。
テチュンさんとクンガ・タシさんのダムニェンについては、テチュンさんは、日本に来る3日前に初めてタシさんに会ったって(本当か冗談か判りませんが)言ってましたが、ぴったり合ってました。
Posted by: あさだ | 2004.11.14 09:21 AM