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2005.02.25

国立大入試でチベット

 群馬大教育学部の2次試験にチベットが!
 ……いや、まあ、試験そのものとはあまり関係ないんですが。

 チベットには、鳥葬という習慣がある。人は死ぬと、僧侶によって魂が抜かれ、死体は、山上に運ばれる。そこで死体は、処理人によって解体され、死肉が鳥に与えられる。むろん、鳥葬場の下方には立派な寺院があり、荘厳な祈りが欠かされたことはない。
 一体、人間の肉体に対する、この、過酷な処理は、何を語るものであろうか。
 鳥葬場の不思議に惹かれて、チベットを訪れたばかりの私は、人間の肉体に対する精神の優位を、いよいよ考えざるを得なくなったが。
<新人物往来社編『日本全国いちど行きたいユニーク美術館・文学館』1999>
 ……えーと問題文の抜粋です。チベットです。これだけじゃ「なんだなんだ?」って感じですか。
 この文章の前後には
(前に)「本の墓場である文学館には、小説修行中の私にとっては、自分の肉体の墓場以上の墓場だ、という強い憧れがある。」、(後ろに)「文学館も美術館も、そこに収められた作家達は、精神が肉体を乗り越えた、稀なる人々である。彼らの精神とゆっくり向き合う時、人は、成熟を重ねずにいられないだろう。」という文章が続いておりまして、さらに別項(A)で、アメリカ国内各地にある「チルドレンズ・ミュージアム」という、参加体験型の、明るさと色彩に満ち常に楽しそうな笑い声と陽気な喧噪に溢れているという文化施設の紹介文(目黒実「チルドレンズ・ミュージアムを作ろう」1996より引用)が示されていまして、問題文は
[問] 社会における文化の継承と創造という課題について、美術館・博物館・文学館等の施設は重要な役割を担っている。その機能を果たすために、今日、多様化する利用者のニーズを踏まえながら、さまざまな工夫も試みられている。
 さて、下記の文章(A)と(B)は、これらの施設について記されたものである。(1)両者の相違点を整理した上で、(2)これらの施設のより望ましいあり方について、あなたの意見を述べなさい。(500字以内)
 となっておりまして、わははは、やっぱりチベットは本題と関係ないっすね。一体突然どうしたんだろう(笑)。
 そんで「へぇー」と感心したのは、引用されている問題文のチベットの鳥葬のくだりが、基本的に間違ってなくて的確だってこと(ほぼ的確だよね?>詳しい方)。
 「遺体を切り刻んで鳥のエサ」的な、猟奇的な強調(まあ確かに日本国内でやったら死体損壊罪だ)はなくて、ちゃんと一段階「僧侶によって魂を抜かれ」というプロセスが入ってるし、「鳥が魂を天空に運んでいく」的なロマンチックな勝手解釈(中国文献を参考にしている本にけっこう多い。また、そういう解釈方法も皆無ではないらしく、完全に間違っているとは言い切れないらしいけど)も入ってない。引用文のその内容まで正確かどうかなんて出題者の知ったこっちゃないだろうけど、関係ない場所でふっと見かけるチベット関連記述ってけっこうツッコミ入りまくりのことが多いので、へーさすが国立大入試(あんま関係ないかも知れんが)、と感心したことでした。
 あ、問題は教育学部「文化・社会系」の小論文(60分)です。しかし難しい問題だなあ。

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