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December 2005

2005.12.31

大晦日ルンタ作業

post01 今年も最後のルンタ作業。
 「難民学校の子どもたちへ」とご寄付いただいたクレヨン(総量約45kg!)を、合間を見てインドのルンタ事務局にあて発送、と思いつつ、半量の20kgは9月に一度発送したんだけど、その後なかなか梱包する時間や場所の確保とか郵便局行くタイミングが取れなくて、車の荷台にのっけたままずーーっと走っていたのを、そのまま帰省してしまった宇都宮の中央郵便局から送りました。
post02  いただいた状態では、クレヨンがきっちりと綺麗に梱包されて箱詰めされた段ボール3箱だったんだけど、そのまま転送してしまうと商品とみなされて関税がかかる懸念があるので、いったんばらばらにして10個ずつ小袋に入れ、ルンタ宛の他の物品と一緒に箱詰め。(右の画像は作業中なんだけど、手伝いの家族から後で「クレヨンが見えるように撮らないと意味ないじゃん」と指摘された…さすが報告書とか書きなれてる鋭さ。すいません)post03
 家族を巻き込んで、深夜の郵便局で作業台を占有、1時間半がかりの大作業(←ヒンシュクもの)。ま、1人でやったらもっとかかったと思うし。宇都宮市民は年賀状書くのが早いのか夜中出歩く人が少ないのか、そんなに人は多くなかったのでご容赦。
 ご寄付いただいてからすんごく時間かかってしまいました(すみません)。既に、先発の1箱目は11月にダラムサラを訪ねた滞在中にたまたま到着。手渡しでTCV(チベット子ども村=難民学校)に贈ることもできたし、この梱包方法で無事に届くことも確認できたし、あとは現地に届くのを待つだけです。末尾になりましたがお礼申し上げます。

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2005.12.30

ちぇーずーてぃんばーでー

 仕事の片付けとか帰省準備とか。
 やらなきゃならないことを目の前にすると別のことをしちゃう性格で(ホントすいません)、以前に風来坊さんに加工してもらった(オープンソースの)BBSスクリプトにようやく手を入れました(ありがとうございます)。バージョンアップしたスクリプトももらったんですがそっちは加工してるうちに壊れた……(ごめんなさい…)。帰省したら暇になって時間もできるんだけど、ネット環境もなくなってやれることもなくなるので、その分出発前に片付けることが増えてあうあう。
 作ってみたBBSは↓です。まだよく分からない所は使ってみてこれから変えます。
 http://www.lung-ta.jp/bbs/yybbs.cgi?

 ところで「この季節は『カンパ襲来』に反応しちゃいますね」のチベソラミミ。
 マイナーエリアを愛する悲しさって共通するもんがあるのか、知り合いと話してたら「テレビ見てたら突然ビルマ語が聞こえてきて、最初はなにかの空耳だろうと思ってあえて気にしないように努めたら本当にビルマ語だったのでもっとビックリした」んだそう。公共広告機構のワクチンキャンペーンのCMだそうで、言われてみれば見た記憶が。アジアっぽい子どもが映っていて、どこかの柔らかい言葉でナレーションされてたのは覚えてるけど、そうかー、あれビルマ語だったのか! ビルマ語ってあんな抑揚なんだーいい感じ…(←ミャンマー行けなかった恨みが)。それにしても言われるまで気にも留めてなかった。チベット以外にはつくづく冷たいなー自分(反省)。
 そんで「最初は空耳だと思った」知人に共感(^^)。チベット語に似た日本語にこれだけ反応しちゃってると、本物のチベット語が流れてきたら「いや空耳だろお」と最初は思いこむような気がするなー確かに。
 同じように“気になるコトバ”でも、ホンモノがたくさん聞こえてくる中国語は空耳にならないもんなー(テレビから聞こえてくると反応はしちゃうけど)。

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2005.12.27

ダラムサラより

 ダラムサラからメールがありました。
 ご紹介したく一部抜粋。固有名詞など一部伏せてます。

ダラムサラは今、アイキャンプの眼科医の方が来て、主に白内障の手術をボランティアで行っています。すごい忙しさで、旧知の先生に一目会いたいのですが、夜に会う約束をしても、夜九時半まで手術を続けていて、まだ会えず終いです。
通訳の、ダラムサラ在住のO君からは連日電話で
「今、やっと手術が終わりました。先生方はまだ仕事で電話にも出られません。日本のお医者さんの献身ぶり、日本人として、誇りに思います!」
と興奮気味に報告があります。
眼科医の方々、滅菌手術着の装備なので食事も昼抜きです。アイキャンプに来るために、日本での前後のスケジュールは超過密らしいし。

 波百流(はもる)アイキャンプ(byアジア眼科医療協力会)だと思います。
 白内障の治療(手術)をピンポイントに対象にした眼科の集中治療だそうで、今回のダラムサラ旅行中、「お医者さんが来た」と、どうみても内科系とか消化器系とか患者が来てしまう一方、「目を治してもらえる」と遠くの小さな集落から3日かけて歩いてきて劇的に良くなっていくお年寄りがいる――という話を聞きました。もっと詳しく聞いておけばよかったなあ。
 あちこちで皆それぞれにがんばってる、とじんわり。
 さあて今年も残すところあとわずか。私もやり残してるあれこれをひとつでも少なくできるよう努力します。(ううっ)

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2005.12.25

茨城にチベット!?

karaoke01 チベット関係の知人から「知り合いから聞いた話ですけど」と教えてもらった話。
 茨城県にはチベット仕様のカラオケボックスがあるらしい。
 なんですかそれ! どんなんですかそれ!
 「監獄居酒屋」とか「タクラマカン砂漠風居酒屋」(行ったよな^^)みたいな、なんちゃってコンセプト系のカラオケボックスで、うち1部屋がチベット風になってたりするんでしょーか。
 「いやシダックスらしいんですが」
 シダックス! 行くよ私、前橋上小出店とか
 「そんでフロントらへんがゴユーぽかったりするらしいんですが」
 ゴユー(門+布)とはチベットの縁起のよい意匠をかたどったドアカーテンのこと。なんかわくわくするぞ、どんなんだ?
karaoke02  そしてこっそり教えてもらった画像。私的な個人サイトなのでイケナイとは思いつつ、画像を借りてきて無関係な部分は削除して、チベットっぽい内装が写ってる部分だけ残してみました。ごめんなさい。すいません。
 おおーっ、明らかにチベット方向を目指してる(ような)! 全体的なカラーが赤っぽいのは寺院のイメージ? 上の画像はゴユーだし、右の写真のヒラヒラはゴンパの柱にぶらさがってるタレ飾り(名前知りません)を模してるんでは!
 残された謎はひじょーに基本的だがここが茨城県のどこかってことだ! シダックスは茨城に13店舗あるらしい! ああ茨城に知り合いがいれば!(←行く気かよ!)
 うーん、ここで「青蔵高原~~♪」やってみたい!(その後、チベ歌カラオケは実現してないんだよね。JOYSOUNDしかチェックする機会なかったけど「雪蓮(シュエリェン)」の歌も入ってた気配ないし。ちぇ)
 どなたか詳細知ってたら教えてください。いつか1軒ずつ電話しちゃいそう、私^^;

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2005.12.23

チベなべ

hinabe 帰路、チベット関係豪華(というよりコア?)メンバーで火鍋。
 「鍋」といえばデフォルトで火鍋になるところはさすが! 画像は既に食い尽くされ飲み尽くされた後(もともとブレてる写真をさらに加工して雰囲気だけすいません)。時期的に忘年会&クリスマスのホームパーティーっぽくなってましたが「それぞれ別件の用事を一気に済ませようと思ったら一緒になった」そうで、私もオマケで混ぜていただきました。
 「せっかく揃ったことだし今年1年のチベット関係トピックを振り返ろう」hinabe02とテーマを振られるも、話題はあっちこっち飛んで、ちょっと思い出すと既に数年前のことだったりしてそこで盛り上がったりしてまとまらず(写真右は今年出版された『チベット系裏モノ本』候補を手にするも2002年既刊作品のインパクトに負けてしまうKさん)。楽しかったー。
 楽しすぎて最終の新幹線に乗り遅れ、急行「能登」で帰宅。しかも乗車後に携帯電話がないことに気付き、「さっき急行券買った『みどりの窓口』のカウンターに忘れたから取りに行かせてくれ」と頼むも「あと3分で発車するからもう降りるな」と制止され、そのまま発車。車内で酔いが醒めるにつれ、急行券950円+到着時間の40分と携帯電話、どちらが重要だったか考え出すとウツウツになる。9時間後には仕事だけど……差し支えんだろうか……携帯……。

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2005.12.22

1時間遅れ

syaso 私用で県外へ。
 車窓から外を見たらすごい景色だった! 群馬でも前橋あたりはぜんぜん降ってないし積もってないのに。
 海や雪をみると問答無用にうれしくなっちゃうのはきっと私だけでなく北関東平野出身者の体質だと思いたい……(ここに住んでる人はずーっとこうなんだから大変だろうなと思いつつ)。

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2005.12.20

FMラジオでチベット

 チベット系小ネタ。
 (マイクロソフトのテレビCMでチベットが出てきたのをみた、と書いていた知人のWeb日記を読んで思い出した話題 ←そのCM、私は見れてませんが)
 カーステレオ流しつつ運転中、いきなり女性のささやくような声で「チベット……」。うわおなになに? と思ったら、だいたい次のような内容でした。

「チベットでは、お湯を沸かすのに、電気もガスも使わない。チベットを旅行中、パラボラアンテナのような半円形に光るものを見た。真ん中に置いてあるのは、やかんだ。何をするのか尋ねると、お湯を沸かすのだという。本当だろうか。待つこと十数分、答えはすぐに出た。エコロジーという言葉を知らなくても、チベットには自然とともに暮らす知恵が息づいている。おばあさんが入れてくれたバター茶は、やさしい太陽の香りがした」
「エコ。ジャパン・エフエム・ネットワークはエコを推進しています」

 とりあえずやさしい太陽の香りがするバター茶とはずいぶん穏やかなたとえだな、というお約束は置いといて、そのネタになってるチベットの湯沸かし器は、I先生がチベット視察旅行の折「高山症状と疲労と怒りで朦朧としてきたにもかかわらず研究のためはるばるチベットまで来て資料写真を撮りまくらなければいけないという強迫観念と擬似興奮状態で動き続けたために後で確認したら写っていた写真」のアレだ、と思うわけですが、ブツを知らずにCMだけ聴いてる人にとって果たしてぱっとイメージが湧くものだろうか、あれこそ「説明されても何がなんだかわからないけど一目見りゃ『へぇ~』」ってラジオ向きじゃないシロモノだよなあ、……などと思いながら走っていた次第。
 ああ、小ネタ未満にもかかわらず長ったらしい感想ですいません。

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2005.12.19

[イベント]講演会「ヒマラヤの宝探し」

 メンツィカンで学ぶ小川さんより講演会のお知らせがありました。
 おお、この前ダラムサラで会った人が今度は日本で講演会とは大忙しです。今は学期末の最終試験真っ最中だそうで、試験直前の多忙な中「チベット医学や東洋医学に関心のある人にPRして」とわざわざメールいただいてしまい恐縮。面白そうです。少人数の集まりだし。平日夜かぁ、仕事じゃなければなあー。

「ライブJ」~聴いて、話して、考えるイベント~ 第5回 ヒマラヤの宝探し
チベット医学の魅力をわかりやすく紹介。医薬の未来を考える。
話題提供者:小川康さん(チベット医学暦法学大学学生)
日時:2006年1月12日(木)19:00~21:00
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟404号室
参加費:500円(学生・JYVA会員300円)
定員:20名(要事前申込み。当日参加可能)
問い合わせ・申し込みはリンク先へ

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2005.12.18

ゲーン・ダヤンハーンのチベット古歌ライブ

kouen02 日帰りで銀座へ。街のイルミネーションや歩いてる人の格好がえらくオシャレで気後れしつつ「柴田悦子画廊」竹内淳子さんの個展「チベットの愛した歌」と、ゲーン・ダヤンハーン&川辺ゆかさん&赤澤淳さんの記念ライブ。
 竹内さん、竹内さんの友人渋谷さんがチュバ姿でかいがいしく立ち回り、川辺さんもゲーンラーももちろんチベット装束。敷居の高かった「私場違いかも」な銀座の空気が、画廊に1歩入ったとたんかき消えてバーチャルチベット異空間(笑)。すばらしい。旧知のチベ友風来坊さん苦沙弥さんがいらしてました。
 異端の活仏というか破戒の詩人というかなダライラマ6世の残した詩をテーマに描いた作品は、羽ばたく白鳥や舞い落ちる羽根のモチーフと、チベット文字や仏具によく掘り込まれている紋様などの幾何学的モチーフと、ほぼ等身大くらいのスケールで描かれた人物とが大胆に配されて、実物に囲まれてると圧倒的な迫力。現実と幻想の中間くらいにいそうな人物は、皆どこか無表情に遠くをみていて、視線の先になにがあるんだろう、と竹内さんのイメージするダライラマ6世の詩歌の世界を想像したのでした。
 そんな濃密に幻想的な空間に、曲目は古典ナンマ(宮廷音楽)スタイルの「アマレホ」、モンゴルのオルティンドー(長歌)、中津川の「ほっちょせ節」、八重山の子守唄、トゥシェー「シャルルンタク」、日本語訳詞での6世の詩歌……など。個展のテーマに合わせたダライラマ6世の詩歌を中心に構成したとのことでした。
 それから、ゲーンラーは「どんなに勧められても自分は絶対ハマらないと思っていたにもかかわらず1回見たらそのまま最後まで見続けてしまった」冬ソナ以降、韓国ドラマに熱中してらっさるそうで(I先生もはまっていると書かれとったなー、チベット研究界に韓流の風が吹いてんのかしら)、「今見ている『チャングムの誓い』のテーマ曲がなかなかいいんですよ。何がいいって、チベット音階とまったく同じなのでチベットの楽器でそのまま演奏できる」とまた非常にマニアックな点に着目、『チャングムの誓い』テーマ曲(もともと朝鮮古語の歌詞を、中国の朝鮮民族留学生に訳してもらったという現代ハングル訳詞で)ダムニェンで演奏するという二重三重のコラボレーションも。なんだかものすごくピンポイントにマニアックなんですが(笑)。さらっと「曲をつけてみました」と紹介していた歌もあったんですが、ゲーンラーが作曲もしたんでしょうか。どこまで多才なのか、底知れない御方です。髪が伸びてますますチベタン化し、ダシェーを巻く日も近そうでした。
kouen03 竹内さんのお人柄と人脈で、来客として会場を訪れていた人たちもそうそうたる顔ぶれ。
 一度だけメールやりとりしたことのある写真家Nさんとも初めてお目にかかってしまったー(緊張)。“著者近影”で顔写真をみる機会はあったけど、そんなに記憶力はよくないので紹介されるまではNさんとは分からず、「誰か分からないけど(言葉は悪いけど)クリエーター臭というかタダモノでない感がものすごく漂ってる人だなー、さすが東京だなー、そんでもって絶対元パッカーって感じー」とちらちら見ていたらそれがNさんでした(大変失礼致しました)。ちょっとどきどきしつつ「以前『月刊カメラマン』の“カメラマン最前線”で特集されてたの読みました、あれ格好よかったです」と言ったら「あれずいぶん前ですよ」と驚かれたり。へへ言っちゃった。(確認したら1994年3月号だった。ほんとだ、すげー前だわ←まだ持ってるし)
 あと個人的に「おおっこの人が!」とカンゲキしたのは、エレキ馬頭琴の製作者オカモトさん。滋賀在住当時、チベ知人に「すっごいヘンで面白いサイトがあるんですが、この人京都の方だそうですけど」と教えてもらい、見ると「電動ドンモ」(ミキサーじゃなくドンモの電動化!!)「自動五体投地人形」(よく分からなかったので今回聞いたら、マニ車を回すとその上で人形がぱたぱた五体投地するらしい。回転エネルギーの効果的利用!?)「リチャージャブル電動ツァンパ練り器」(わははは、もう字づらだけでおかしいよ!)。なにこれすげー本気こもってる、と大ウケし(明和電機とか「なんでもつくるよ。」とか大好きです私)、近くにお住まいならぜひ一度お目にかかりたいと思いつつ縁は訪れないまま転勤で滋賀を去ったのでした。普通オフの席でオンの話はあまりしないようにしてるんですが、「サイト見ました面白かったです! 体の中のものまで!」と大はしゃぎ(大変失礼致しました)。
 ほかはチベット絵地図画家のタニグチさん、美大出身で現在は建築家の女性、画家のサトウさん、すんごくかわいい音楽大学の学生さんなどなどアート系の方々がずらり。竹内さんとタニグチさんとサトウさんはその昔、同様にチベットを目指していた中国旅行中に上海のホテルで同宿して知り合ったとのこと。中国旅行中に上海のホテルで同宿、ってとこまでは、まあ当時浦江(プージャン)のドミくらいしか個人旅行者が泊まれる安ホテルはなかったから珍しくも偶然でもない必然の出会いといえる訳だけど、専門で絵を描く同年代の女性が揃う、ってのはそうそうないだろう偶然で、「呼び合う」ことや「巡りあわせ」ってやっぱりあるんだなあ、と感じ入りました。画廊の店主悦子さんも「さすが銀座」な素敵な方で、すごく圧倒されたまんま、他の方々よりちょっとだけ早く失礼して新幹線で帰路につきました。

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2005.12.01

「社会科を教えたいのですが」

 帰国するなりオモテの仕事に追われ後片付けに追われ体調は崩し、ダラムサラ報告になかなか着手できません(すいません)。書くこと山積過ぎて、Blogのほうがいいのかサイト更新形式のほうがいいのかも悩みどころだったり。
 そんななか、旅行中にルンタ.jpあてに届いていた、ボランティア希望の若い方からのメールがありました。ダラムサラに行ってチベットどっぷりになっていたタイミングで、必要以上にビビッドに考えつつ返信を書いたものの、私の返信ズレてるかもしれないと一抹の不安が。思いもよらぬ質問であっけに取られる部分もあったんですが、考え出すと興味深いテーマだったので、個人情報抜いた質問部分(とはいえメールは単刀直入に質問のみだったんですが)と私の書いた返信を転記してみたり。誰か他の方の考えも聞いてみたいところです。
 もらったのはこんなメール。

忙しい中、突然、このようなメールを送りすみません。
僕は、今、学生ですが、卒業後はダラムサラでボランティア活動をしようと思っています。しかしながら、もし僕がチベットの人たちに何かを教えるならば、パソコンや料理を教えるよりも、歴史や倫理というような「社会科」関係のことを教える方がいいです。だから、ダラムサラにおいてチベットの人たちに「社会科」を教えるというようなことはできないのでしょうか?
もしよければ、返信してください。

 次のような返事を書いてみました。

 メールありがとうございました。
 ルンタ・プロジェクト日本事務局の××です。11月20日から27日までダラムサラを訪問しておりメールチェックが出来なかったため返信が遅れまして申し訳ありませんでした。
> パソコンや料理を教えるよりも、歴史や倫理というような
> 「社会科」関係のことを教える方がいいです。

 チベット人はチベット語を読み書きします。インドで生まれ育ったチベット人は英語も堪能ですが、ルンタ・プロジェクトが支援しているチベット人は主に亡命してきたばかりのニューカマーで、英語は一から勉強している状態です。チベット語の読み書きが出来て、チベット語で歴史や倫理のテキストも制作することができるなら、社会科を教えることも可能とは思います。倫理などの既成の教科書はありません(チベット人にとっての「倫理」とは、仏教哲学でありお経が該当します)から、テキストから制作する必要があります。
 ただし、現地のチベット人が必要としている知識は、まず、実用的で、自立のために役に立つ知識と技術だろうとは思います。
 せっかくいただいたメールですが、なぜチベット人に社会科や倫理を教えたいのか、またその具体的な内容と方法(そしてその「社会科」とはどのような立脚点にたったテキストになるのでしょうか?)、チベット語や英語のコミュニケーション能力はどの程度お持ちなのか、チベットないしダラムサラに行ったことがあるか……など、もっと詳しいことが分からないと、返信のしようがありません。
 また、これは蛇足ですが、メールでの問い合わせとはいえ、多少の自己紹介はしたほうがいいようにも思います。また具体的な内容や詳しい問い合わせがありましたらメールをいただければ幸いです。とりいそぎご連絡まで。

 すると次のような返信が届きました。

 失礼しました。僕の名前は××です。
 返信ありがとうございました。ところで、いろいろと質問をしてくださいましたが、はじめに、「チベット語や英語のコミュニケーション能力はどの程度お持ちなのか」と「チベットないしダラムサラに行ったことがあるか」の二つの質問に答えさせていただきます。
 まず、「チベット語や英語のコミュニケーション能力はどの程度お持ちなのか」について言いますと、英語は学校で習ってはいるものの得意ではないですし、チベット語に関しては全然わからないです。次に「チベットないしダラムサラに行ったことがあるか」ついて言いますと、どちらも行ったことはないです。
 以上、先に二つの質問に答えさせていただきましたが、このようなどうしようもない人間ですみません。けれど、ダラムサラに行きたいんで・・・。
 さて、残りの「なぜチベット人に社会科や倫理を教えたいのか、またその具体的な内容と方法(そしてその「社会科」とはどのような立脚点にたったテキストになるのでしょうか?)」という質問ですが、正直に言いますと、自分自身、これらの質問に対して少し当惑しています。というのは、そういうことについてあまり考えていなかったからです。一応答えるなら、今いる学校で勉強しているのが「社会科」関係のことだから、ダラムサラの人達にそういうことを教えたいんです。また、その具体的な内容と方法は今いる学校で習ったこと(歴史・倫理・経済・心理など)をチベット語で教えることです。そして、「社会科」のテキストとは、歴史・倫理・経済・心理などの立脚点にたったものです。
 このような答え方でいいですか?
 (中略)
 今のところ特に質問はないので、ここで終わりにします。

 ふうむ、と思いながら書いたのが以下のメールです。

 ××様
 メール受け取りました。ルンタ・プロジェクト日本事務局の××です。
 正直なご返答ありがとうございます。卒業後すぐにどうしてもダラムサラへ、というわけではなくなったそうですし、行くにしろ行かないにしろ、もう少し時間をかけてじっくりと準備できそうですよね。
 さて、逆の立場で「もし私が教わる立場だったら」と考えてみてください。
 まあたとえば仮に日本がアメリカに占領されたままで、あなたはどこか別の国に逃れて生活している日本難民だとします。そこへ、日本語も英語もできない外国人(たとえばチベット語しかできないチベット人)が、「チベットの倫理や社会をボランティアで教えます」と訪ねて来た、と想像してみてはいかがでしょうか。お互いに意思の疎通ができず、その人が何のために何を教えにきたのか分かりませんし、そもそも日本人である自分がなぜチベットの学校で教えている社会科を学ばなければならないのか、混乱するのではないでしょうか。
 「立脚点」という言葉が抽象的で当惑させてしまったかもしれませんが、もし××さんが教職や社会科(?)を専攻されている学生でいらっしゃるのなら、ぜひ一度考えてみてほしい部分ではあります。
 ××さんが単純に「歴史・倫理・経済・心理などの立脚点」とおっしゃったことを思うに、「歴史」や「倫理」というものが確固とした状態でひとつだけ存在しているように考えていらっしゃるようです。
 はたしてそうでしょうか?
 社会科の学問、つまり歴史、倫理、経済、心理……これらは、その学問が帰属する社会と非常に深く結びついていて、固定した状態で存在しているものではないのではないでしょうか(つまりそれゆえに「社会科」と名づけられている、と)。
 私は、日本の学校で教えられている「歴史」は、日本を立脚点として俯瞰した歴史であり(たとえそれが「世界史」であってもです)、チベット人はチベットから見た歴史を持っていると考えます(現実には、チベットの大部分は中国統治下にあり、中国視点の歴史を学ばされているのですが)。日本人が学ぶ「歴史」に、いったいどれだけシャンシュンやピャンなどのチベット王朝、あるいはチベットと清の交渉と戦争と独立宣言などの経緯が出てくるでしょうか。現代社会の宗教対立の先鋭化にしろ、第2次世界大戦の構図と結果にしろ、チベットを立脚点にした場合には、日本人の使う教科書とは異なるテーマが見えてくるのではないかと思うのです。
 「倫理(倫理学=道徳・倫理の起源・発達・本質などを研究対象とする学問)」は大ざっぱに言い換えれば「日本社会で暮らす人が共有する社会性として持つべき道徳やマナーの本質をとらえる学問」といいかえられるかと思います。仮に日本の「政治倫理」とか「政治資金規正法」を解説してみたところで、インドで生活するチベット難民にはまったく机上の空論で意味をなさないものでしょう。経済がその社会ごとに異なる法律や規範に基づいているものであることはもちろんです。「心理」にしても、ある要因に対して日本人が考え行動することを研究するものでしょうから、日本人と異なる価値判断や行動規範があるチベット人では、導き出される結果も異なってくるはずです。
 日本の文科省の規定する学校の5教科の中に、何のために「社会科」があり、一般的に日本人の基礎教養とされているのか。そんなことをゆっくり考えてみてはどうでしょうか。
 そして最後に、チベットに限らず、自分が異なる社会に赴いて何かをしたい場合。
 まずその異なる社会の価値規範を理解して受け入れ、そのうえで、「自分の教えたいものを教える」「自分のやりたいことだけする」のではなく、「相手が必要としているものを提供する」「相手がなぜそれを必要としているかを考える」ことが大切なのではないか、と考えることがあります。まあ、これはあくまで私個人の考えで、またかなり乱暴なまとめ方ではありますが。
 それでは。寒くなってきました。どうぞ健康に気をつけてください。
 学業のご成功をお祈りします。

 「ボランティアで社会科を教えたい」という提案は想像もしなかったものでして、「山川新世界史」とか「新しい日本の歴史」とか持ってって教えんのか? と面食らいつつ、なぜ自分が面食らうかを整理して考えるとなかなか答えが出なくて面白かったです。
 だって、自分は「逆」はやってみたいんだよ。チベットの難民学校で教えている「チベット史」とか「世界史」を教えてもらえるんだったら受講してみたい。きっと面白くて刺激を受けると思うから。ただそれはもちろん、自分が日本の教育システムの中で多少の教育を受けてきて、既に「日本人視点の歴史」を学んでいるからこそ、自らの常識を覆される再発見を味わえて興味深く面白いわけで、まったくゼロのところで授業を受けても「私には関係ないよ」で終わってしまうのではないかと思ったり。
 で、「チベット人が日本視点の歴史や社会概念を学ぶ必要なんかない」と言い切ってしまっては、まるでチベット人には観念的・形而上的学問が必要ないって見下しているみたいだし、そうじゃないんだよな(つうかお寺の中でやってる問答なんてきっと形而上の最たるものだろうと思うし)、とも思うし。
 しかしなんでほんと、「英語」でも「数学」でも「物理」でも「工学」でもなく社会科なのか(笑)。同じ社会科でも商業科分野の、簿記(=経理)とかソロバンなら別の展開があるのかもしれなかったかな。

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