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2006.06.22

チベット 癒しの塗り絵

Nurie  絵本はすっかり子どもだけのものではなくなったけど、いま「大人のぬり絵」が人気だそうで。
 ジグソーパズルみたいに、細かい色塗り作業をこつこつと続けていって1枚を完成させて、終わった後は飾って楽しむんだそうです。癒されたり落ち着いたりするんだそうです。言われて本屋の店頭をみたら、特設コーナーもできていました。

 ……で、これはそんな1冊のチベット版。
 編集者をしてるチベ友から、「こんな企画を暖めているんだけどどう思う?」とこっそり教えてもらったのがちょっと前のこと。その後、「企画が通ったよ」と連絡があり、ついこの前、「もうすぐできるよ!」と教えてもらったんだけど、「Webに書いていい?」と尋ねる前に完成してしまいました。は、早!! (というか私がトロいんだ……ごめんなさい。)

 「癒しの塗り絵――美しい密教の仏とマンダラ」(扶桑社/監修=石濱裕美子早大助教授、タンカ=ロプサン・シャンパ絵師ほか)
 bk1→癒しのぬり絵

 チベット人は専門の訓練を受けた絵師以外、自分でてなぐさみにタンカを描く、とか、仏画をいたずら描きする、ということはしません(……と思う。自分の知る限りだけど)。
 チベット人にとって、さまざまな仏教の決まりに則って描かれた仏は、それが壁画だろうがアクリル絵の具のポスターだろうが、その瞬間から信仰の対象そのものになって、敬うべき存在になります。(だからチベット人にとっては、タンカやマンダラやダライラマ14世の肖像をTシャツにプリントしてシワシワにして着るとかありえないし、トイレに飾るとか信じられない、ってことに。)
 塗り絵の企画段階で、私が知り合いのチベット人タンカ絵師何人かに相談したのは、「線画だけのタンカはまだ“未完成品”? そういう完成度が低い状態で出版物にするのは、絵師として抵抗がある?」ってことでした。ところが意外なことに(いや、言われてみれば当たり前なんだけど)、絵師さんが一様に懸念したのはそんなことじゃなく、「塗り絵って子どもが遊ぶ遊びみたいなこと? そういう遊びで仏様を扱ってはいけない」ということでした。
 ぐりぐり色を塗って遊んだらくしゃくしゃ丸めてぽいっと放り出す、そんな扱いは決してしてはいけないものだ、と。そういう企画だったら自分は仏教の教えに帰依して仏画を描く絵師として協力できないし良くないと思う、という意見で一致していました。
 そうかそうだよなあ、とまた改めて感じ入ったことでした。
 それで「これは、子どもがいたずらして遊ぶ塗り絵じゃなくて、大人が一枚一枚丁寧に作業して、塗り終わったら大切に保存したり飾って楽しむ特別な本です。日本には写経という文化があって、ワークブックが広く浸透しています」と企画意図を説明(したのは私じゃなくて編集者O嬢ですが)、「ちゅんちゅんタンカカフェ」のシャンパ絵師が、きちんと仏典に則った描き下ろしをしてくださいました(と聞いてます)。
 (ちゅんちゅんタンカカフェさんからの案内はこちらに

 というわけで、この「癒しの塗り絵」。
 「仏教モチーフのレプリカに色をつけて『あ~癒される~。仏像ってユルくてイイわ~』」……じゃなく、まぁ少なくともチベットやチベット仏教に関心があって手に取る方には、チベット文化にとってのタンカの重みを感じながら、1枚1枚が信仰の対象となる、生命のこもったものを手にしているのだと「癒されて」いただければなー、……などと思っているのでした。
 うーまあ私がこんなことを書くまでもなく、絵師さんも製作側もきちんと分かって作っていますから、収録されているタンカと砂曼荼羅15作品はシャンパ絵師の作品はじめ典拠のきちんとした素晴らしい作品ぞろい。さらに石濱先生の解説や、その仏格に応じた真言なども添えられてます。カラー原画と、ミシン目入りで1枚ずつ切り離して彩色できる作業用ページに分かれていて、最後のカバー折り返しには「楽しみ方」や「裏面に祈願文を書いて寺院に納めることもできます」と広島のデプン・ゴマン学堂日本別院の連絡先が書いてあったりしてもう至れり尽くせり。癒されながらチベット仏教の仏の世界への基礎的知識も身につく、という、もったいなくも欲張りな1冊になっているのでした。
 (石濱先生からの案内はこちらに

 ぐだぐだ書いてしまいましたが「編集者のチベ友が本を作りました」ってことで! 店頭に並ぶのは今月末くらいだそうです!
 A4判変形56ページ・950円。問い合わせは扶桑社販売部(03-5403-8859)。

 <追記>
 月末まで実物は手に入らないだろうなと思ってたら、ここまで書いたところで裏口入手(持つべきは友)。ちょっ……うわー何これ! 綺麗! 本格的!! 千手観音菩薩とか砂曼荼羅とか、A4判型なのがもったいないよー。もっと大きな判型でじっくり眺めたり色塗ったりすれば……、って、それじゃ本物のタンカ飾ればいいじゃんってことか。なんか私の感覚ってズレてるようです。ごめんなさい。

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Comments

しかも、千円弱で買えるという、超お買い得商品。
しかし、これはもう、「商品」というよりは、弘法のための「仏具(?)」の一種と考えた方がいいのかもしれませんね。
おそらく、「商品」などという安っぽいものではないでしょう。
店頭に並ぶのが楽しみです。

Posted by: セン | 2006.06.24 at 12:04 PM

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