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October 2010

2010.10.22

ツイッター上の一般の中国人はチベット問題にどう言及しているか

 19日からアムドの各地で続いているチベット人学生の抗議活動。
 漢語(中国語)で言論活動を続けている作家のツェリン・ウーセルさんが、22日午前、携帯電話のSMSで届いたメールをツイッターに流した。
 前日21日夜にコラムニスト安替氏の講演「中国におけるネットメディアの興隆と日本との関係」を聴きにいったせいもあり、ツイッター世論というのがどう形作られていくか気になり、ウーセルさんのアカウントに対するリプライやコメントをたどって見ていった……ら、興味深くて止まらなくなってしまった。
 ので、訳出してご披露。
 ……まあ、しかし、これって興味深いし面白いんだけど、結局、「中国語を使いこなし」「(リスク覚悟で)ツイッターで積極的に発言している」「本土チベット人」は、ほぼウーセルさんしかいないような気がしてきた。となると、本土チベット人の考えを知る手段ではなく単なる中国ウオッチになってしまうので、私にとってはイマイチ不毛。キリがないし、もうやりません。
 また、中国におけるツイッターというネット空間の特殊性はあちこちで語られていますので、それを踏まえた上で。

「民族消滅はまず言語から、だな」

「注目だ。チベット文化を尊重しようよ~」(香港から)

「始皇帝が天下を再統一したわけだな」

「ひどい!少数民族の言語は歴史文化遺産。そんなふうに壊滅させるだなんて」

「信仰をふみにじり、言語を滅ぼし……。そりゃ逃げざるを得ない、それが難民になるってことだ……」

「好き放題言いやがる」

「政府は狂ったの? 明らかにばかげてる。ドちくしょう」
「これって、あなたの小さい頃にもあったんじゃない?」
※文化大革命のことか?

「殲滅作戦始まったな。次はトゥルク語と広東語だな」

「地域の習俗を漢民族化し、グループを分散居住させれば遠からず母語は消滅する。目的は奴隷化と制圧だな」(香港から)

「チベット人は学校に通う子供がもともと少ない。これからもっと少なくなるんじゃないか?」

「多方面で発展すればいいね」

「チベット語さえまもれないで、広東語が残るはずないだろう。単独では難しいだろうが多方面から支援を!」

「これってソ連がウクライナで実行した政策じゃないかな」

「ドーデの『最後の授業』を思い出した」

「こんなの絶対に違憲だろう」
「これは文化絶滅、民族殲滅の始まりだよ」

「間違いなくファシストだ!」
「チベット版『最後の授業』」
「おくにの真っ赤なナチ版『最後の授業』」
「『最後の授業』は妄想。こっちは実話」
「外国語になっちゃうんだよね」

「日本統治時代を思い出したんだけど」
「怖い!」

(「漢人は街で広東語擁護をできて世界の注目を浴びてお咎めなし。それならチベット人も街でチベット語擁護をできて世界の注目を浴びてお咎めなしでなければ、明らかに民族不平等だ」に対して)
「この結論の証明は必要なのか? 証明の必要もないようにみえるんだが。」
「漢人だって広東語擁護活動が『できた』訳じゃない、ただ街に出た人が多すぎて警察がつかまえきれなかった人がいるってだけだよ」
「漢人だって決して『お咎めなし』じゃないよ……」

「党中央はいつから憲法より上になったんだ?」

「こんな規定があるわけ? キチガイへの道を歩いてる」

(チベット語が教科からなくなる)「証拠はあるの?」

「壁の中の新浪にも転載したよ!」
※ツイッターはブロックされているため一般大多数の中国人には閲覧できない。中国国内向けの似たようなサービス「微博(マイクロブログ)」があり、ブロックされておらず誰でも閲覧できる代わりに、検閲があり削除される

「私はかねてから暴政の元で漢族と少数民族は等しく迫害を受けていると思っていた。ここ数年分かってきた。チベット人、ウイグル人の受けている抑圧は漢人より遙かに酷い」(学者、弁護士、民主活動家の滕彪氏)
「民族の言語は憲法にも明記され、国際人権条約でも保障されている。中国語の方言よりよっぽど重要だ」(民主活動家の李方平弁護士)
「民族言語は憲法に書かれてる」
「少数民族政策の中に、民族言語に関する発行と教育については厳格な規定があるよね」

「周囲が同じように迫害を受けている境遇の漢人は軽い調子で迫害を描写するもんなんだよ。動乱は、殺される数が少なすぎる場合に発生するんだ。私はこの種の不平等を身をもって会得したよ」
ウーセルさん(滕彪弁護士へ)「今日、ラサではとても明らかでした」
ウーセルさん(李弁護士へ)「なぜなら、民族の言語は権利の擁護でもあるから」

「若い世代のチベット人の多くはそもそもまったくチベット語を読めないし書けないんだが。彼らはそのへんどう思ってるんだ。チベット語を滅ぼそうと?」(チベット人かチベットで生まれ育っている言論活動家Zhumazha)

「チベット人なんて滅べばいい おとなしく(政策に)協力するべきなのに、単純に暴力で反抗する奴らが多すぎる」

「教育部のその規定はどこでチェックできるの?」

「ダライラマ法王を思い出した」

「チベット人同胞よ、立ち上がるんだ」(本人は広州の中国人)

「ソースはある? なくて話だけだったら、私はちょっとこれが本当だなんて信じられない」(これ=小学校の教科からチベット語を廃止すること)

「少数民族の言語は歴史文化遺産なんだし、国連のユネスコに連絡をとって助けてもらうことはできないのかしら?」

「自分がダルツェドに数年いた経験からいえば、80后のチベット人で流暢にチベット語を話せる人は既にとても少なくなっていた。これはダルツェドの地理的位置と漢民族化の影響が深刻なことと関係するかもしれないけどね」

「秦に李斯あり、現代に中国共産党あり」
※李斯は焚書坑儒を推進した宰相

(人人ネットに書き込み直した、という発言に)
「ウーセルも人人ネットやってるの?」
「チベットのネット検閲は大陸よりさらに厳重だからなあ。頑張って!」

「私も書き込んだけど、すぐ消された」

「教育委員のいうお美しい『バイリンガル教育に力を入れることによりこれらの民族学生にさらに前途洋々の将来を広げる』という文言には何も問題ないし私は支持する。ただし、学校内でのいわゆるバイリンガルを考えるとき、本来の民族言語は教室で学習が必要なものなのだろうか? 実質的に漢語しか勉強できなくなるだろう。行き過ぎれば、学校で民族言語を話した学生を処罰するような学校も現れないとはいえない」

「北京で坑儒、チベットで焚書。すばらしい『調和のとれた世界』だね」

「他人の母語を救うことは、自分たちの母語を救うことだ」

「すいません、その教育部の規定はどこにありますか?」

「(チベット語科目)取り消しに賛成! 少数民族死ね!」

「漢族学生の『将来を広げる』ために、(漢族学生に)55種類の言語教科を増設することを支持するよ」

「これは……私がだんだん訳分からなくなってるのか、それとも政府がどんどんアホになってるの? なんで、こんなデタラメがまかりとおってるの?」

「先月チベットから帰ってきたばかりだけど、ラサは見た感じ中国内地の中核都市みたいで、ジョカン周辺には武装警察ばっかりだった」

「バイリンガル教育ではないの? 自治条例ではどれも民族の文字を使う権利を認めているはず。教育部が勝手に人民大会で決めた法律を廃止したの?」

「チベット語の科目をなくすんだとしたら、(チベット民主化を求める人たちを)『大チベット主義だ』なんて批判はできなくなるね。それは組織的な『大漢族主義』だし」

「この文章が婉曲に理由を説明しているね
http://www.tibet.cn/zxyj/xzsm/sr/201008/t20100803_612438.htm

「チベットエリアの小学校からチベット語を取り上げる? なんて盗っ人猛々しい! 満州国だってそんなことしなかっただろうに」
「人をバカにするにも程がある!」
(チベットに関する著作も多いカナダ在住の華人作家)

「チベット文化も我々中華民族の貴重な文化の一部分。私はまだあの長々しいケサル王伝説を読んだことはないけどね。まあ翻訳本を読むしかないわけだけど」

「衛生部は我々の身体を殺し、教育部は我々のたましいを殺す。最も消滅させてしまわなきゃいけない2機関だ。最近は国家を分裂させる病巣でさえある。言葉もないよ!」
※衛生部=厚生労働省、教育部=文部科学省みたいな

「translate @degewa: China Edu.Ministry is banning Tibetan in schools,sparking protests among students in Tibet and Qinghai」

「チベット人居住エリアではチベット語を保護するべきだ。教育もチベット語を中心として行ったうえで、中国語と英語の学習を奨励したらいいじゃないか」

「抗議!」(民主活動家)

「やくざ組織どもがやる事は本当に人間には思いつかないようなことだな。一つの民族に母語を学ばせないだと? 頭を戸に挟んで潰されちまっても軽すぎる、やらんでいいことの典型だよ!」

「公式文書はあるの? 本当のこととはちょっと信じられない」(数日前までチベットを旅行し、チベットに関してツイートを重ねていた中国人)

「彼ら(政府)はまさにチベット文化を破壊し尽くしたいのさ、まったく人間性のかけらもないやつらだ」

「チベット人はまだ騒ぎ足りないのか?」
「ほかのどの国に、自分たちの文化を消滅させようとする政府があるんだよ?」
「文化のない政府だな」
※文化=民族文化などのcultureの意のほかに、基礎的教養、礼儀、マナー、常識なども指す。「文化がない」で民族文化の破壊と常識知らずを掛けている

「教育部のやつら、狂ってんじゃないか?」

「Freedom's #Language Can Only Flourish Under #Tibet's Independence: http://t.co/YoDP0Wo http://tmi.me/2rtIh

 まあ何ですかね、昨日聴いた安替氏の講演どおり、ツイッター内には既にオピニオンリーダーがいて、その人のリツイートやコメントに対して最も多く反応が返ってきてはいるのは事実。五毛っぽいあからさまな釣り発言もあるけど、スルーされて話題がつながってないのも事実。
 それと同時に、普通の(ただしファイヤーウォールを乗り越えるくらいには知的探求心と問題意識のある)中国人って、チベット問題に対してそれほどの関心は持ってないんだな、とも感じました。また同時に、チベット人は登場しない空間なんだな、とも。「既にチベット語話せない層が増えてるんじゃないの?」とか「そもそもチベット語に共通チベット語が存在しない状態で、『まもれ』というのは何をまもるのか?」という議論にはならないんだな、と、興味深く眺めておりました。

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