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May 2011

2011.05.28

[モンゴル関連資料]5月15日シリンゴル盟アバグ旗の事件概要

Abagu  [参考資料] シリンゴル盟(アイマク)の経緯を確認していたら、途中から「アバグ旗の事件の……」という内容が出てきて戸惑ったので、そちらも出てきた記事の範囲で訳出しました。炭鉱開発で生活環境が悪化した地元住民と炭鉱労働入植者との住民紛争だったようです。
 事件のあったアバグ旗のマニト炭鉱(ピンイン音写)は左地図(Aのポイントが立ってるところ)。中国地図では端っこですが、むしろ「モンゴルど真ん中」というべき位置。場所確認のため検索したら、周囲に「○○鉱区」「○○鉱区」という炭鉱採掘地区ばかりがでてきて、物凄いことになってるんだ、と改めて感じます。 

「内モンゴルで炭鉱開発巡り騒動2件」(香港文汇報)からアバグ旗の事件部分を抜粋。

(前半略)
 5月14日、アバグ旗マニト(漢字音訳)炭鉱区の平安鉱業有限会社第2採鉱区の周辺住民が、採鉱の騒音と粉塵による大気汚染や水質汚染を訴えて同社の福利厚生事務所に集まり、炭鉱生産の停止を要求した。翌15日午前9時ごろ、約30人が改めて採鉱場に集まった。午前10時ごろ、炭坑夫らと住民との間で衝突が起き、計7人が負傷。アバグ旗公安局が処理して事態をおさめた。
 15日午後6時ごろ、炭鉱区周辺住民の若い男性闫文龙(音写はヤンウェンロン、漢語名か)らが同社福利厚生事務所に車で到着。鉄パイプで事務所の玄関窓ガラスを打ち壊した。このとき、同社の職員寮から100人余りの炭坑夫が鉄パイプなどを手に反撃に飛び出し、駆けつけた人民警察に制止された。この間に、闫文龙らは乗ってきた車で採鉱場へ向かい、作業中だった炭鉱運搬車3台の運転手らと争いになった。運転手の1人が炭鉱運搬車を運転して闫文龙の乗るジーリー(吉利、中国メーカー車)の小型セダンにぶつけ、闫文龙は頭を打って即死した。


内蒙两起煤矿纠纷致死案侦破
 5月14日阿巴嘎旗玛尼图矿区平安矿业有限责任公司二采区周边部分居民因该矿噪音、粉尘污染和饮水等问题,到该矿生活办公区聚集,要求停止生产。15日9时许,30余名居民再次到该矿井聚集。10时许,该矿工人同这些居民发生冲突,造成双方各有7人受伤,经旗公安局处置,控制了事态。
 15日下午6时左右,矿区青年居民闫文龙等人驾车抵达平安煤矿生活办公区,手持铁棍等打烂办公室的门窗玻璃。此时,平安矿业宿舍内百余名工人手持铁棍等冲出宿舍欲反击,被赶到民警制止。在此期间,闫文龙等人驾车驶向该矿生产区,与3辆正在作业的铲车司机发生冲突。一名铲车司机开着铲车砸向闫文龙驾驶的吉利小轿车后,又将闫文龙头部撞击当场致死。

 亡くなった青年がモンゴル人かどうかもこの記事では分かりません。もう少し詳しいものがみつかれば追加します。南モンゴル人権センター経由では「中国人炭坑夫に撲殺されたアバグ旗の事件」となっていて、ややニュアンスが異なるし…。

 この件、博訊やFFAなどの民主系・反共産党系ニュースサイトに記事がなく*、モンゴル人住民側に取材したものが見当たらないので、文滙報の内容で全体像は分かったとはいえません。ただ一ついえるのは、同じシリンゴルアイマクですけど5月10日のメルゲンさんの轢死と相互に関連はないだろうということで、それぞれ別個に、同様の環境問題が生活を脅かしているのだ、と暗澹とさせられます。

 *民主系サイトに記事がないということは、逆にいえば、民主系サイトの記者が現地へのコネクションを持てていない、現地から民主系記者へのコンタクトなり告発がない、ということになり、中国政府の言う「外国の悪い影響を受けて引き起こされた」ものなどではない反証明なわけですがね

 30日追記:アバグ旗出身のモンゴル人の話では、この闫文龙青年はモンゴル人ではなく漢人で、入植農民だということでした。逮捕された石炭運搬車の運転手2人は1人が漢人、1人がモンゴル人ではない少数民族で、いずれも内地からの入植者とのこと。「実は牧畜民にとっては、農地開拓の入植者も、炭鉱開発の入植者も、等しく草原を奪った漢民族。だからこういっては申し訳ないがこの事件の顛末や行く末にはモンゴル人はあまり関心がない」とのことでした。

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2011.05.27

[モンゴル]シリンゴルで何が起きているのかの経緯まとめと30日の抗議活動

Location_of_xilin_gol_league_within  モンゴルの草原地帯、シリンゴル盟*が大きく揺れています。
 チベット人から経緯と現在の状況を尋ねられ、説明のためまとめたので、ブログにも載せておきます。現地からの情報にはタイムラグがあり、状況は現在進行形で変わっています。2011年5月27日正午時点で、私(うらるんた)が状況把握できた範囲(当然、すべて2次情報です)でのものとご了承下さい。

 *モンゴルでは清朝以来の統治機構に由来するアイマク(盟)―ホシュー(旗)―ソム(鎮)の行政区分が残る地域があり、シリンゴルはその伝統的行政エリアです(近年、多くが「市」などに再編されつつあります)


現時点での日本語報道は以下の通り。

中国:内モンゴルで1000人抗議行動 炭鉱開発に反対(2/26毎日)
http://mainichi.jp/select/world/news/20110526ddm007030078000c.html

中国:内モンゴルで1000人抗議行動 炭鉱開発に反対
 【北京・工藤哲】中国内モンゴル自治区北東部の西烏旗の地元政府前で24日、炭鉱開発による環境破壊に反対する住民約1000人の抗議行動があり、4人が警察に逮捕された。英BBC(中国語電子版)が報じた。
 現場周辺では従来、炭鉱開発業者による環境破壊から家や牧場を守るため30人余りの住民が集団で地元政府に対応を求めていた。住民の中心的存在だった遊牧民の莫日根さんが今月10日に石炭を積んだトラックにはねられ死亡し、住民は地元政府に死亡の原因究明を求めていた。
毎日新聞 2011年5月26日 東京朝刊

学生2千人が抗議行動 中国の内モンゴル(5/26共同/産経)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110526/chn11052601370001-n1.htm

学生2千人が抗議行動 中国の内モンゴル
2011.5.26 01:36
 英BBC放送(中国語電子版)などによると、中国の内モンゴル自治区シリンホト市の市庁舎前で25日、モンゴル族の学生ら約2千人が、石炭採掘による環境破壊に反対していた遊牧民がトラックにはねられ死亡したことについて、抗議行動を実施した。
 この遊牧民はモンゴル族で、仲間に呼び掛け炭鉱開発に反対するなどしていたが、11日に事故死。殺害を疑う住民が死亡原因の究明などを求め、24日にも抗議し、数人が拘束された。
 地元の警察当局は24日、遊牧民をはねたトラックの運転手ら2人を逮捕したと発表した。(共同)

内モンゴル自治区で数千人抗議 遊牧民ひき逃げ事件(5/27朝日)
http://www.asahi.com/international/update/0527/TKY201105260744.html

内モンゴル自治区で数千人抗議 遊牧民ひき逃げ事件
2011年5月27日0時47分
 中国内モンゴル自治区で遊牧民が石炭を運ぶトラックにひき殺される事件があり、反発が広がっている。在米のモンゴル系団体によると、25日に学生ら数千人が地元政府前で抗議したほか、30日には在外のモンゴル人住民による抗議活動が呼びかけられている。
 国営新華社通信によると、同自治区東部のシリンゴルの草原部では、一帯を走り抜けるトラックによる騒音や粉じん被害が出ていた。今月10日、通行を阻止しようとした遊牧民にトラックが突っ込み、約150メートル引きずってひき殺した。
 地元当局は運転手ら2人を逮捕したが、事件を知った地元住民らが反発。在米の南モンゴル人権情報センターによると、この地方の中心都市シリンホトで25日朝、約2千人の高校生らが地元政府前に集まり、モンゴル族住民の人権や尊厳を守るよう抗議した。地元住民が撮影した写真を同センターが公開した。26日も近くの町で遊牧民による抗議活動が起きた。(広州=林望)

5月27日の東京新聞(中日新聞)朝刊にも地図つきで詳しく経緯が出ていますが、ネットには流れていないようです。


 このことに呼応した中国政府への抗議活動が、5月30日(月)に世界各地で計画されており、日本でも、東京の中国大使館前への集合を呼びかけるメールや掲示板投稿が回っています。
 5/30東京大使館前抗議を呼びかける書き込み(一部)
 ・在日モンゴル人の抗議活動(座り込み)のお知らせ(在日モンゴル人自由談話室)
 ・在日モンゴル人の抗議活動(座り込み)のお知らせ(バー・ボルドーオフィシャルブログ)


5月30日世界同時抗議の背景

 5月10日に事件があり、遺族らの告発で5月18日に海外の民主系ニュースブログで詳細が報じられた後、5月20日にブログ「南蒙古時事評論」に「すべてのモンゴル人は5月30日にフフホトで決起せよ」という檄文が掲載されました。原文は中国内のインターネット掲示板に書き込まれたモンゴル語のメッセージで、この画像を貼り、中国語の訳をつけた檄文でした。
 *画像は割と小さく見えるので、もしかしたらタブレット型PCのようなものかも。最初に見たときは携帯電話のショートメールかと思ったのですが、モンゴル文字(正確にはウイグル文字)を表示できる携帯電話はまだないそうです。縦書き文字は横に倒して表示するんですね。なるほどなあ。画像を転載した中国語ブログなどでは、縦書きであるのを知らないようで、画像を90度ひっくり返して掲載しているものも見られます。

 南蒙古時事評論に載った檄文は、「ジャスミン革命2号発起人」を名乗る匿名ブログや民主系サイトに転載され、またたくまに広まりました。携帯電話のショートメールなどでも伝言ゲーム式に広まったと見られます。
 5月23日に、日本語に訳された文章が「在日モンゴル人自由談話室」(No.3328 - 2011/05/23 12:54:48)や「南モンゴルに自由を」(No.1305 - 2011/05/23 12:56:22)など在日モンゴル人向けの掲示板に転載された時には、「参加する大学:内蒙古大学,内蒙古師範大学,内蒙古民族学院,内蒙古工業大学,内蒙古徳徳馬芸術学校等」という1文が既に追加され、呼応した学生がいることがうかがえる内容になっていました。

 上記の在日モンゴル人向け掲示板ではたちまち「日本からも同じ日にモンゴル人を応援すべきだ」という返信がついています。同じ思いは世界各地のモンゴル人が抱いたようで、5月25日のRFA(ラジオ・フリー・アジア)中国語版の記事「蒙古族牧民因保護草場被害 蒙族学生游行請愿(モンゴル牧民は草原環境破壊の被害に苦しんでいる―学生デモは訴える)」(ドイツ発)では、ドイツ在住のモンゴル人民主活動家がインタビューに答え、「5月30日には世界中の亡命モンゴル人が結集して立ち上がり、東京、ロンドン、ストックホルムほかドイツの数カ所の都市で抗議活動が行われる予定だ」と話したことが報じられています。25日の段階で、東京で抗議活動をする方針が既に決定し、それがモンゴル人のネットワークでドイツまで伝わっていることがわかります。

 そもそもの、「5月30日にデモを」という匿名の呼び掛けは、今年2月に同じく匿名で展開されたいわゆる「中国ジャスミン革命」と同じ手法と効果*を狙ったものだと思います。けれど現実には、事態はもっと急速に激しく進展し、23日に牧畜民が、25日に民族学校の学生たちが実際に立ち上がりました。26日、27日も、一つの町の抗議活動が隣の町に波及する形で抗議が広がり続けている状況です。
 モンゴルの人たちの怒りは、ネット空間のバーチャルな攪乱戦などで収まるものではなかった、それまでに積み重なり溜めこまれ、押さえつけられてきた膨大な憤りが文字通り突沸を起こしたのだと思います。それは、おそらく(このまま収束する前に機に乗じようと攪乱作戦を思いついた)匿名の仕掛け人の思惑も超える怒りだったと思います。

*日時と場所を指定して「デモがあるぞ」とインターネットで話を広め、政府当局には警戒のための人的コストを割かせ、当日は実際にそこでデモが起きようと起きまいと、メディアを巻き込んだ話題作りを先行させ、自分たちの訴えを周知させる手法

 フフホト(モンゴル自治区の区都)での一斉決起を呼びかける匿名のインターネット檄文が先にあり、その呼び掛けに呼応する世界同時行動なので5月30日という日付が優先されるわけですが、個人的には、どうせなら土日にしてくれたほうが日本では人が集まりやすいのに~、などと、匿名の――おそらく内モンゴル本土の――仕掛け人に対してひとこと言いたく(ry(冗談です)。
 授業を休んだり、有休を申請したり、「学校や仕事を休んで1台の車に定員ぎりぎり乗り合わせて4時間かけて上京します」「関西では抗議活動の予定がないことを知って大阪から安い切符で上京します」なんて話を漏れ聞いたり掲示板で目にして涙が出てきそうです


事件について詳しく(ご存じない方のために)

 5月10日、内モンゴル・シリンゴル盟の草原で、牧畜を営むメルゲン(メリゲン)さんという35歳の男性が、大型トラックにひき殺される凄惨な事件が起きました。
201105180000china2  道路も鉄道もないこのエリアでは近年、炭鉱の露天掘り開発が進められ、環境破壊が問題となっていました。炭鉱掘削の粉塵で空が黄色くかすみ(左写真)、大気汚染は家の中でも咳き込むほどで、連日、石炭を満載した大型トラック200台以上が草原を縦横に行き来するため草原の土壌はむき出しに。地元のモンゴル人は乱開発への反対運動を起こしていて、メルゲンさんはその中心的人物だったそうです。

 メルゲンさんたち西ウジムチン旗ホルトゴルソムの住民は、去年から、地方政府に「トラックが通行する部分を限定して舗装道路に整備して、草原への侵入を禁じ、放牧地を守ってほしい」と何度も陳情を繰り返していました。しかし事態は改善されず、草原の悪化は進み、ついに今年4月27日からは、村の住民30~40人が自家用トラクターを横付けして、トラックの出入りを妨害する実力行使に出ていました。

 5月10日夜、通行を妨害されているトラック運転手とメルゲンさんたちが口論となり、仲裁のために警察も駆けつけて立ち会う騒ぎとなりました。
 このとき、漢人のトラック運転手は
 「こっちは保険に入っている。くさいモンゴル人の命(=賠償金)など40万元程度のものだ。できないと思うな」
と言い放ち、巨大な24㌧トラックを急発進させたといいます。メルゲンさんは大型の車輪に巻き込まれて150mほども引きずられ、即死しました。村の住民数十人と家族、親戚、警察の目の前で行われた惨劇でした。

 居合わせた人たちは、トラックに追いついて車輪の下のメルゲンさんを救い出そうとしましたが、全身の骨が折れ、頭部はすりつぶされたように原型をとどめていない、変わり果てた姿になっていました。
 メルゲンさんは35歳、妻と2人の子供がいて、末の子はまだ3歳。父親は既に亡く、母親は64歳と伝えられます。

 同様の、トラックによる故意のひき殺し事件は、昨年12月、浙江省の村で、強制立ち退きに反対していた村長が白昼ひき殺されたにも関わらず、警察は「交通事故」として処理し、不公平感が強く残り、社会問題となった事件が記憶に新しいところです。

 この時、警察官も臨場していながらトラック運転手は現場から逃走に成功しています(翌日逮捕)。掲示板の書き込みとして伝わる未確認情報によると、事故翌日の5月11日に現場を訪れたホルトゴル鎮の幹部は、お悔やみをいうどころか「なんの権限があって石炭輸送トラックの通行を妨害しているのか」と地元牧民を責め立て、翌12日から石炭輸送トラックが侵入再開。しかし牧民たちは通行妨害を継続し、(鎮より上の行政組織の)西ウジムチン旗政府が役人を派遣して、数日中にメルゲンさんの事件を解決すると回答した、という話が伝わっています。
 このままでは単なる交通事故として片付けられ、すべてがうやむやにされてしまうと考えた遺族や関係者は、環境破壊を放置した当局の責任を追及することを決意し、中国語やパソコンができる人を頼って現場の遺体写真を中国内SNSやfacebookに送って広め、海外メディアの記者に伝えようとしたものとみられます。

 (5月15日、同じシリンゴル盟のアバグ旗でも炭鉱開発企業と地元住民との紛争が起き、乱闘になってモンゴル人青年が死亡するという別の事件も発生しました→アバグ旗の事件について

 5月18日、在米中国人が運営するニュースサイト「博訊」に記事が出て、事件が明るみになりました。(上記の事件詳細も、主にこの博訊記事に基づいたものです)

その記事(博訊5/18)(凄惨な写真あり、閲覧注意)
http://www.peacehall.com/news/gb/china/2011/05/201105180000.shtml
5/18RFA「草原を守ろうとしたモンゴル牧畜民ひかれ死亡 河南省では同様の犯行に懲役4年」
http://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/cao-05182011153056.html

 5月20日、「モンゴル人はフフホトで30日に決起せよ」という檄文がインターネットに流れました。

 5月20日、事件に関する、西ウジムチン旗の5月19日付け通知が公式サイトで告知されました。メルゲンさんの事件(5.11案件)に対する対応として公式発表されたものです。(元アドレスはhttp://www.xwq.gov.cn/tzgg_0/201105/t20110519_657591.html 、現在はNot Foundになっています。キャッシュをスクリーンショットしたものがこちら 。文章はあちこちに複写され、中国国内のサーバーの掲示板にあるものは軒並み削除されています)
 概要は「(1)簡易道路(石炭運搬トラックが侵入している草地を指すと思われる)は本来的には草原として供されるものであり、補償金を支払う(2)ジリンゴル2号露天掘り炭鉱有限会社と牧民は協議に調印し、粉塵被害対策のための散水に使用する補償金を受け取る(3)損壊したフェンスの補修費用はジリンゴル2号露天堀炭鉱有限会社が負担する(4)ジリンゴル2号露天掘炭鉱有限会社は輸送車両の交通規範を厳しく監督する(5)ジリンゴル炭鉱採掘地区の周辺20万亩(ムー、1mu=1/15haなので、13333.3ha)を段階的に遊牧禁止とする」
 QQや携帯SMSでこの内容が現地の牧畜民の間にも広まり、特に、地元住民には何の連絡も反論の機会もなく一方的に禁牧が決定された第5項に対して、大きな怒りと反発が起こりました。

 5月22日博訊の記事によると、シリンゴル盟西ウジムチン旗政府の役人2人がメルゲンさん宅を訪れ、遺族に56万元を渡して事態の収束を図りました。「交通事故の賠償金は通例20~30万元にすぎず、それも長い裁判が終わった後でないと支払われないのだから、この金額は破格の扱いだ」と言われたといいます。
 記事では、賠償交渉は前日21日にも行われていて、住宅の提供や遺児の学費、未亡人の年金保障など、57万元以外のさまざまな条件も提示されたとしています。
 けれど、『交通事故の補償』として57万元が渡されたという話が伝わると、「犯人たちがうそぶいた『おまえらの命の値段は40万元』とそう変わらない、これほど命は安いのか」「メルゲンは事故死ではない、殺されたのだ」という反発も広がりました。

 5月23日午前、メルゲンさんの出身ホルトゴルソムなど4カ所のソムの人たちが、西ウジムチン247208_217356611622714_1000004513_2旗政府庁舎のあるバヤンウルホト鎮に集まりました。
 牧畜民たちは、メルゲンさんの死は事故でなく殺人である、246796_217357378289304_1000004513_2 逮捕した運転手をすぐに死刑にしろ、と訴え、「メルゲンの代わりに正義を取り戻す」「メルゲンは草原の英雄である」と役場を目指しました。
 RFA報道や掲示板への書き込みによると、現場には数百人の軍と警察が駆けつけて大通りを封鎖。役場へ向かおうとする牧民たちは暴行を加えられ、少なくとも学生1人、牧民3人の計4人が身柄拘束されました。

 5月24日深夜、政府の調整役がメルゲンさん宅を訪れ、メルゲンさんの遺体を火葬する必要があると迫りました。RFA報道によれば、政府担当者は夜通し遺族に対して火葬の許可を求め、おそらく、70平方mの新居の提供や轢いた犯人は必ず死刑にするなどの口約束をして、母親と未亡人に火葬の許可を迫り、最終的に遺族が同意したとたん、5月25日午前3時ごろには遺体を火葬場に運び入れ、午前5時には西ウジムチン旗火葬場からふもとの村に遺骨を運び出し、直接墓地に埋葬した、とされます。
 それまでの報道によるとメルゲンさんの遺体は「遺族が求めても遺族の元には返されず、病院の玄関に置かれたまま」だったといいます。
 メルゲンさんの遺体が慌ただしく火葬されたことが伝わると、「政府はなぜそんなに急に埋葬を急いだのか」「何かを隠蔽したのではないか」と反発が広がりました。

 メルゲンさんは仏教徒じゃなかったのかな、供養はしてもらえたのだろうか、クショはいたのだろうか、と些末なことが気になる私。

 5月25日午前8時ごろ、シリンゴル盟の行政府所在地シリンホト市の役場前に向かっHerders_protest_0525_1て、シリンホ247858_148350448570976_100001880667トの民族中学(シリンゴル盟モンゴル中学、シリンホト市モンゴル中学、シリンゴル盟職業学校)の中学高校生たち(※中国の中学は中高一貫制)が大通りを歩き始めます。草原を守り、メルゲンさんの名誉を回復するよう求める要請文を渡しました。
 RFA記事によると、「2000人を超える学生が盟役場前で要望書を渡そうと249330_148350108571010_100001880667すると、最初は漢人の幹部が出てきて中国語で応対した。学生たちは怒りまくり、モンゴル語で話せ、と詰め寄った。しばらくして副盟長(民族地区の『副』はたいてい少数民族)が出てきて応対し、善処すると伝え、学生たちは解07193 散に応じた」といいます。この記事によると、学生たちが提出した、モンゴル語で書かれた要望書は、「金銭の問題ではない、メリゲンさんは草原を守った民族の英雄だ、現代のガーダー・メイリン*として顕彰し、草原に記念碑を建てろ」と求めているそうです。
Herders_protest_0525_10  ちなみに、要望書の内容は、南モンゴル人権情報センター(米ニューヨーク)の5/25発表(英語)を訳した在日モンゴル人自由談話室の書き込みによると、「1.メルゲンさんの事件の補償を誠実に行うこと。2.地元の牧民が中国人坑夫に撲殺されたアバガ旗の事件を適切に解決すること。3.将来にわたってモンゴル人の牧民の権利を尊重するために、これらの事件について公営の地元メディアに報道させること」となっています。(ちょっと食い違います。学生たちの持参した要望書がこれなのかしら[モンゴル語]

*ガーダー・メイリン(嘎達梅林/Gaadaa Meiren:1892-1931、「防衛隊長の末っ子」を意味する通称)清朝~民国時代にホルチンで漢人の入植に抵抗し武装蜂起したモンゴル人。(wikiには「民族の英雄として有名な民謡が伝わるが放送禁止」と書かれてて、えっ、そんな人に例えてしまっていいの、環境破壊に抗議、という大義名分であれば当局も「それがいかん」とは言えないだろうのに、敢えてかつて武装蜂起した独立の闘士になぞらえて功績を讃えるなんて、国家分裂扇動なんちゃらの口実で怖いことになるのではないの、とぎょっとした……)

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2011.05.10

[5月9日VOT訳]中国当局、ンガバ中高生への管理強化

 ドル・ツルティム関連と同じ日に更新されたボイス・オブ・チベットに、ンガバの新しい関連情報が入っていたので、ついでに粗訳。

查看大图


当局、阿壩民族高中の管理強化

 【ボイス・オブ・チベット(ノルウェー)5月9日報道】チベット、アムドにある阿壩州民族高級中学*1は中国共産党の軍と警察の厳しいコントロール下に置かれており、当局はンガバ出身の学生を帰省させてはならないと命じている。

*1:阿壩はンガバの中国語名(音写)。高級中学(高中)は日本の中学~高校にあたる(中高一貫の6年制学校)。州の拠点校として、州全体から学生が集まる進学校(のはず)。阿壩州の役場があるバルカムにあり、ンガバからは200km以上離れている。

 ダラムサラ・キルティ僧院のチベット本土緊急情報収集本部メンバーのツェリンは本放送局に次のように説明する。
 (録音談話)「中国共産党政府は先月(2011年4月)22日、阿壩州民族高中の学生が使用している教材と副読本の抜き打ち検査を行い、政府の検閲を受けていないという口実で多くの学習教材や副読本が没収され、焼き捨てられた。さらに当局は学生に対し、今後、政府の認可を受けていない書籍の所持や使用は許されないと命じた」
 「阿壩州民族高中の学生は今年3月17日にハンガーストライキを行った。キルティ僧院の僧侶プンツォが民族の自由を訴えて焼身自殺を選んだことに共感と支持を表明したのだ。同時に、何一つ武器を持たないンガバのチベット人に武装した軍と警察を差し向けて殴打して逮捕拘束した後、学校のインターネットがブロックされ、教師や学生の携帯電話までもすべて没収されて、学生たちが外界と一切の連絡をとれなくさせられたことに対して抗議するものだった」
 またツェリンは次のように語った。(録音談話)「中国共産党政府は現在も、ンガバ出身の学生に対する『無期限帰省差し止め』を強く命じている。このため、彼らンガバ出身の学生たちは、今年の夏期休暇をキャンパスから出られずに過ごすことになりそうだ」

 ツェリンによると、今年33歳になるンガバのチベット人チュギャムツァン(Chogyam Tsang/曲堅)は先月(2011年4月)15日に消息を絶ってから一切の連絡が取れていなかったが、今月(5月)3日ごろ、成都市公安局と安全部の人間がンガバを訪れ、チュギャルの自宅などを捜索したことから、家族らは彼が成都で身柄を拘束されているのではないかと推測している。このほか、今年3月16日に公安に拘束された多数のチベット人のなかの1人に、ケルサン(Kelsang/格桑)という若いチベット人が含まれていることが分かっている。

 またツェリンによれば、中国共産党政府は先月(4月)18日、身分証を携帯した50歳から60歳のチベット人女性に限ってキルティ僧院内に入ることを許可したが、今月(5月)6日から再び新しい規定が定められ、今度は、僧院内に入ることができるのは1週間に1回のみ、かつ、すべての僧坊に軍と警察と公安局員が一律に配置され駐留することが決められた。このほか、当局はンガバのンガチュカ=音訳・阿曲卡=のある建物の中にたくさんのチベット人高齢者を集め、いわゆる“教育活動”を進めている。

中共加紧管控阿坝民族高级中学
【挪威西藏之声5月9日报导】位于西藏安多的阿坝州民族高级中学正处于中共军警的严密管控中,当局还下令来自阿坝县的学生不得返回家乡。
达兰萨拉格德寺西藏境内紧急情况联络小组成员次仁向本台介绍说,(录音)中共政府于上月22日,对阿坝州民族高级中学的学生课本和阅读书刊进行突击检查,没收并焚烧了很多被称是未经官方许可的书本。当局还责令学生在将来不得使用和收藏没有官方许可的书籍。
阿坝州民族高级中学学生于今年3月17日进行绝食活动,对格德寺僧人平措为民族自由事业选择自焚表达支持和声援,与此同时,抗议中共政府派遣军警对阿坝县手无寸铁的藏人进行打压和拘捕后,当局曾屏蔽了学校网络,没收师生的手机,禁止学生与外界联系等。
次仁说,(录音)中共政府还强令来自阿坝县的学生“无限期禁止返家”,因此,这些学生将有可能在学校中度过今年的夏季假日。
次仁表示,阿坝县现年33岁的藏人曲坚于上月15日失踪后,一直下落不明,但是本月3日左右,成都市公安和安全人员来到阿坝县,对曲坚的住所进行搜查,于是其家属猜测他被关押在成都市。此外,今年3月16日,遭中共公安拘捕的多名藏人中,已得知有一名叫格桑的年轻藏人。
次仁还说,上月18日,中共政府允许50至60岁的西藏妇女凭持身份证,进入阿坝格德寺内,但是从本月6日开始,当局又规定新的措施,允许在一周内只进寺一次,并对每间僧舍统一安排军警和公安人员进行驻守。此外,中共当局还在阿坝县阿曲卡(译音)一院子里召集很多西藏老年人进行所谓的教育活动。
http://www.vot.org/text_simple.html

 ほぼ同内容の英文記事(パユルが同一情報源を取材)はこちら→Tibetan man missing in Ngaba, authorities in Barkham grill students (2011.05.09)

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2011.05.09

[5月9日VOT訳]チベット人僧侶作家ドクル・ツルティムに実刑4年6月

チベット人僧侶作家ドクル・ツルティムに実刑
(ボイス・オブ・チベット中国語スクリプト版「西藏之声」2011年5月9日更新より)

 【ボイス・オブ・チベット(ノルウェー)5月9日報道】ここ数年、チベット本土で文化知識人が相次いで中国政府の政治的迫害に遭うなか、最近また1人の僧侶作家に判決が下された。
0705b_2  インド在住のあるチベット人が本放送局に明らかにしたところによると、中国共産党の馬爾康県地裁でこのほど、国家分裂扇動罪に問われたチベット人僧侶で作家のドクル・ツルティム(Dokru Tsultrim/卓日•次成)に対する判決公判があり、4年6月の実刑が言い渡された。近く成都の刑務所の一つに身柄を移され服役することになるとみられる。
 ドクル・ツルティムは昨年(2010年)5月24日、チベット、ンガバのゴマン寺院(Gomang Monastery/果芒寺)で身柄拘束された。彼は2009年4月2日ごろ、編集した文章が政治的に敏感な問題に触れたという指摘を受け、同時に1カ月以上も身柄を拘束されていた。同年、中国共産党当局は、彼が自費出版した文芸誌「雪の生命」をも発禁処分とした。
 伝えられるところでは、判決を受けた僧侶作家ドクル・ツルティムは、今年28歳、チベット、アムド地方のツォロ(青海省海南州貴南県茫拉郷)の出身という。

西藏僧人作家卓日•次成被判刑

【挪威西藏之声5月9日报导】近年来西藏境内的知识界人士陆续遭到中共政府的政治迫害,近日又有一名僧人作家被判刑。

西藏僧人作家卓日•次成

居住在印度的一名藏人向本台透露,所谓中共马尔康县法院于近日以指控涉嫌煽动分裂国家罪,对西藏僧人作家卓日•次成,判处4年6个月有期徒刑,并计划将押送到成都一家监狱中服刑。
卓日•次成于去年5月24日在西藏阿坝州果芒寺中被拘捕。他在2009年4月2日左右,曾被指控其撰写的文章涉嫌政治敏感问题,也遭到一个多月的强行拘押,当年中共当局还禁止出版他私办的文学报纸《雪之生命》。
据了解,被判刑的西藏僧人作家卓日•次成,现年28岁,是西藏安多海南州茫拉(贵南)县人。
http://www.vot.org/text_simple.html

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2011.05.07

[5月7日VOT訳]ドクル・ツルティムに近く判決

 記録としてボイス・オブ・チベット(中国語スクリプト版)の記事の訳を。
 元記事は→http://tibetalk.com/bbs/index.php?all=909
 判決はすでに出ている情報があるので注意(4年6月らしい)。追い付ければそちらもフォローします。


チベット本土で再び多くのチベット人が拘束される 
TIBET FORUM(图伯特论坛)2011.05.08投稿より

チベット本土でまたも多くのチベット人が拘束される

 【ボイス・オブ・チベット(ノルウェー)5月7日報道】今年3月、チベット・ンガバで僧侶が焼身自殺をはかり民衆が非暴力抗議活動を行ってのち、中国共産党当局は武力をもって鎮圧する強硬策をとり、伝えられるところでは数百人の僧侶と一般人が身柄拘束され、殴打により多数の死傷者が出た。

 現在インド南部に住むチベット人僧侶ツェリンが本放送局に明らかにしたところによると、(録音談話)「今年=2011年=3月16日、チベット・ンガバ(四川省阿壩自治州)の僧侶プンツォ(平措英勇)が焼身自殺をはかり、その後、中国共産党の公安は3月19日夜、ンガバのンガチュ(Ngatoe/安斗郷)タワ=塔瓦(音訳)村=のチベット人ツェリン・タシ(Tsering Tashi/次仁扎西)とトボ(不明/東保)を強引に拘束、現地ンガチュ(Ngatoe/安斗)寺院が間に立って動いたことで、当局はトボを釈放したものの、ツェリン・タシは依然として拘束されたまま所在不明となっている」。

 ツェリンによるとまた(録音談話)「中国共産党当局は、拘束されたチベット人ツェリン・タシは2008年の抗議活動に参加しただけでなく、今年3月16日のンガバ非暴力集会にも関与した。従って彼の犯罪容疑は非常に重く、絶対に釈放するわけにいかない、と表明している」。

 目下、中国共産党の軍と警察はンガチュ寺院とンガバとの間にかかる橋の一つに関所を設け、ンガチュ寺院の僧侶がンガバの中心市街へ行くのを妨害している。

 チベット人僧侶兼作家ドル・ツルティム(Dokru Tsultrim/卓日•次成)

 ツェリンはまた次のように話す。(録音談話)「今年のチベット暦新年を過ごし終えたあと、もともとの予定では、ンガバのチベット人はアムド各地から専門家や学識者を招き、チベット語の弁論審査大会を開催する予定だった。招待者だけでもンガバの13町村から出席者は3000人以上になりそうだった。単なる弁論大会で政治とは完全に無関係にもかかわらず、中国共産党当局は、弁論期間が群衆を管理するのに不適当だという理由でシャワ(音訳・謝瓦)大隊のプンロプ(音訳・布洛)とプチュン(音訳・普琼)の辞職手続きを進めた」。

 チベット・タイムズの報道によれば、中国共産党の阿壩県馬爾康地裁(チベットの地名ではンガバ、バルカム)で今月中にも、昨年5月24日に逮捕拘束されたチベット人僧侶で作家のドクル・ツルティム(Dokru Tsultrim/卓日•次成)ともう一人の僧侶の判決が下される見込みという。

 報道によれば、一週間前、チベット人僧侶で作家のドクル・ツルティムの家族が、馬爾康地裁からの通知書を受け取った。その中で、家族に対し、20日以内に馬爾康に来て判決公判に出席するよう求めていたという。

 さらに報道によれば、2008年にチベットで爆発的に広がった非暴力抗議活動の後、中国共産党公安は前後してチベット・カム地区デルゲのザコバルマ(Dzakhok Barma/中扎柯)で僧侶と一般人計28人を拘束逮捕し、うち僧侶1人が死亡、僧侶5人が現在も獄中でひどい拷問を受けており、そのほかに9人のチベット人が現時点でも行方不明となっている。

 このほか、今年3月に、西寧からキルティ僧院に戻る途中で中国共産党の公安に拘束されていたチベット人作家ゴ・シェラプギャツォ(Sherab Gyatso/果• 西热嘉措)は、1カ月以上の拘束ののちに、今週木曜日(5月4日)釈放された。しかしンガバに戻ることは当局から許されず、今のところこの僧侶は成都に身を寄せている。

[909] 西藏境内又有多名藏人被捕
发布者:西藏之声 - 5月8日
西藏境内又有多名藏人被捕

【挪威西藏之声5月7日报导】今年3月份在西藏阿坝境内发生僧人自焚与民众和平集会活动后,中共当局采取了武力镇压措施,导致数百名僧俗民众遭捕,多人被殴致死或致伤。

现居住在印度南部的西藏僧人次仁向本台介绍说,(录音)今年3月16日,西藏阿坝格德寺僧人平措英勇自焚后,中共公安于3月19日晚上强行拘捕了阿坝县安斗乡塔瓦(译音)村藏人次仁扎西和东保,随后在当地安斗寺的出面下,当局虽然释放了东保,但次仁扎西依然被监禁,下落不明。

次仁表示,(录音)中共当局声称,被拘捕的藏人次仁扎西不只参与2008年示威活动,今年3月16日也参与了阿坝和平集会,因此他犯有重罪,绝对不能释放。
目前中共军警在安斗寺和阿坝县之间的一座大桥上设置关卡,禁止安斗寺僧众到阿坝县城。

西藏僧人作家卓日•次成

次仁还表示,(录音)过完今年的藏历新年后,阿坝藏人原计划邀请安多各地的专家学者,参与藏语言核审辩论比赛,但后来被迫只邀请阿坝州13个县的3000多人出席,虽然这一辩论比赛完全与政治无关,但中共当局以辩论期间对民众的管理不妥为理由,对谢瓦(译音)大队队长布洛和普琼进行撤职处理。

另据西藏时报消息,中共阿坝州马尔康县法院决定在本月内,将对去年5月24日遭捕的西藏僧人作家卓日•次成和另一名僧人进行判决。

消息指出,一周前,西藏僧人作家卓日•次成的家人收到了马尔康县法院的一份通知书,其中要求家人在20天内,到马尔康县法院参加审判大会。

消息还指出,2008年西藏爆发和平抗暴运动后,中共公安先后拘捕了西藏康区德格县中扎柯乡28名僧俗民众,其中1名僧人死亡,5名僧人正在狱中遭受酷刑折磨,另有9名藏人至今下落不明。此外,今年3月,从西宁返回格德寺的途中被中共公安拘捕的西藏僧人作家果• 西热嘉措,被拘押一个多月后,本周四(5日)被释放,但当局禁止他进入阿坝县。目前这名僧人居住在成都市。
http://tibetalk.com/bbs/index.php?all=909

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(コラム訳)On Mastiffs, Typography and the Taming of Tibet―チベタン・マスチフと書体デザインからみえる「飼い馴らされたチベット」

 おおっ、チベット本土情報翻訳(英語)&論考系個人サイト「High Peaks Pure Earth」筆者のデチェン・ペンパさんが個人ブログ「Dechen's Blog」でチベタン・マスチフを題材にした日中合作アニメ映画とその主題歌歌ってるalanについてコラムを書いてるよ! ということで、勢い余って訳してみました。
 原文はこちら。


 先週、内外チベットで大きな話題を集めた「シャパレ・ラップ」を紹介しましたが、今回のコラムではそれと正反対の、中国当局が間違っても禁止することはないミュージックビデオを紹介しようと思います。

Babil04

 6月28日に中国で公開される新作アニメ映画「チベット犬ドルジェ(Tibetan Mastiff Dorje)」の予告編を兼ねたミュージッククリップです。歌っているのはalan(アラン・ダワドルマ)。
 中国の国営メディアによれば、「チベット犬ドルジェ」は日中合作アニメーション映画であり、そのことで、なぜalanが主題歌に起用されたかの説明がつきます。現代チベットポップカルチャーにハマっている人なら、ダルツェド生まれのアラン・ダワドルマが、日本のJポップ界でスマッシュヒットしていることをご存じのことでしょう。(*1)
 彼女はまた、2008年にジョン・ウー監督が制作した2部編成の大作映画「レッドクリフ」の主題歌を歌ったことでもそこそこ知られています。
 もし誰か、なぜ彼女が自分を「alan」と呼んでいるか説明することができる人がいるなら、私はそれをぜひとも知りたいものです!(*2)

*1:ダルツェドは育ちで、出生地は違ったと思うけど^^
*2:両親の名から1文字ずつ取って芸名にした、とどこかで見た覚えがあります。出典が探し出せませんが…。デチェンさんに教えてあげたい! と思っていたら、ブログがアップされた当日のうちに、速攻でコメント欄に誰かが書き込んでいました。(はやっ!!)

 映像を見るお手間をとっていただいて恐縮です。ミュージックビデオをわざわざ見ていただいたのは、短いビデオの中に、注目すべきいくつかのポイントが凝縮されていると感じたからです。
 まず一つはチベタン・マスチフ。
 報道によれば、「『チベット犬ドルジェ』は、西南中国チベットの高原を舞台に、10歳の少年テンジンと彼が救ったマスチフ犬を主人公としたベストセラー小説が原作」(中国西藏新聞網2011.03.23)なのだとか。
 チベタン・マスチフの実物とその関連物に対する、中国のにわか成り金たちの飽くなき欲求に応え、大手アニメ会社がマスチフを題材として取り上げるのは、興行的に十分に理解できることです。成り金中国人はステータスシンボルとしてのチベタン・マスチフにとりつかれていて、先月、ある石炭王が赤マスチフに150万ドルを支払ったという話がニュースになるほどでした。(*3)
 チベタン・マスチフはまた、ここ数年、小説の素材としてもむさぼり消費され、中国では、チベタン・マスチフが登場するベストセラー作品がいくつも生まれています。

*3:成り金にマスチフが売れているといっても、アニメは別モノでしょう、客層が違うでしょう? と思ったらどっこい、 「alan 中国語版新曲《呼唤》PVを《中国第七回チベット犬展覧会》で初公開」とあり、チベットから遠く離れた東北地方の都市瀋陽で開かれた「チベット・マスチフ品評会」(ドッグ・ショーみたいなものだよね?)で映画のプロモーションをしたそうです。YouTubeの動画ではalanがミニライブで歌ってます(映ってないけど会場にはマスチフ1000頭が展示されてるはず)。アニメ映像はここが初披露だったらしい。なんかすごい世界だ。

Tibetcodeandmastiff

 そのなかでも有名なものが、今回のアニメ映画原作でもある楊志軍「蔵獒(チベタン・マスチフ)」=上画像右=や、何馬「蔵地密碼(チベット・コード)」シリーズ=上画像左=です。チベット・コードは2008年3月(皮肉なことにも)に第1巻が発売され、大ヒットとなり、現在9巻を重ねています。私は第1巻を読んだだけですが、基本的に、伝説のチベタン・マスチフを登場人物すべてが探し回る、という筋立てでしかありませんでした…。
 ちなみに、個人的なチベタン・マスチフもののお気に入りは、80年代に「ラサへ帰ろう」http://goo.gl/Jv7nc が大ヒットしたロック歌手・鄭鈞が描いたコミック作品「搖滾蔵獒(チベタン・ロック・ドッグ)」です。

Tibetanrockdog
 こうした出版作品を通じて、私は別のものにも注目するようになりました。それが今回取り上げたいもう一つのテーマ、フォント(字体デザイン)です。
 「チベタン・マスチフ(蔵獒)」や「チベタン・ロック・ドッグ(搖滾蔵獒)」表紙の、文字上部に覆いがついたような修飾のデザイン文字を見てください。これは、中国語の漢字字体をチベット文字に似せようとデザインされたフォントの好例です。別の言語の文字をまねてそれらしい雰囲気にする陳腐なフォントデザインは、一つのジャンルとして「シミュレーション・フォント」と呼ばれています。例えば英語のアルファベットをアラビア文字に似せる「アラビック・シミュレーション・フォント」の例がこちらのサイトにまとめられています。
 私はここ何年も、この「チベット文字風漢字フォント」にハマっていて、目につく物をコレクションしていました。(*4)
 このフォントデザインに最初に言及したと思われるのは、アート系サイト「単位.org」http://goo.gl/4oatb で、そこでは「Tibetan-style Chinese(チベット風漢字)」と名付けられていました。「チベット文字風漢字」の流行は瞬く間に共産中国全体に広がり、ブックカバーからアルバムジャケット、食品の包装紙に至るまで、「チベットの」とつくものなら基本的にどこででも目にするようになりました。そしてとうとう今回、alanのミュージッククリップで、この字体で字幕がついているのを初めて目撃するに至ったのです。

 このフォントには、alanが中国語とチベット語と英語の3カ国語を駆使して歌っているのと同じくらいウットリさせられます。alanのファンフォーラムによれば、この「The Call(呼喚)」の日本語版もどこかにあるようです。(*5)

*4:原文からURLが取り出せずここで直接リンクできませんが、原文サイトhttp://goo.gl/Gmvnq にスライドショーがあり、デチェンさんが収集したチベット語風デザインロゴの使われているレストラン看板、映画ポスター、食品パッケージ、装丁、ウェブサイトのバナー、ポイントカード、などなどの画像が見られます。けっこうな量で、興味ある人はぜひ。 
*5:ツイッターで流したときは「ないと思います…」とつぶやいてしまいましたが、私が疎かっただっただけで、今年3月2日発売のベストアルバム「JAPAN PREMIUM BEST」のボーナストラックとして収録されていました。日本語題「ECHOES」、
音源がYouTubeに上がっています

 チベタン・マスチフ、歌手、音楽、チベット文字風漢字 ―― これらすべての共通点は、エキゾチックに演出強調されたチベットやチベット人である、という点です。今後、私はこのテーマについて学究的に取り組もうと考えています…。
 中国のこれまでのチベットに対するイメージは「粗野な未開の土人」であり、このようなエキゾチックな演出は、チベット人をニュートラルに扱い、宥和させるものでもありました。字体フォントでさえ、チベット文字には、ただ「目新しい」という以上の意味はないのです。
 これは居心地の悪い政治的介入を巧みに避ける方法の一つでもあります。「未開の土人」は、いまや、「エキゾチックな先住民族」につくり変えられました―― これははたして、チベットが飼い馴らされたことを意味するのでしょうか?


 ……すみません、わーいalanだalanだと思って訳してみたんですが、デチェン・ペンパさん、alanの歌やパフォーマンスにはほとんど触れてくれませんでした(笑)。欧米系チベット人からみて、J-pop系チベット人アイドルという存在がどう見えるのか、褒められるかけなされるかだけでも聞いてみたかった(笑)。
 そしてデチェンさんは英語ネイティブな方なので、すいません、英語自体がよく分からないけど勢いで解釈してみた、なところがあります。最後の、チベット文字風漢字フォントについて「うっとりする」と書いている部分にしても、文字通り「これは面白い、すばらしい」と言っているのか、表面的には褒めているけれど実際には皮肉って「チベット文字やチベット文化が単なる商業デザインとして消費され、見た目だけのチベットっぽさが売りにされたところで、チベット文化の本質は何も伝わらないし、中国人富裕層の消費するチベットと、チベット人自身にとってのチベットは乖離していくだけだ」という意を含ませているのか、私にはわかりませんでした。イギリス英語に長けたチベット関係の方にはぜひ原文を読んでいただければ幸いです。
(まあデチェンさんにはいつか直接会うことがあればゆっくり話を聞いてみようと思います。)
 

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