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2013.11.08

中国政府オフィシャルサイトからチベット国歌が! の周辺の話題

※短い引用訳出はTumblrを使ったりしていてココログがあまり稼働しておらずすみません。今回、長文やリンクが増えそうなのでブログを使うことにしました。まとまったコラムではなく覚え書きです。統一感なくてすみません。

 「中国政府が新しく立ち上げたプロパガンダサイトでチベット国歌をBGMに使う痛恨のオウンゴール!」(チベットNOWルンタ http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51808978.html)について関連を。
 「チベット語ページに掲載されていた動画だし、責任を問われて処分されるのはチベット人だったりしないだろうか?」「チベット人が仕組んだことではないか?」など周囲で盛り上がっていたので、本土や中国ではどんな話題になっているのか、ちょっとだけみてみました。

1) やらかした動画について

 《暴走青春 光影流动的西藏——李背包和杜小胖的西藏旅行视频纪录》(青春の暴走 光と影の流れゆくチベット――バックパッカー李くんと杜ちゃんのチベット旅行映像記録)というのが、アップされていた7分14秒の動画のタイトル。
 カップルであちこちを旅行しながらマイクロブログweiboに旅日記や映像をアップしている「旅行作家」らしく、今年5月頃からweiboに書き込みが登場しています。
http://s.weibo.com/weibo/%25E6%259A%25B4%25E8%25B5%25B0%25E9%259D%2592%25E6%2598%25A5%2520%25E5%2585%2589%25E5%25BD%25B1%25E6%25B5%2581%25E5%258A%25A8%25E7%259A%2584%25E8%25A5%25BF%25E8%2597%258F%25E2%2580%2594%25E2%2580%2594%25E6%259D%258E%25E8%2583%258C%25E5%258C%2585%25E6%259D%259C%25E5%25B0%258F%25E8%2583%2596&b=1&page=3
 検索結果から日付を辿ると、動画がアップされたのは2013年6月末。動画末尾のクレジットによると、制作は「录途影像」という北京の映像制作会社。李鹏さんと杜莎さんのカップルが世界各地をバックパッカー旅行する映像をシリーズでつくっているようです。
(企業公式weibo)
http://weibo.com/p/1006063212930602/home?from=page_100606&mod=TAB#place
 これをみると、動画を制作したのは北京在住の漢人で、チベット人はかかわっていないとみていいんじゃないかと思います。

◇参考:主演?の李鵬さんが撮影裏話を紹介している自身のブログ。
動画も埋め込まれていますが、残念ながら「この映像は削除されました」となってしまっています。
暴走青春 光影流动的西藏——李背包和杜小胖的西藏旅行视频纪录 http://www.mafengwo.cn/i/1287594.html

(参考:YouTubeにアップされていた複製で、公開は2013年6月25日となっていますが、なぜか11月8日時点で既に手際よく冒頭1分33秒の音声が消去されたもの)

 動画は、全編にわたって漢人の若い金持ちカップルがチベット各地の「きれいな風景の前で」記念写真を撮りまくるシーンで構成されています。ジョカ ン前で五体投地するチベット人仏教徒の姿も、聖地に祈りを込めて積まれた石も、よりよき来世を願って身につけてきたものの一部を聖木にかけて「うまれかわ り」を祈る習慣も、彼らの前ではすべて「きれいな風景」でしかありません。遊牧民の家で干し生肉の一片を嫌そうにつまんだり口に入れかけて出してみたり、 マニ車をオモチャみたいにぶん回して遊んでみたり、シンギングボウルを「チーン」とひっぱたいたり、漢人がいかにチベット文化に無関心・無理解で植民地侵 略者であるかを端的に示す、ほんとにいい映像資料になってます。

2) 動画への反応

2013110852154

 新浪weiboをタイトル検索した範囲で、かつ、weiboはよく削除されるので正確なところは分かりませんが、現時点で検索結果からみる限りでは、普通と言うか、あまり大きな反応はなく、チベット人の(中国語での)反応はゼロです。
 主に漢人が、
「チベット…一生の間に一度は行ってみたい!」
「ぼくも旅行に行きたくなった。この動画は一見の価値ありだぞ!」(※この発言は一字一句同じものが3つも並んでるのでヤラセ投稿かも)
「ヤバいねチベット ところでこれ全体の旅費っていくらくらいなの?」
などの発言を投稿している程度でした。もちろん、BGMについて触れている人はいませんでした。

3) VOAなどに報じられて以降の反応

[中国人のツイート]
中国政府のオフィシャルサイト「中国チベットの声ネット」はオープンしてまだ日も浅いのに、民衆は意外にもサイトのトップページでミュージックビデオのなかに禁止されているチベット国歌、すなわち現在のチベット亡命政府の国歌でもある「Gyallu」が流れているのを発見してしまった。もし「較量無声」がアメリカ映画からBGMを盗用したのだとしたら、じゃあ、チベット関連の中国政府オフィシャルサイトがチベット亡命政府の国歌を使用しているのはどう説明するんだろう?

[ウーセルさんのツイート]
およそ2カ月ほど前、チベット衛星テレビの、あるチベットの現代芸術家をテーマにした番組のエンディングのBGMが、まさに今回のダラムサラの子どもたちが合唱するチベット国歌でした。私も聞きました。

※えーーっ、初めてやらかしたんじゃないんだ!!!

[チベット人のツイート]
聞いたわ、すっごくよかった。チベット衛星テレビで放映された映像も、この「バックパッカー李君と杜ちゃん」のビデオなのかしら?

「ウーセルさんのツイート」
(「前半の子どもたちの歌の部分は、覚え間違いでなければ、ケルサン・チュキも歌っていた歌ではないですか? とてもいい歌! 聞きながら思わず鼻歌が出そうです」に返信して)
そうです、ケルサン・チュキのアルバムのなかに彼女が歌ったチベット国歌があります。とても感動的です。

[ウーセルさんのツイート]
チベット衛星テレビで放映されたのは、この動画ではありません。あるチベット人画家のインタビューで、終わりの部分でこのダラムサラの子どもたちが歌うチベット国歌が流れたんです。当時それを聞いた私は驚きすぎてあぜんとしましたよ。

[ウーセルさんのツイート]
(「そのインタビュー番組の映像はネット上にありますか? チベット語? 中国語?」という質問に答えて)
中国語です。その日はネットにも上がっていました。ただ、エンディングのBGMのせいで、インターネット上では今は、最後の曲の部分だけカットされたものしかありません。

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