2012.01.27

ダンゴ、セルタの抗議活動に関する中国側発表(補足その2)

(追記)チベットNOW「ダンゴ、セルタ事件に関する中国側の発表等」で触れられている謎情報について個人的見解による補足。

ところで、一つ気になる記述を今日付Tibet Times http://p.tl/M0Qlの中で読んだ。25日付けの新華社に「1月23日の午後2時頃、僧俗のチベット人100人程が違法な暴力行為を行い、3人の僧侶が焼身自殺を行った。しかし遺体はチベット人が運び去り我々の下にはない」と発表したというのだ。これを受けTibet Timesは「あらためて焼身抗議の事実があったかどうか、関係各位に確認したが、その事実は今までに確認されていない」という。

はっきりとは言えないが、考えられることは、「当局は3人の僧侶が発砲により死亡したということを聞きつけ、これを焼身自殺したことにしよう」と考えたのではないか?焼身したと言ってすぐに「もう死亡した」と断定しているのもおかしい。

しかし、この新華社の記事の原文は確認されていないので誤訳という可能性も否定できないが、それにしては記述が詳し過ぎるような気がする。

これについてですが、私自身は、
https://twitter.com/#!/uralungta/status/162450469464182784
https://twitter.com/#!/uralungta/status/162459518968676353
で最初に24日新華社電を訳した際にtonbaniさんに推論したとおり、「(集まった群衆は)あるならず者の『これから僧侶3人が焼身する。遺体は絶対に政府に処理させてはならない』という流言飛語によって扇動され…」という部分のカッコ内が誤訳された、という説をとっておきます。
tonbaniさんが紹介された、Tibet Times(原文チベット語)が新華社報道を引用した内容「25日付けの新華社に『1月23日の午後2時頃、僧俗のチベット人100人ほどが違法な暴力行為を行い、3人の僧侶が焼身自殺を行った。しかし遺体はチベット人が運び去り我々の下にはない』と発表した」という内容ですが、

  • 25日に出た新華社電はセルタの事件に関するもののみでダンゴの事件に関する新たな記事は出ていない→日付は引用時か閲覧時の勘違い? (インドとの時差も2時間半だけどある)
  • 24日新華社電だと仮定した場合、原文「在有不法分子“将有3名僧人自焚,不能把遗体交给政府处理”造谣煽动下,」のうち、ならず者が飛ばした流言飛語、つまり新華社のまったくの作り話といってもいい部分
    “将有3名僧人自焚,不能把遗体交给政府处理”
    の中国語に「不能」(できない/直訳でcan not~/not able to~の意味となる)が含まれていて、字義通り訳してしまうと、「まさに3人の僧侶が焼身する。遺体を政府に渡して処理することができない/Three monks are going to self-immolate, (You) can not give government the body for processing.」となり、Tibet Timesに現れる内容に酷似する。
    ※Google翻訳で中国語→英語にかけたところ、There will be three monks self-immolation, not to the government's handling of the body という文になりました
    ※実際には、「将(まさに)…」で始まる近い将来の話題に「不能…」と続くので、「できない」ではなく「絶対にあってはならない」「(そんなことが起きたら)とんでもない」的なニュアンスになり、私のイイカゲン訳では「絶対に政府に処理させてはならない」と意訳しております
  • tonbaniさんも不審だと指摘していた、「遺体」という単語がどんぴしゃで使われている

あたりを推測の根拠としております。

決して「Tibet Timesがいいかげんだ」というつもりではなく、現地から直接伝えられる声を知ることのできる貴重な媒体であり、かつ基本的にチベット人は「嘘をついたり誇張しない、見たことだけを伝える」人たちなので非常に信頼できると思っております。ただ、こと新華社電引用については、もともとが訳のワカラナイ作文であるだけに、拡大解釈して憶測・推測すると伝言ゲーム式に推測の幅が広がってしまう危うい部分があるのではないか(要するに、新華社電は原文だろうと引用だろうとどれもこれも信用できない)と思うわけです。あともちろん「3人が一度に焼身をはかったなどというとんでもないことは実際には起きていないほうがいい」という気持ちもさすがにありますが。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ダンゴ、セルタの抗議活動に関する中国側発表(補足)

 23日以降のチベットの事態急変に、べそかきながら情報を集めています。
 個人的には2008年3月当時に近い限界状態まで来ているんですが、考えてみたら、あのときはまだツイッターやっていなかったし、微博もなかったし、facebookも登録だけはしたけど放置状態で、ダラムサラから届くメールにひたすらおろおろしていたような。

 ルンタ(表)のtonbaniさんが、チベット語と英語から日本語への情報ルートをつくっているのを、「ルンタの裏」であるうらるんたは中国語ソースで確認、補完できるもので補足したりしているわけですが、26日のブログ「ダンゴ、セルタ事件に関する中国側の発表等」で私の訳を紹介していただきまして、多少の補足をしておこうと思います。

 「チベットNOW」のほうで最初に紹介されている1月24日の新華社電ですが、中国当局の公式見解であるところの新華社報道は、これが現れるより以前の23日当日に、中国評論新聞(香港か台湾のメディアと思われる)などが引用する形で流れ、しかし本家新華社サイトでは確認できなかったバージョンがあります。報道という名の当局発表が流れた時系列ではこちらが先になります。単純な翻訳だったので23日当日に訳してGoogle+に上げていましたが、転記しますのでこちらも参考にしてください。

https://plus.google.com/u/0/117022253692448940644/posts/ffcrk5HKDBo

四川甘孜州炉霍派出所が襲撃される もめた1人が死亡
2012-01-23 22:34:24
【中国評論新聞社北京1月23日電】 四川省甘孜州炉霍県政府が把握した情報によると、23日に現地で1件のもめごとが起こり、現地の派出所で襲撃と打ち壊しが起こる過程で、もめごとを起こした1人が死亡した。
新華社通信によれば23日、ある人が甘孜州炉霍県のバスターミナルの三差路でビラを貼りだし、「ここで僧侶が焼身抗議する」というデマをまき散らした。正午過ぎから数十名の僧侶や俗人が次々にこの三差路に集まり始め、一部は棍棒や石などの物品を手にし、少なくない野次馬も集まってきた。
14時近く、集まったうちの一部が新都鎮公安派出所を襲撃、破壊行為を始めた。現地の公安人民警察はただちに法律にのっとってもめごとの制止活動を行い、16時ごろ、事態はおおよそ鎮静化した。
公安人民警察が法律にのっとってもめごとの制止活動を遂行する過程で、警察官5人が負傷し、もめごとを起こした1人が死亡した。
現時点では、炉霍県の市街地の秩序は既に正常に回復している。現地の民衆は、派出所を襲撃した違法な暴力行為を激しく非難している。

<注目点>

  • こんな短い文に「法律にのっとったもめごとの制止活動」が2回も。→法に基づいたのだ、というのが当局の「主張」(=この記事で印象づけたいこと)であり、「法治を超えている」「やりすぎだ」と突つかれたくないのだ、ということがわかる。
    →支援する側は「法的根拠もないのに任意で身柄拘束して人権侵害だ」「非暴力デモに発砲するのは人倫的にも国際人権規約上も間違いだ」と言い続けたらいいんだ、ということもわかる訳で。
  • 「一部は」「~~などの物品を手にし」のあいまい描写→武器を持っていたと印象づけたいが銃や刀とは書けず、曖昧に「物品を持ってた」と書くしかなかったくらい全員が徒手空拳丸腰だった、素手の集団だった、ということがわかる。
    (チベット服では伝統的装飾的に帯刀するわけで1人でもそれ持ってたら「持ってた」「持ってた」書き立てるでしょう、それが書けないんだから相当の素手)
  • 「現地の民衆は暴力行為を激しく非難している」という唐突な一文(=「民意は施政者を支持している」という裏付けのない主張)→当局は「民衆暴動だ」「住民の抗議だ」と思われたくない=実際には地域の住民全体が当局に対して不服従の意思表示をした、ということがわかる。
    (中国王朝の伝統的な国家観では「住民に支持されていない」王朝はいずれ滅びる。またチベット統治において「民主的手法はつかっていないけれど『解放』され経済発展した人民は満足している」というポーズがとれないと西側に対して言い訳が苦しい)
    →実際は「チベット人住民は中国当局の施策を何から何まで支持していない」(=当局にとり「指摘されたくないこと」)。
  • これまでの決まり文句『ダライ一派に扇動されたごく一部の僧侶』という表現がない→23日の抗議は、相当に幅広い社会階層のチベット人が立ち上がったということが読み取れる。

(原文)
四川甘孜州爐霍派出所遭打砸 一鬧事者死亡
http://goo.gl/IVq09
2012-01-23 22:34:24   中評社北京1月23日電/四川省甘孜州爐霍縣政府獲悉,23日當地發生一起鬧事事件,一名鬧事者在衝擊、打砸當地派出所的過程中死亡。
  新華社報道,23日,有人在甘孜州爐霍縣車站三岔路口處張貼標語,散佈將有僧人在此自焚的謠言。
  中午12點以後,開始有數十名僧眾陸續在該路口聚集,部分人手持木棍、石塊等物品,引起一些民眾圍觀。
  14時許,部分聚集者開始衝擊、打砸新都鎮公安派出所。當地公安民警迅速依法制止鬧事行為,16時左右,事態基本平息。在公安民警依法制止鬧事行為的過程中,5名民警受傷,1名鬧事者死亡。
  目前,爐霍縣城秩序已恢復正常。當地民眾強烈譴責打砸派出所的違法暴力行為。

ブログ「チベットNOW」に引用された部分で、「持ち物ディテールが『刃物を持っていた』にグレードアップ。」と皮肉ったのは、23日にこの記事がどこかで(海外媒体向けに?)出た後、24日に中国国内からも読める形で配信されたバージョンでは、23日の記事では登場していなかった「刃物」が後から出てきたからです。

また、「この他の記事もあるとして…」のくだりは、tonbaniさんから、BBCなど海外媒体が「新華社によると」として引用している部分に、とても信じがたいトンデモ記述があることについて訊ねられたことに答えたツイートの転記ですが、これは23日のダンゴに関する記事ではなく、24日のセルタに関する記事に出てくる表現です。
セルタに関する新華社記事もまた、不思議な現象(?)が起きており、当初は国内向け媒体でも報道され、微博でも盛んに転送されていたのですが、海外媒体の報道を引用して紹介している、BBC中国語版の編集長李文と名乗る人の発言(25日18:24)によると

Weibo20120126_2

李文「たった今同僚から教えられたんだが、新華社の関連報道が神秘的なことに現在消えてなくなっている。私も検索してみたが、本当に見つからなくなったみたいで、英語版の報道さえなくなった」
チベット人「23日ダンゴ、24日セルタ、チベット各地は高度な“安定”状態にあるわけだ」
著名チベット人大学教授「(目を白黒させてぽろっと涙をこぼす絵文字)」

(※25日夕方―微博の時間表示は日本より1時間早い―に私は一度この書き込みを目にしていて、その時は、「この発言は削除された」と表示されている部分に引用発言が表示されており、23日と24日にカンゼで「騒乱」相次ぐ、という内容の記事の一部が転載されてました。早めにキャプっておくんだった)

というわけで、26日現在、24日にセルタで少なくとも1人が撃たれて亡くなった武力弾圧は、「新华社证实四川藏族自治州骚乱(新華社が四川チベットエリアの騒乱を実証)」(記者伝媒電子報)、「四川色达两名藏人被开枪打死多人受重伤(四川のセルタでチベット人2人が発砲により死亡、多数が負傷)」(RFA普通話)などとして引用紹介されたリライト原稿ばかりになっています。

これはアレですかね、「チベット人こんなトンデモナイことをした」と中国国営新華社が脚本つくり作文してみたものの、あまりのトンデモなさに海外から(RFAまで!)半笑いで引用され晒しものになる結果となり、半日程度であわててひっこめた、ということなんでしょうか。(いや思い込みかな…、2カ所目の暴動を認めた形となったことでメンツつぶれたと方向転換して隠蔽に回ったのかな…?)

探した結果、引用リライト記事ではなく、もともとの新華社電の記事そのままの全文転載であろうと思われるものを見つけたので、こちらをここで参考訳しておきます。24日にセルタで起きたことの中国側公式見解です。チベット側からの情報「今日セルタでデモ、当局の発砲により5人死亡か?」(チベットNOW@ルンタ1月24日)と比較してお読みください。

四川甘孜(カンゼ)州で再び派出所襲撃事件発生
2012年1月25日
【新華社成都1月25日電(記者苑堅)】 1月23日に四川省甘孜蔵族自治州炉霍県(カンゼのダンゴ)で起こった公安派出所襲撃事件に引き続いて、24日、甘孜州色達県(カンゼのセルタ)で再び派出所暴力襲撃事件が発生し、警察官14人が負傷、もめごとを起こした1人が死亡、1人が負傷した。
新華社記者が色達県政府から取材したところによれば、24日午後2時40分、色達県の金馬広場に100人近い群衆が集まり、反動的スローガンを叫んでルンタをまき散らし、さらに一部はこん棒や石ころ、刃物、ガソリン瓶(=火炎瓶)などの武器を手に持ち、城関派出所を襲撃した。
この派出所のある警察官は「ならず者どもは肌身離さず身につけている火炎瓶や石ころで人民警察を攻撃し、さらに私達に銃を向けて射撃してきて、14人の警察官が重軽傷を負うに至った」と話した。
説得や殺傷性のない警察装備には効果がなかったため、警察はやむを得ず法に基づいて銃によって自衛し、率先して騒動を起こしていたならず者(不法分子)1人が死亡した。騒ぎを起こした者を解散させる過程で、不法分子1人が警棒で殴られ負傷、不法分子13人が逮捕された。
色達県政府のある職員は「負傷者は全員が速やかに救急治療を受けている。目下のところ、色達県の秩序は正常であり、社会は安定している」と述べた。
四川省チベット学研究所のチベット学専門家一飛は「色達県の今回の派出所襲撃と23日に発生した炉霍県の派出所襲撃には、同じ特徴と同じ目的を備えている。ともに計画的であり、組織的で、公然と暴力をふるって法執行機関や法律執行人員を襲撃している。このような暴力的警察襲撃行為は、いかなる国家であろうと許されるものではない」と認定した。(終)

四川甘孜州再次发生冲击派出所事件
http://bbs.china168.info/article-10348-1.html
2012-1-25 10:09
摘要: 继1月23日四川省甘孜藏族自治州炉霍县发生打砸公安派出所事件后,24日,甘孜州色达县又发生暴力冲击派出所事件,14名警察受伤,闹事者1死1伤。 新华社记者从色达县政 ...
新华社成都1月25日电(记者苑坚)继1月23日四川省甘孜藏族自治州炉霍县发生打砸公安派出所事件后,24日,甘孜州色达县又发生暴力冲击派出所事件,14名警察受伤,闹事者1死1伤。
新华社记者从色达县政府了解到,24日下午2时40分,色达县金马广场有近百人聚集,呼喊反动口号,抛撒龙达,并有部分人员手持棍棒、石块、刀具、汽油瓶等器械,冲击城关派出所。
该派出所一名警察说:“闹事人员用随身携带的汽油瓶、石块攻击民警,并向我们开枪射击,造成14名民警不同程度受伤。”
在劝说和使用非杀伤性警械无效后,警察迫不得已依法持枪自卫,1名带头闹事的不法分子死亡。在驱散闹事者的过程中,1名不法分子被警棍击伤,13名不法分子被拘捕。
色达县政府一名官员说:“所有伤员都得到了及时救治。目前色达县秩序正常,社会稳定。”
四川省藏学研究所藏学专家一飞认为:“色达县这起冲击派出所的事件和23日发生在炉霍县的事件具有共同特征、共同目标,都有预谋、有组织,公开使用暴力手段攻击执法机关、执法人员。这种暴力袭警行为,在任何一个国家都是不允许的。”(完)

…というわけで、23日のダンゴの報道で「こん棒や石ころなどの何か」だった持ち物は、後発報道では「こん棒や石ころ、刃物」にグレードアップし、25日のセルタの報道では「こん棒や石ころ、刃物、火炎瓶」とさらにバージョンアップ。警官の談話にある「肌身離さず身につけている(随身携帯的)」火炎瓶(ガソリン瓶)とはいったい何のことやら。チベット人が常に火炎瓶を持ち歩いている人々だとはオモシロすぎ。
また、軍警の一般市民への発砲に免罪符を与えるべく「ならず者が先に銃を撃って攻撃してきた」というくだりも、それまで銃など持っていなかった「暴徒」が突然発砲したことになっていて、なかなか唐突感があります。
チベット人1人の死者を除き、負傷した警察官が14人、負傷・拘束したチベット人の数もぴったり14人というのも、「引き分け」にするよう数を合わせたのか、適当に作文しているうちに同じ数を書いてしまったのか、なかなか謎めいたものがあります。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2012.01.13

(ラブラン続報)[RFA中国語][新華社]訳: 司法当局が事実関係調査を言明

興味深い続報が出ていたので、経過を注視する意味で日本語にしました。

【13日21:20追記】
ツイッターで、チベット人作家ウーセルさんが「ブログにこんな伝言があった」と注意喚起しています。

匿名Jan 13, 2012 01:26 AM
安多夏河县阿木去乎公安分局枪杀一牧民,先该地区已被军队封锁。
(訳: 匿名 アムド夏河県アムチョク公安分局が牧畜民1人を射殺し、まず該当地区が既に軍隊により封鎖されている。)
http://woeser.middle-way.net/2012/01/1611.html
(上記記事のコメント4つめ)
注: 書き込み時間はbloggerのサービスでUTC標準時で表示されていて、表示時間とはずれている(中国だとして+7時間)。

匿名でのブログへのコメント書き込みですが、気になります。軍隊による武力封鎖のほうが事実だとしたら、新華社の官製作文にのんびりツッコミ入れてる状況とはだいぶ異なってきます。現地状況は不明ですが、予断を許さない状況もありうることを踏まえたうえで、以下のややのんびりした記述を読んでいただければ幸いです。


政府が譲歩か? 甘粛当局が公安局襲撃事件を調査するとの回答
2012/01/12 FRA中文
原文http://www.rfa.org/mandarin/Xinwen/Zhengfurangbu-01122012224310.html

甘粛省警察当局でこのほど、ある案件処理中に銃の発砲が起き、1人が被弾して死亡した。その後、民衆が公安局を襲撃し、中国司法当局はこの件について調査すると回答した。
中国の当局メディアは、甘南州夏河県の警察がこのほど、3人の窃盗容疑者を調査する際に反抗され、警察官1人が負傷し、1人が警察から銃器を奪いとろうとして暴発し死亡した、と報じた。
1月9日早朝、夏河県警察通報サービスセンターは、夏河民間空港施行隊警備通報所から、3人の何者かが工事現場のテントを盗み、バイクに乗って逃走したと通報を受けた。管轄する県アムチョク派出所は速やかに人員を派遣して事件が起きたばかりの現場で検証を行い、雪の上に残された跡を追ってアムチョク村アンゴ(音写:安果行政村)の南側のほとりの集落の民家にたどりつき、容疑者を取り調べている際に抵抗に遭い、対応する過程で死傷事件が発生した。
当日午前10時ごろ、死亡者の家族と一部の村民がアムチョク村公安分局と村政府を襲撃し、ここでも破壊行為が発生した。司法部門の責任者は、今後よく調査し、十分な証拠を集めた上で、できる限り早期の真相の解明に力を尽くし、法に則って厳粛、公正に処理する、と述べた。

政府讓步? 甘肃答应调查冲击公安局事件
http://www.rfa.org/mandarin/Xinwen/Zhengfurangbu-01122012224310.html
2012-01-12
甘肃警方日前处理一宗劫案时发生抢枪,一人中弹死亡。事后有民众冲击公安局,中国司法部答应会调查案件。
中国官媒报道,甘南州夏河县民警近日在调查三名盗窃嫌疑人时遭反抗,一名民警被打伤,一人在抢夺民警枪支时走火死亡。
1月9日淩晨,夏河县报警服务中心接到了夏河民用机场施工队报警,称有三人盗窃工地帐篷后乘摩托车逃离。该县阿木去乎派出所迅速派员赶赴案发现场调查,根据雪地痕迹追踪到阿木去乎镇安果行政村下南畔自然村一村民家,在调查嫌疑人时遭到抗拒,在处置过程中发生了伤亡事件。
当天上午10时许,死者家属和部分村民冲击阿木去乎镇公安分局和镇政府并发生打砸行为。司法部门负责人表示,将深入调查,充分取证,力争尽快查明真相,依法严肃公正处理。
Copyright © 1998-2011 Radio Free Asia. All rights reserved.


ほぉー新華社が報道したのか、どこどこ? と捜して、見つけました。
FRAの後半部分は、RFAだけ読んだのでは分かりにくいけど(日本の新聞記事もそうなんだけど)、新華社報道のほぼ丸写しだったんですね。つまり「中国当局は(新華社の報道によって)このように発表している」という記事だったと。
個人的見解として、新華社報道に関して「プロパガンダだ」とか「事実の捏造だ」とか言ってもはじまりません。「事件が存在した」ことの裏付けが取れた(=日付は合ってる)ことくらいでしょうか。

甘肃夏河县发生一起因处置刑事案件而引发的伤亡事件
http://www.gs.xinhuanet.com/news/2012-01/13/content_24533332.htm

粗訳は以下。

甘粛省夏河県で刑事事件処置に誘発された死傷事件が発生
新華網2012-01-13

【新華社北京1月12日電】 甘粛省甘南州夏河県の人民警察でこのほど、窃盗容疑者3人を取調中に抵抗に遭い、警察官1人が負傷、容疑者1人が警官の銃を奪い取ろうとして暴発して負傷し、甘南州人民病院に運んで救護に当たったが効果なく死亡した。
1月9日早朝、夏河県警察通報サービスセンターは夏河民間空港施行隊からの通報で、何者か3人が工事現場のテントを盗んだ後、バイクで逃走した、とする内容を受け取った。管轄する県アムチョク派出所は速やかに人員を派遣して事件が起きた直後の現場検証を行い、積雪の上に残された痕に基づいて追跡を実施、アムチョク村のアンゴ(音写)行政集落の南側のほとりにある自然集落の一つの民家にたどりつき、容疑者を取り調べる際に抵抗に遭い、対応する過程で死傷事件が発生した。
当日午前10時ごろ、死亡者の家族と一部村民が、事故のいきさつを理解していないことが原因で、アムチョク村公安分局と村政府に対して襲撃行為を行った。
司法機関は既に迅速な介入を行い、死傷事件を調査している。司法部門の担当者は、「死傷事件の証拠を調べ捜査するのは緻密で複雑な仕事であり、我々は今後更に調査を深め、十分な証拠を集め、できる限り早急に真相を究明するよう努め、法に則って厳密かつ公正に処理する」と表明した。
経緯の説明で、家族と村民は現地政府がとった事件取り扱いと対応に同意を示した。目下、死傷事件と襲撃行為に関する捜査が進行中である。

甘肃夏河县发生一起因处置刑事案件而引发的伤亡事件
http://www.gs.xinhuanet.com/news/2012-01/13/content_24533332.htm

新华网  2012-01-13 08:57  来源:新华社
新华社北京1月12日电 甘肃省甘南州夏河县民警近日在调查三名盗窃嫌疑人时遭到抗拒,一名民警被打伤,一名嫌疑人在抢夺民警枪支时因枪支走火受伤,被送往甘南州人民医院抢救无效死亡。
1月9日凌晨,夏河县报警服务中心接到了夏河民用机场施工队报警,称有三人盗窃工地帐篷后乘摩托车逃离。该县阿木去乎派出所迅速派员赶赴案发现场调查,根据雪地痕迹追踪到阿木去乎镇安果行政村下南畔自然村一村民家,在调查嫌疑人时遭到抗拒,在处置过程中发生了伤亡事件。
当天上午10时许,死者家属和部分村民因不了解事故原委冲击阿木去乎镇公安分局和镇政府并实施打砸行为。
司法机关已迅速介入伤亡事件的调查。司法部门负责人表示,伤亡事件的调查取证是一项细致复杂的工作,我们将深入调查,充分取证,力争尽快查明真相,依法严肃公正处理。
经过解释和说明,家属和村民对当地政府采取的处理措施表示认可。目前伤亡事件和打砸行为的调查正在进行中。(完)
编辑:李小荣


注目点は以下。

・記事の発信が北京である→この件が既に中央司法当局取り扱いの案件となっていることが分かる。
・公安分局襲撃に対し、「事のいきさつを理解しなかったため」と付記され、「分離独立勢力の扇動」などとは一線を引いているようです。「民族問題」にはしたくない、という姿勢がありあり。
※この、「集団襲撃などが起きる原因は群衆の無知からくるものであり、政府は無知蒙昧な人民を優しく諭して導く…」「地方政府が間違いを冒したとしても、党中央は正義の執行者として地方政府を指導する…」という配置関係は、中国当局の施政のすべての事象にみられる構図。このあたりでも、当局が、この問題に関してはこれ以上おおごとにしたくない、という姿勢を感じます。→逆に言えば、テント窃盗程度の微罪で銃を持ち出し、一般人が殺されてしまったという、あからさまな警察権力の失態であることは認めざるを得ない、というニュアンスを感じます。

どうでもいいけど気になった点は以下。

・容疑者の数が増えてる。増えてるにしては詳細はなく、死んだ1人しか登場しないし、まったくこの記事に書く必要のない要素。→海外媒体の既報で「2人」って出たから、どうにかして海外媒体報道との違いを出したかった?
・詳細な描写がないのに発砲だけ「容疑者が銃を奪い取り暴発」と断言→そりゃあ「公務員暴行陵虐致死(←こんな罪名中国の刑法にあるのか知らんが)ではない」と印象づけたいのは分かるが、警察官の負傷(通例なら英雄的行為を演出するためこちらを書き込んだりする)は具体的な描写がなく、前後の描写がないのに「銃を奪い取ろうとして暴発」だけ具体的記述があるのは却って不自然。チベット・タイムズに「窓の外から撃たれ」と具体的に書かれているのと相反するのも印象的。作文するにしてももうちょっとうまく整合性を持たせないと……。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2012.01.10

[RFA中国語]訳:ラブランで公安に撃たれチベット人男性死亡、大勢が派出所へ抗議

サンチュ空港滑走路が聖地に近すぎる ケンロでチベット人が当局と衝突
RFA中文 2012-01-10
http://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/ql1-01102012092514.html

 中国甘粛省南部のチベットエリアである夏河県(ラブラン)で今週、チベット人と公安の衝突事件が発生した。現地の公安が2人のチベット人を逮捕しようとした際、そのうち1人が撃ち殺された。FRAチベット語放送局の得た情報によると、警察当局はこの2人のチベット人に対し、現地の空港滑走路建設現場でテント2張がなくなったことに関連する疑いがあるとみていたという。死傷者が出たことをきっかけに、チベット人が派出所に詰め寄り、公安部隊は催涙弾を使用して詰めかけた群衆を鎮圧、多数の逮捕者と負傷者が出た。

 ケンロ、ラブラン(中国地名:甘南州夏河)で日曜日(1月8日)、チベット人2人が逮捕されたことをきっかけとする「群体事件」(大勢の人が立ち上がる民衆抗議)が発生し、公安部隊が催涙弾を使用して抗議活動を制圧した。RFAチベット語放送局に現地ラブラン村のチベット人から寄せられた情報によると、日曜日(8日)夜、中国の公安(日本でいう警察)と安全部門(日本でいう公安)の一隊が、ラブラン寺院付近の集落にやってきて、ゴンポ・キャプ(英文記事表記Gonpo Kyab)とゴンポ宅に招かれ滞在していたチベット人ツェドゥン(英文Gurgo Tseten/チベット語からのカナ表記グルゴン・ツェテン)を逮捕しようとした際、35歳のツェドゥンが撃たれ、現地チベット人の激しい怒りを招いた。

 注記: 中国語版にはありませんが、チベット・タイムズ(チベット語)には「窓の外から撃たれた」「(撃たれ)死亡した」の記載があるとのこと。また、中国語版には「夏河県の村」としか地名が記述されていませんが、チベット・タイムズによれば、現場は、夏河空港建設現場にほど近いアムチョクという村で、ラブラン(夏河県役場所在地)から62キロほど南東にあります。チベット人の感覚では、ひろーい意味ではラブランだと思います(ラブラン・タシキルを敬い、巡礼し、師をいだく)。

 情報によると、事件の背景には当局が夏河県に計画する臨時空港滑走路がある。滑走路のコースがチベット人が聖山として信仰するミニヤコンカ(*注)に近すぎるとして、チベット人から反対と阻止活動が起きていた。そこに最近、建設工事現場でテント2張りがなくなり、警察当局は上記チベット人2人の仕業と疑いをかけたのだという。現地チベット人の解説では、彼ら2人はテント紛失事件とは無関係であることを証明できるアリバイがあったという。しかし警察はそれを信じず、なおも2人を連行しようとして、さらには1人が死亡するに至った。

 *注: 中国語原文はミニヤコンカとなっていますが、ミニヤコンカとは位置関係が全く異なるのでチベット語→英語→中国語のどこかの段階での誤訳。RFA英文はAmnye Gong Ngo mountainとなっています。チベット語では གོང་སྔོན། とのこと。

 今週月曜(9日)、憤ったチベット人は現地の派出所に押し入り、戸口や窓ガラスを破壊し、警察官は派出所を逃げ出してサンチュ中心部まで逃れた。その後、特殊部隊と特殊警察車両22台が出動、催涙弾を使用し、3時間かけて鎮圧した。その際、警察車両も焼き打ちされ、警察は多数のチベット人を拘束し、また多くの負傷者が出た。

 記者は火曜(10日)、サンチュ(夏河)在住でかつて取材したことのある知人に電話取材した。しかし今回は記者が質問したとたん、「私に聞くな」と言って素早く電話は切れた。
記者「ちょっと聞きたいのだが、警察車両は焼かれたのか? 催涙弾が撃ちこまれた?」
回答「知らない。聞かないで」

(以下、県政府事務室への電話取材のやりとり部分省略。「住民抗議など知らない」という内容)

 また事実関係として、現地での航空建設計画は確実なものである。「蘭州日報」の12月11日報道によれば、夏河空港は国家と西北地区及び甘粛省の「民間航空“十一五”発展計画」(2010年から2015年までの開発計画)の重要プロジェクトの一つである。夏河空港の滑走路は長さ3000メートル、幅45メートル。11月末までに、滑走路の基礎土木工事で掘り返された土壌は84万1784.8立方メートルに至り、掘削必要量の86・3%まで終了しており、地盤の基礎処理は57・3%が完成している。

(以下、夏河県宗教局への電話取材のやりとり割愛。「住民抗議は知らない、聞いたことがない、滑走路の建設計画も知らない」という内容)

 元日(1月1日)から、チベットエリアでは既に3人が抗議の焼身をはかっており、チベット本土で頻発する抗議の焼身でチベットの状況はふたたび緊張しつつある。インドのチベット亡命政府が刊行する「チベット通信」編集者のサンゲ・キャプは一貫して状況を憂慮してきた。サンゲ・キャプは「我々はさらに多くの抗議活動が続くことを非常に憂慮している。中国政府に対し、チベット人の訴えに耳を傾け、緊迫した情勢を緩和するよう、中国政府に強く呼び掛けたい」と話した。

(RFA:自由アジア放送特約記者喬竜)
原文リンク: http://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/ql1-01102012092514.html

夏河飞机跑道近圣山 甘南爆藏人与警冲突(图)
2012-01-10
http://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/ql1-01102012092514.html

甘肃省南部藏区夏河县本周发生藏人与公安冲突事件。当地公安抓捕两名藏人时,其中一人被打死。据本台藏语部消息称,警方认为这两名藏人涉嫌与当地一个飞机场跑道工地丢失两个帐篷有关。事件引发藏人冲击派出所,公安发射催泪弹镇压,多人被抓及受伤。

M0110ql1pf 图片: 一名警察在监视一藏族家庭。 (法新社)

甘南夏河星期天发生因两名藏人被抓捕所引发的群体事件,公安发射催泪弹平息抗议。本台藏语部来自当地拉卜楞镇的藏人消息称,星期天晚上,一批中国公安和安全部门的人员前往拉卜楞寺附近的一个镇,在抓捕一名藏人贡保嘎步(音)及另一名到他家做客的藏人次顿(音)时,射中了35岁的次顿,激怒了当地藏人。

消息说,事件源于当局计划在夏河兴建一条临时飞机跑道,该跑道因建在被藏人奉为圣山的贡嘎山边,遭到藏民反对和抵制。而近日在施工现场的两顶帐篷失踪,警方怀疑是上述两名藏人所为。当地藏民介绍说,他们有证据证明事件与他们无关。然而,警方不信,坚持抓人,并致一人死亡。

本周一,愤怒的藏人闯入当地的派出所,砸坏门窗,警员撤出派出所逃到县城,然后派出特种部队及22辆载有特警的车辆,进行镇压,期间发射催泪弹,行动持续约3小时。事件中,也有警车被烧毁,警方拘留了许多藏人,并打伤多人。

记者周二致电夏河一位曾经接受采访的熟悉居民,但这次对方听到记者的提问后,迅速挂断电话,并称“不要问我”。

记者:想问一下,听说有警车被烧了?警察发射催泪弹?
回答:我不知道,你别问我。

本台多次致电夏河县公安局曾多次接受采访的值班室及法制科的多部电话,但都无人接听。

记者致电夏河县政府办公室,官员说:“没有听说”。
记者:我想问一下,前两天藏人跟警察发生冲突因为什么原因?
回答:这个事情没听过。
记者:听说警察发催泪弹,有几个藏人被抓走。
回答:哪有这种事情,这个没,怎么会有这种事情呢,那不就是造反了嘛。
记者:说当地要建一条路搭个帐篷失踪了,怀疑是藏人干的。
回答:没有,没有。
记者:你们当地是不是近来要建一条路?
回答:我们这儿没修路,修的是到兰州的路跟我们这儿有啥关系。

而事实是, 当地确实要建机场,据《兰州日报》12月11日报道,夏河机场是列入国家、西北地区和甘肃省“十一五”民航发展规划重点项目之一。夏河机场跑道长3200米,宽45米。截至11月底,跑道土方回填841784.8立方米,完成86.30%,地基处理完成57.30%。

记者又向县宗教局询问冲突事件,对方了解是海外媒体采访后,采取一问三不知的态度,并且同样否认要建机场。

记者:您好,问一下前两天藏族人跟警察是不是发生冲突了?
回答:你是哪里的?
记者:自由亚洲电台记者。
回答:哦,不知道。
记者:哪里在接手这个事情?
回答:不知道。
记者:是不是公安局在处理?
回答:可能公安局吧,不知道,可能没有出啥事情吧。
记者:听说有派出所被砸了是吗?
回答:没有。
记者:但是有消息是(说)抓藏人,最后发生冲突?
回答:不知道,真的没听说。
记者:你们没有听说?
回答:嗯,没听说。假如说有这个事情肯定是警察处理。我们天天在上班的没发现。
记者:小规模的抗议有吗?
回答:就没有事情,哪来的抗议?这个不知道,这个事情没听说。
记者:当地是不是有条路要经过圣山?
回答:怎么至于呢,这种一般都报的上去,这种冲突大的没有。

元旦以来,藏区先后已有三名藏人自焚,对于中国藏区近期频频发生藏人自焚抗议,令藏区局势再度紧张,在印度的藏人行政中央外交部刊物西藏通信编辑桑杰嘉一直表示担忧。他说:“我们非常的担忧,会发生更多的类似这样的抗议事件。我们强烈的呼吁中国政府必须面对藏人的诉求,改变缓和这种紧张的局势。”

以上是自由亚洲电台特约记者乔龙的采访报道。
Copyright © 1998-2011 Radio Free Asia. All rights reserved.

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2012.01.04

チベットで「中国共産党指導者の肖像画を飾らせようキャンペーン」

唯色 @degewa
恶心!——人民网:[西藏]山南地区举行送领袖画像进村入户活动 http://tv.people.com.cn/GB/150716/162495/162497/16222598.html
3:46 AM - 3 1月 12 webから
https://twitter.com/#!/degewa/status/153909948001165312

訳)ツェリン・ウーセル「吐き気がする!」 人民ネット:[チベット]ロカ地区で『指導者肖像画を村々の一戸一戸へ贈呈キャンペーン』実施

 映像は15秒ほどの短いニュース(中国語)ですが「1000人に肖像画を贈呈」「社会安定に貢献する」みたいな感じの内容。
 ちなみに描かれている4人は、右上が毛沢東(説明不要、1959年の法王亡命時の中国トップ、左上が鄧小平(文革終了後の1980年から中国の実権を握り1994年ごろまで君臨、97年死亡)、右下が江沢民(鄧小平後の1993~2003年の国家主席)、左下が胡錦濤(現トップ、但し今年の全人代で交代予定)。

Ainqd1cqaerual 唯色 @degewa
西藏自治区在新书记陈全国的领导下,迎来了文化大革命正式、隆重地卷土重来—人民网:[西藏]山南地区举行送领袖画像进村入户活动
2012年1月3日 - 13:25 webから

訳)ツェリン・ウーセル
(人民日報ネット版「チベット:ロカ地区で『中国共産党首脳肖像画を村々の一軒一軒に贈って浸透させるキャンペーン』実施」の映像ニュースへのリンクに)
「チベット自治区は新しい自治区書記陳全国の指導の下、正式かつ厳かに文化大革命の捲土重来を迎えている…」

唯色 @degewa
话说有关“送领袖画像进村入户”的事情,俺原本是没去关注滴,昨晚在人人网上看到年轻的藏人大学生们嘲讽此事,才毅然决然去关注了,想不到离开才两个多月的拉萨,已然是文化大革命“进村入户”且“进寺庙”了。。。
2012年1月3日 - 13:56 webから

訳)ツェリン・ウーセル
「この『指導者肖像画の村々戸々贈呈キャンペーン』についていえば、私はこれまでそれほど関心を払っていなかった。昨夜(※1/2夜を指す)人人ネットで若いチベット人大学生たちがこれを皮肉っているのを見かけて、ようやく意を決して関連ニュースを探して、思ってもいなかった現実は、わずか2カ月強前に離れたばかりのラサで、既にこれほどまで文化大革命が“村の一戸一戸まで浸透”し、“寺院に浸透”していたとは……」


Ainrfvqcaaagcug 共産党機関紙の記事は読んでるとくらくらしますが、とりあえず参考までに記事を一つ訳しておきます。要約すると、「蒙昧なチベット農業牧畜民に写真を飾らせ共産党への恩を常に感じるようにしますよ」ということ…かな? 毛沢東・周恩来の肖像画は、小中学校などではこれまでも非常によく見かけるものでした(義務かどうかは知りませんが、「共産党にはむかっていません」という一定の白旗表示になっている)が、今回、4人の肖像画を掲げさせる対象が、学校や病院などの公共施設のみならず、寺院や祠にも、という話も漏れ聞こえてきていて(軽く検索しましたが掲示する場所を解説している記事はありませんでした)、そうなると反発は必至ではないかと心配です。


山南地区(ロカ地区)で中国共産党指導者の肖像画を村々一軒一軒浸透キャンペーンイベント
山南ネット2011年11月03日
記者プルブ・ワンチュク、インターン記者万李 
 11月3日、我々の地方では、『中国共産党指導者の肖像画を描いて村々の一軒一軒に贈って浸透させるキャンペーン』イベントが開かれた。地区党委員会書記、人民代表大会の地区工作委員会主任チメ・リンチェン、地区委員会副書記の肖伝江、地区委員会委員で党紀律検査委員会書記の宗蓮、地区委員会委員で事務総長の王寿平が出席した。地区委員会副書記の華学健は談話を述べた。地区委員会委員で地方行政機構副専門員の張健は司会進行を行った。
20111103155501133725 (写真:ジグメ・リンチェンら党幹部が現場の民衆のため肖像画を掲げているところ)
 身を切るように冷たい寒風も、農民牧畜民大衆の高まる熱気を妨げることはできず、キャンペーンイベント会場は情熱的な喜びに沸きあがった。
 華学健は「チベット平和解放60年から、毛沢東同志、鄧小平同志、江沢民同志をもって中核的な党中央の三世代指導者グループである。胡錦涛同志は党総書記として党中央にあり、チベットの発展と安定に対して、またチベットの各民族の幹部と民衆の生活向上に極めて大きな配慮と支援に寄与した」と指摘した。共産党指導者の肖像画を描いて村戸に浸透させるキャンぺーンは、自治区党委員会および政府にとって、チベットの自治区情勢の特徴と各民族の幹部民衆の強烈な要求に基づいて策定した、一つの重要な身の振る舞いであり、愛国主義精神をさらに一歩高めることができるだけでなく、社会主義精神文明建設を強力に促進することでもあり、幅広い農業牧畜民の政治的自覚を適切に高めさせ、さらには、農牧業地域の思想文化および基盤の設立を必ずや強力に推進することになり、祖国統一と民族団結と社会安定の護持に寄与するものである。
 華学健は、中国共産党指導者の肖像画を村戸に贈り浸透させるキャンペーンは祝賀イベントの重要な内容であり、同時に重要な政治的任務の一つであり、各階級の党と政府は適切に肖像画を受け取り保管し受け渡す作業を、仔細に、確実に、しっかりと行うよう求めた。健康的・文明的・向上的思想は、農業牧畜地域の思想文化基盤を堅牢に占拠するよう努めねばならず、愛国的で、恩を感じ、勤勉で、団結し、開放的で、革新的な「山南精神」を強力に発揚させ、幹部と民衆に永遠に共産党への恩を銘記するよう教育指導し、この上ない非常によい情勢と貴重なチャンスを大切にし、大慶の祝賀イベントがかきたてる情熱を、飛躍的発展と長期安定の強大な動力を推進する力に転嫁させ、より一層自覚的に、共につくり共に享受する和諧社会を維持し、徹頭徹尾共産党の導く方向に向かって奮闘全身し、ヤルルンの大地で絶えず1人1人が奇跡を生み出すよう極力努め、1曲1曲の華やかな楽章を「諧」し続ける。
[編集:梁秋]

山南地区举行送领袖画像进村入户活动仪式
http://www.xzsnw.com/Info.aspx?ModelId=1&Id=41936
  来源:山南网  时间:2011年11月03日   作者:记者普布旺堆见习记者万李 
  11月3日,我地举行送领袖画像进村入户活动仪式。地委书记、人大地区工委主任其美仁增,地委副书记肖传江,地委委员、纪委书记党宗莲,地委委员、秘书长王寿平出席;地委副书记华学健讲话;地委委员、行署副专员张健主持。图为其美仁增等领导为现场群众发放领袖画像。

  凛冽的寒风阻挡不了农牧民群众高涨的热情,活动现场一片欢腾与热情。

  华学健指出,西藏和平解放60年来,以毛泽东同志、邓小平同志、江泽民同志为核心的党的三代中央领导集体和以胡锦涛同志为总书记的党中央,对西藏的发展和稳定,对西藏各族干部群众生活的提高给予了极大的关怀和帮助。送领袖画像进村入户活动,是自治区党委、政府根据西藏的区情特点和各族干部群众的强烈要求而采取的一项重要举措,不仅可以进一步弘扬爱国主义精神,极大地促进社会主义精神文明建设,切实提高广大农牧民的政治觉悟,而且必将有力地推动农牧区思想文化及阵地建设,有利于维护祖国统一、民族团结和社会稳定。
 华学健要求,送领袖画像进村入户活动是大庆活动的重要内容,是一项重要的政治任务,各级党政组织要切实把画像的接收保管和发放工作做细、做实、做好,力争用健康、文明、向上的思想牢牢占领农牧区思想文化阵地,大力弘扬爱国、感恩、勤劳、团结、开放、创新的“山南精神”,教育引导干部群众永远铭记党恩,倍加珍惜大好形势和宝贵机遇,把大庆活动激发出来的热情转化为推动跨越式发展和长治久安的强大动力,更加自觉地维护共建共享和谐社会,始终沿着党指引的方向奋勇前进,力争在雅砻大地不断创造一个个人间奇迹,谱写一曲曲华彩乐章。

[编辑:梁秋]

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2011.07.07

ダンゴのチベット人作家ペマ・リンチェン7月5日逮捕、激しい暴行を受ける

 原文はツェリン・ウーセルさんのブログ「看不見的西藏(invisible Tibet)」2011.7.7「藏人作家白马仁青于7月5日被捕,遭到毒打」

チベット人作家ペマ・リンチェン7月5日逮捕、激しい暴行を受ける

001
(写真1)若いチベット人作家ペマ・リンチェン

0021
(写真2)ペマ・リンチェンが書いたことにより罪を被ることとなった本『トゥ(見ろ)』

003
(写真3)ダンゴ(Drango)の公安局が発行した「拘留通知書」(逮捕状)

 25歳のチベット人作家ペマ・リンチェン(Pema Rinchen/筆名「ドゥツゥ<毒刺>」*1は、カンゼ地方ダンゴ*2の出身だ。

2011年7月5日白昼、ペマ・リンチェンはダンゴで県公安局の警察官に拘束され連れ去られた。彼は激しい暴行を受け、2日目(7月6日)にダンゴの県医院へ救急患者として運び込まれた。

 ジャンダ(Jangda/卡娘郷)のロンダ*3の家族は、その知らせを耳にして泣きながら病院に駆け付けたが、病室の外には大人数の武装警察と警察官が立っていて、見舞うことも許されなかった。現在のところ、ペマ・リンチェンは生死も不明である。

 ペマ・リンチェンは幼いころ出家した経験があり、その後還俗して作家となり、東チベットのカム地方では若い新世代のチベット人作家として比較的名が知られている。彼は今年初め、『トゥ(見ろ)』と題するチベット語書籍を自費出版した。主な内容は中国共産党のチベット地域に対する政策と行いについての検討と批評で、2008年にチベット全域に広がったチベット人の抗議活動に対する弾圧や、ジェクンド地震のさなかに起きたことにも筆は及んでいた。かつ、ペマ・リンチェンは2008年に抗議して重い刑を受けたチベット人にも取材していた。

 『トゥ(見ろ)』は2000冊印刷され、ペマ・リンチェンが逮捕される前にチベット全土の各地に広まり、ほとんど寄贈し終えていた。

 ダンゴの県公安局は7月6日午後、ペマ・リンチェンの家族に逮捕令状を提示した。(逮捕状には)ペマ・リンチェンについて「民族仇恨扇動容疑(民族の憎しみを扇動した容疑)で」現在「ダンゴの県拘置所に拘留する」としている。担当者の署名は惠小林と多吉仁真(ドルジェ・リンジン)になっていた。

 私は先月、ブログで『四川省当局に逮捕、拘束されたり判決を受けたチベット人作家と教師10人の記録』と題して記事を書いたばかりだが、当局のチベット人知識層に対する弾圧は歴然で、おさまるどころか、ますます激しさを増している。

 ここにおいて、再度、国際的報道メディアや国際ペンクラブ、国際人権団体に、注目と支援、救助を呼び掛ける。

 以下の画像は、ペマ・リンチェンの著作『トゥ(見ろ)』の序文や目次などである。


 ■逮捕状の本文訳

 炉霍県公安局<拘留通知書>
 炉公拘通 字〔2011〕21号
 真呷
 『中華人民共和国刑事訴訟法』第六十一条の規定に基づき、わが局は2011年7月5日20時において、扇動民族仇恨の嫌疑でペマ・リンチェンを刑事拘留し、炉霍県看守所において身柄拘束する。
 (公安局印)2011年7月5日


 *1 チベット語のドゥクツァ(毒草)に漢字を当てた、もしくは中国語の「毒刺(毒針で刺す)」、あるいはその両方を掛け合わせた意味を持つペンネームかもしれない

 *2 中国の行政区分で四川省甘孜自治州炉霍県

 *3 音訳。原文は降達村(音に漢字をあてたとみられる)。地図上ではジャンダ内の集落名「尽達(ジンダ)」または「辛達(シンダ)」か。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2011.05.28

[モンゴル関連資料]5月15日シリンゴル盟アバグ旗の事件概要

Abagu  [参考資料] シリンゴル盟(アイマク)の経緯を確認していたら、途中から「アバグ旗の事件の……」という内容が出てきて戸惑ったので、そちらも出てきた記事の範囲で訳出しました。炭鉱開発で生活環境が悪化した地元住民と炭鉱労働入植者との住民紛争だったようです。
 事件のあったアバグ旗のマニト炭鉱(ピンイン音写)は左地図(Aのポイントが立ってるところ)。中国地図では端っこですが、むしろ「モンゴルど真ん中」というべき位置。場所確認のため検索したら、周囲に「○○鉱区」「○○鉱区」という炭鉱採掘地区ばかりがでてきて、物凄いことになってるんだ、と改めて感じます。 

「内モンゴルで炭鉱開発巡り騒動2件」(香港文汇報)からアバグ旗の事件部分を抜粋。

(前半略)
 5月14日、アバグ旗マニト(漢字音訳)炭鉱区の平安鉱業有限会社第2採鉱区の周辺住民が、採鉱の騒音と粉塵による大気汚染や水質汚染を訴えて同社の福利厚生事務所に集まり、炭鉱生産の停止を要求した。翌15日午前9時ごろ、約30人が改めて採鉱場に集まった。午前10時ごろ、炭坑夫らと住民との間で衝突が起き、計7人が負傷。アバグ旗公安局が処理して事態をおさめた。
 15日午後6時ごろ、炭鉱区周辺住民の若い男性闫文龙(音写はヤンウェンロン、漢語名か)らが同社福利厚生事務所に車で到着。鉄パイプで事務所の玄関窓ガラスを打ち壊した。このとき、同社の職員寮から100人余りの炭坑夫が鉄パイプなどを手に反撃に飛び出し、駆けつけた人民警察に制止された。この間に、闫文龙らは乗ってきた車で採鉱場へ向かい、作業中だった炭鉱運搬車3台の運転手らと争いになった。運転手の1人が炭鉱運搬車を運転して闫文龙の乗るジーリー(吉利、中国メーカー車)の小型セダンにぶつけ、闫文龙は頭を打って即死した。


内蒙两起煤矿纠纷致死案侦破
 5月14日阿巴嘎旗玛尼图矿区平安矿业有限责任公司二采区周边部分居民因该矿噪音、粉尘污染和饮水等问题,到该矿生活办公区聚集,要求停止生产。15日9时许,30余名居民再次到该矿井聚集。10时许,该矿工人同这些居民发生冲突,造成双方各有7人受伤,经旗公安局处置,控制了事态。
 15日下午6时左右,矿区青年居民闫文龙等人驾车抵达平安煤矿生活办公区,手持铁棍等打烂办公室的门窗玻璃。此时,平安矿业宿舍内百余名工人手持铁棍等冲出宿舍欲反击,被赶到民警制止。在此期间,闫文龙等人驾车驶向该矿生产区,与3辆正在作业的铲车司机发生冲突。一名铲车司机开着铲车砸向闫文龙驾驶的吉利小轿车后,又将闫文龙头部撞击当场致死。

 亡くなった青年がモンゴル人かどうかもこの記事では分かりません。もう少し詳しいものがみつかれば追加します。南モンゴル人権センター経由では「中国人炭坑夫に撲殺されたアバグ旗の事件」となっていて、ややニュアンスが異なるし…。

 この件、博訊やFFAなどの民主系・反共産党系ニュースサイトに記事がなく*、モンゴル人住民側に取材したものが見当たらないので、文滙報の内容で全体像は分かったとはいえません。ただ一ついえるのは、同じシリンゴルアイマクですけど5月10日のメルゲンさんの轢死と相互に関連はないだろうということで、それぞれ別個に、同様の環境問題が生活を脅かしているのだ、と暗澹とさせられます。

 *民主系サイトに記事がないということは、逆にいえば、民主系サイトの記者が現地へのコネクションを持てていない、現地から民主系記者へのコンタクトなり告発がない、ということになり、中国政府の言う「外国の悪い影響を受けて引き起こされた」ものなどではない反証明なわけですがね

 30日追記:アバグ旗出身のモンゴル人の話では、この闫文龙青年はモンゴル人ではなく漢人で、入植農民だということでした。逮捕された石炭運搬車の運転手2人は1人が漢人、1人がモンゴル人ではない少数民族で、いずれも内地からの入植者とのこと。「実は牧畜民にとっては、農地開拓の入植者も、炭鉱開発の入植者も、等しく草原を奪った漢民族。だからこういっては申し訳ないがこの事件の顛末や行く末にはモンゴル人はあまり関心がない」とのことでした。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

2011.05.27

[モンゴル]シリンゴルで何が起きているのかの経緯まとめと30日の抗議活動

Location_of_xilin_gol_league_within  モンゴルの草原地帯、シリンゴル盟*が大きく揺れています。
 チベット人から経緯と現在の状況を尋ねられ、説明のためまとめたので、ブログにも載せておきます。現地からの情報にはタイムラグがあり、状況は現在進行形で変わっています。2011年5月27日正午時点で、私(うらるんた)が状況把握できた範囲(当然、すべて2次情報です)でのものとご了承下さい。

 *モンゴルでは清朝以来の統治機構に由来するアイマク(盟)―ホシュー(旗)―ソム(鎮)の行政区分が残る地域があり、シリンゴルはその伝統的行政エリアです(近年、多くが「市」などに再編されつつあります)


現時点での日本語報道は以下の通り。

中国:内モンゴルで1000人抗議行動 炭鉱開発に反対(2/26毎日)
http://mainichi.jp/select/world/news/20110526ddm007030078000c.html

中国:内モンゴルで1000人抗議行動 炭鉱開発に反対
 【北京・工藤哲】中国内モンゴル自治区北東部の西烏旗の地元政府前で24日、炭鉱開発による環境破壊に反対する住民約1000人の抗議行動があり、4人が警察に逮捕された。英BBC(中国語電子版)が報じた。
 現場周辺では従来、炭鉱開発業者による環境破壊から家や牧場を守るため30人余りの住民が集団で地元政府に対応を求めていた。住民の中心的存在だった遊牧民の莫日根さんが今月10日に石炭を積んだトラックにはねられ死亡し、住民は地元政府に死亡の原因究明を求めていた。
毎日新聞 2011年5月26日 東京朝刊

学生2千人が抗議行動 中国の内モンゴル(5/26共同/産経)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110526/chn11052601370001-n1.htm

学生2千人が抗議行動 中国の内モンゴル
2011.5.26 01:36
 英BBC放送(中国語電子版)などによると、中国の内モンゴル自治区シリンホト市の市庁舎前で25日、モンゴル族の学生ら約2千人が、石炭採掘による環境破壊に反対していた遊牧民がトラックにはねられ死亡したことについて、抗議行動を実施した。
 この遊牧民はモンゴル族で、仲間に呼び掛け炭鉱開発に反対するなどしていたが、11日に事故死。殺害を疑う住民が死亡原因の究明などを求め、24日にも抗議し、数人が拘束された。
 地元の警察当局は24日、遊牧民をはねたトラックの運転手ら2人を逮捕したと発表した。(共同)

内モンゴル自治区で数千人抗議 遊牧民ひき逃げ事件(5/27朝日)
http://www.asahi.com/international/update/0527/TKY201105260744.html

内モンゴル自治区で数千人抗議 遊牧民ひき逃げ事件
2011年5月27日0時47分
 中国内モンゴル自治区で遊牧民が石炭を運ぶトラックにひき殺される事件があり、反発が広がっている。在米のモンゴル系団体によると、25日に学生ら数千人が地元政府前で抗議したほか、30日には在外のモンゴル人住民による抗議活動が呼びかけられている。
 国営新華社通信によると、同自治区東部のシリンゴルの草原部では、一帯を走り抜けるトラックによる騒音や粉じん被害が出ていた。今月10日、通行を阻止しようとした遊牧民にトラックが突っ込み、約150メートル引きずってひき殺した。
 地元当局は運転手ら2人を逮捕したが、事件を知った地元住民らが反発。在米の南モンゴル人権情報センターによると、この地方の中心都市シリンホトで25日朝、約2千人の高校生らが地元政府前に集まり、モンゴル族住民の人権や尊厳を守るよう抗議した。地元住民が撮影した写真を同センターが公開した。26日も近くの町で遊牧民による抗議活動が起きた。(広州=林望)

5月27日の東京新聞(中日新聞)朝刊にも地図つきで詳しく経緯が出ていますが、ネットには流れていないようです。


 このことに呼応した中国政府への抗議活動が、5月30日(月)に世界各地で計画されており、日本でも、東京の中国大使館前への集合を呼びかけるメールや掲示板投稿が回っています。
 5/30東京大使館前抗議を呼びかける書き込み(一部)
 ・在日モンゴル人の抗議活動(座り込み)のお知らせ(在日モンゴル人自由談話室)
 ・在日モンゴル人の抗議活動(座り込み)のお知らせ(バー・ボルドーオフィシャルブログ)


5月30日世界同時抗議の背景

 5月10日に事件があり、遺族らの告発で5月18日に海外の民主系ニュースブログで詳細が報じられた後、5月20日にブログ「南蒙古時事評論」に「すべてのモンゴル人は5月30日にフフホトで決起せよ」という檄文が掲載されました。原文は中国内のインターネット掲示板に書き込まれたモンゴル語のメッセージで、この画像を貼り、中国語の訳をつけた檄文でした。
 *画像は割と小さく見えるので、もしかしたらタブレット型PCのようなものかも。最初に見たときは携帯電話のショートメールかと思ったのですが、モンゴル文字(正確にはウイグル文字)を表示できる携帯電話はまだないそうです。縦書き文字は横に倒して表示するんですね。なるほどなあ。画像を転載した中国語ブログなどでは、縦書きであるのを知らないようで、画像を90度ひっくり返して掲載しているものも見られます。

 南蒙古時事評論に載った檄文は、「ジャスミン革命2号発起人」を名乗る匿名ブログや民主系サイトに転載され、またたくまに広まりました。携帯電話のショートメールなどでも伝言ゲーム式に広まったと見られます。
 5月23日に、日本語に訳された文章が「在日モンゴル人自由談話室」(No.3328 - 2011/05/23 12:54:48)や「南モンゴルに自由を」(No.1305 - 2011/05/23 12:56:22)など在日モンゴル人向けの掲示板に転載された時には、「参加する大学:内蒙古大学,内蒙古師範大学,内蒙古民族学院,内蒙古工業大学,内蒙古徳徳馬芸術学校等」という1文が既に追加され、呼応した学生がいることがうかがえる内容になっていました。

 上記の在日モンゴル人向け掲示板ではたちまち「日本からも同じ日にモンゴル人を応援すべきだ」という返信がついています。同じ思いは世界各地のモンゴル人が抱いたようで、5月25日のRFA(ラジオ・フリー・アジア)中国語版の記事「蒙古族牧民因保護草場被害 蒙族学生游行請愿(モンゴル牧民は草原環境破壊の被害に苦しんでいる―学生デモは訴える)」(ドイツ発)では、ドイツ在住のモンゴル人民主活動家がインタビューに答え、「5月30日には世界中の亡命モンゴル人が結集して立ち上がり、東京、ロンドン、ストックホルムほかドイツの数カ所の都市で抗議活動が行われる予定だ」と話したことが報じられています。25日の段階で、東京で抗議活動をする方針が既に決定し、それがモンゴル人のネットワークでドイツまで伝わっていることがわかります。

 そもそもの、「5月30日にデモを」という匿名の呼び掛けは、今年2月に同じく匿名で展開されたいわゆる「中国ジャスミン革命」と同じ手法と効果*を狙ったものだと思います。けれど現実には、事態はもっと急速に激しく進展し、23日に牧畜民が、25日に民族学校の学生たちが実際に立ち上がりました。26日、27日も、一つの町の抗議活動が隣の町に波及する形で抗議が広がり続けている状況です。
 モンゴルの人たちの怒りは、ネット空間のバーチャルな攪乱戦などで収まるものではなかった、それまでに積み重なり溜めこまれ、押さえつけられてきた膨大な憤りが文字通り突沸を起こしたのだと思います。それは、おそらく(このまま収束する前に機に乗じようと攪乱作戦を思いついた)匿名の仕掛け人の思惑も超える怒りだったと思います。

*日時と場所を指定して「デモがあるぞ」とインターネットで話を広め、政府当局には警戒のための人的コストを割かせ、当日は実際にそこでデモが起きようと起きまいと、メディアを巻き込んだ話題作りを先行させ、自分たちの訴えを周知させる手法

 フフホト(モンゴル自治区の区都)での一斉決起を呼びかける匿名のインターネット檄文が先にあり、その呼び掛けに呼応する世界同時行動なので5月30日という日付が優先されるわけですが、個人的には、どうせなら土日にしてくれたほうが日本では人が集まりやすいのに~、などと、匿名の――おそらく内モンゴル本土の――仕掛け人に対してひとこと言いたく(ry(冗談です)。
 授業を休んだり、有休を申請したり、「学校や仕事を休んで1台の車に定員ぎりぎり乗り合わせて4時間かけて上京します」「関西では抗議活動の予定がないことを知って大阪から安い切符で上京します」なんて話を漏れ聞いたり掲示板で目にして涙が出てきそうです


事件について詳しく(ご存じない方のために)

 5月10日、内モンゴル・シリンゴル盟の草原で、牧畜を営むメルゲン(メリゲン)さんという35歳の男性が、大型トラックにひき殺される凄惨な事件が起きました。
201105180000china2  道路も鉄道もないこのエリアでは近年、炭鉱の露天掘り開発が進められ、環境破壊が問題となっていました。炭鉱掘削の粉塵で空が黄色くかすみ(左写真)、大気汚染は家の中でも咳き込むほどで、連日、石炭を満載した大型トラック200台以上が草原を縦横に行き来するため草原の土壌はむき出しに。地元のモンゴル人は乱開発への反対運動を起こしていて、メルゲンさんはその中心的人物だったそうです。

 メルゲンさんたち西ウジムチン旗ホルトゴルソムの住民は、去年から、地方政府に「トラックが通行する部分を限定して舗装道路に整備して、草原への侵入を禁じ、放牧地を守ってほしい」と何度も陳情を繰り返していました。しかし事態は改善されず、草原の悪化は進み、ついに今年4月27日からは、村の住民30~40人が自家用トラクターを横付けして、トラックの出入りを妨害する実力行使に出ていました。

 5月10日夜、通行を妨害されているトラック運転手とメルゲンさんたちが口論となり、仲裁のために警察も駆けつけて立ち会う騒ぎとなりました。
 このとき、漢人のトラック運転手は
 「こっちは保険に入っている。くさいモンゴル人の命(=賠償金)など40万元程度のものだ。できないと思うな」
と言い放ち、巨大な24㌧トラックを急発進させたといいます。メルゲンさんは大型の車輪に巻き込まれて150mほども引きずられ、即死しました。村の住民数十人と家族、親戚、警察の目の前で行われた惨劇でした。

 居合わせた人たちは、トラックに追いついて車輪の下のメルゲンさんを救い出そうとしましたが、全身の骨が折れ、頭部はすりつぶされたように原型をとどめていない、変わり果てた姿になっていました。
 メルゲンさんは35歳、妻と2人の子供がいて、末の子はまだ3歳。父親は既に亡く、母親は64歳と伝えられます。

 同様の、トラックによる故意のひき殺し事件は、昨年12月、浙江省の村で、強制立ち退きに反対していた村長が白昼ひき殺されたにも関わらず、警察は「交通事故」として処理し、不公平感が強く残り、社会問題となった事件が記憶に新しいところです。

 この時、警察官も臨場していながらトラック運転手は現場から逃走に成功しています(翌日逮捕)。掲示板の書き込みとして伝わる未確認情報によると、事故翌日の5月11日に現場を訪れたホルトゴル鎮の幹部は、お悔やみをいうどころか「なんの権限があって石炭輸送トラックの通行を妨害しているのか」と地元牧民を責め立て、翌12日から石炭輸送トラックが侵入再開。しかし牧民たちは通行妨害を継続し、(鎮より上の行政組織の)西ウジムチン旗政府が役人を派遣して、数日中にメルゲンさんの事件を解決すると回答した、という話が伝わっています。
 このままでは単なる交通事故として片付けられ、すべてがうやむやにされてしまうと考えた遺族や関係者は、環境破壊を放置した当局の責任を追及することを決意し、中国語やパソコンができる人を頼って現場の遺体写真を中国内SNSやfacebookに送って広め、海外メディアの記者に伝えようとしたものとみられます。

 (5月15日、同じシリンゴル盟のアバグ旗でも炭鉱開発企業と地元住民との紛争が起き、乱闘になってモンゴル人青年が死亡するという別の事件も発生しました→アバグ旗の事件について

 5月18日、在米中国人が運営するニュースサイト「博訊」に記事が出て、事件が明るみになりました。(上記の事件詳細も、主にこの博訊記事に基づいたものです)

その記事(博訊5/18)(凄惨な写真あり、閲覧注意)
http://www.peacehall.com/news/gb/china/2011/05/201105180000.shtml
5/18RFA「草原を守ろうとしたモンゴル牧畜民ひかれ死亡 河南省では同様の犯行に懲役4年」
http://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/cao-05182011153056.html

 5月20日、「モンゴル人はフフホトで30日に決起せよ」という檄文がインターネットに流れました。

 5月20日、事件に関する、西ウジムチン旗の5月19日付け通知が公式サイトで告知されました。メルゲンさんの事件(5.11案件)に対する対応として公式発表されたものです。(元アドレスはhttp://www.xwq.gov.cn/tzgg_0/201105/t20110519_657591.html 、現在はNot Foundになっています。キャッシュをスクリーンショットしたものがこちら 。文章はあちこちに複写され、中国国内のサーバーの掲示板にあるものは軒並み削除されています)
 概要は「(1)簡易道路(石炭運搬トラックが侵入している草地を指すと思われる)は本来的には草原として供されるものであり、補償金を支払う(2)ジリンゴル2号露天掘り炭鉱有限会社と牧民は協議に調印し、粉塵被害対策のための散水に使用する補償金を受け取る(3)損壊したフェンスの補修費用はジリンゴル2号露天堀炭鉱有限会社が負担する(4)ジリンゴル2号露天掘炭鉱有限会社は輸送車両の交通規範を厳しく監督する(5)ジリンゴル炭鉱採掘地区の周辺20万亩(ムー、1mu=1/15haなので、13333.3ha)を段階的に遊牧禁止とする」
 QQや携帯SMSでこの内容が現地の牧畜民の間にも広まり、特に、地元住民には何の連絡も反論の機会もなく一方的に禁牧が決定された第5項に対して、大きな怒りと反発が起こりました。

 5月22日博訊の記事によると、シリンゴル盟西ウジムチン旗政府の役人2人がメルゲンさん宅を訪れ、遺族に56万元を渡して事態の収束を図りました。「交通事故の賠償金は通例20~30万元にすぎず、それも長い裁判が終わった後でないと支払われないのだから、この金額は破格の扱いだ」と言われたといいます。
 記事では、賠償交渉は前日21日にも行われていて、住宅の提供や遺児の学費、未亡人の年金保障など、57万元以外のさまざまな条件も提示されたとしています。
 けれど、『交通事故の補償』として57万元が渡されたという話が伝わると、「犯人たちがうそぶいた『おまえらの命の値段は40万元』とそう変わらない、これほど命は安いのか」「メルゲンは事故死ではない、殺されたのだ」という反発も広がりました。

 5月23日午前、メルゲンさんの出身ホルトゴルソムなど4カ所のソムの人たちが、西ウジムチン247208_217356611622714_1000004513_2旗政府庁舎のあるバヤンウルホト鎮に集まりました。
 牧畜民たちは、メルゲンさんの死は事故でなく殺人である、246796_217357378289304_1000004513_2 逮捕した運転手をすぐに死刑にしろ、と訴え、「メルゲンの代わりに正義を取り戻す」「メルゲンは草原の英雄である」と役場を目指しました。
 RFA報道や掲示板への書き込みによると、現場には数百人の軍と警察が駆けつけて大通りを封鎖。役場へ向かおうとする牧民たちは暴行を加えられ、少なくとも学生1人、牧民3人の計4人が身柄拘束されました。

 5月24日深夜、政府の調整役がメルゲンさん宅を訪れ、メルゲンさんの遺体を火葬する必要があると迫りました。RFA報道によれば、政府担当者は夜通し遺族に対して火葬の許可を求め、おそらく、70平方mの新居の提供や轢いた犯人は必ず死刑にするなどの口約束をして、母親と未亡人に火葬の許可を迫り、最終的に遺族が同意したとたん、5月25日午前3時ごろには遺体を火葬場に運び入れ、午前5時には西ウジムチン旗火葬場からふもとの村に遺骨を運び出し、直接墓地に埋葬した、とされます。
 それまでの報道によるとメルゲンさんの遺体は「遺族が求めても遺族の元には返されず、病院の玄関に置かれたまま」だったといいます。
 メルゲンさんの遺体が慌ただしく火葬されたことが伝わると、「政府はなぜそんなに急に埋葬を急いだのか」「何かを隠蔽したのではないか」と反発が広がりました。

 メルゲンさんは仏教徒じゃなかったのかな、供養はしてもらえたのだろうか、クショはいたのだろうか、と些末なことが気になる私。

 5月25日午前8時ごろ、シリンゴル盟の行政府所在地シリンホト市の役場前に向かっHerders_protest_0525_1て、シリンホ247858_148350448570976_100001880667トの民族中学(シリンゴル盟モンゴル中学、シリンホト市モンゴル中学、シリンゴル盟職業学校)の中学高校生たち(※中国の中学は中高一貫制)が大通りを歩き始めます。草原を守り、メルゲンさんの名誉を回復するよう求める要請文を渡しました。
 RFA記事によると、「2000人を超える学生が盟役場前で要望書を渡そうと249330_148350108571010_100001880667すると、最初は漢人の幹部が出てきて中国語で応対した。学生たちは怒りまくり、モンゴル語で話せ、と詰め寄った。しばらくして副盟長(民族地区の『副』はたいてい少数民族)が出てきて応対し、善処すると伝え、学生たちは解07193 散に応じた」といいます。この記事によると、学生たちが提出した、モンゴル語で書かれた要望書は、「金銭の問題ではない、メリゲンさんは草原を守った民族の英雄だ、現代のガーダー・メイリン*として顕彰し、草原に記念碑を建てろ」と求めているそうです。
Herders_protest_0525_10  ちなみに、要望書の内容は、南モンゴル人権情報センター(米ニューヨーク)の5/25発表(英語)を訳した在日モンゴル人自由談話室の書き込みによると、「1.メルゲンさんの事件の補償を誠実に行うこと。2.地元の牧民が中国人坑夫に撲殺されたアバガ旗の事件を適切に解決すること。3.将来にわたってモンゴル人の牧民の権利を尊重するために、これらの事件について公営の地元メディアに報道させること」となっています。(ちょっと食い違います。学生たちの持参した要望書がこれなのかしら[モンゴル語]

*ガーダー・メイリン(嘎達梅林/Gaadaa Meiren:1892-1931、「防衛隊長の末っ子」を意味する通称)清朝~民国時代にホルチンで漢人の入植に抵抗し武装蜂起したモンゴル人。(wikiには「民族の英雄として有名な民謡が伝わるが放送禁止」と書かれてて、えっ、そんな人に例えてしまっていいの、環境破壊に抗議、という大義名分であれば当局も「それがいかん」とは言えないだろうのに、敢えてかつて武装蜂起した独立の闘士になぞらえて功績を讃えるなんて、国家分裂扇動なんちゃらの口実で怖いことになるのではないの、とぎょっとした……)

| | Comments (2) | TrackBack (0)

2011.05.10

[5月9日VOT訳]中国当局、ンガバ中高生への管理強化

 ドル・ツルティム関連と同じ日に更新されたボイス・オブ・チベットに、ンガバの新しい関連情報が入っていたので、ついでに粗訳。

查看大图


当局、阿壩民族高中の管理強化

 【ボイス・オブ・チベット(ノルウェー)5月9日報道】チベット、アムドにある阿壩州民族高級中学*1は中国共産党の軍と警察の厳しいコントロール下に置かれており、当局はンガバ出身の学生を帰省させてはならないと命じている。

*1:阿壩はンガバの中国語名(音写)。高級中学(高中)は日本の中学~高校にあたる(中高一貫の6年制学校)。州の拠点校として、州全体から学生が集まる進学校(のはず)。阿壩州の役場があるバルカムにあり、ンガバからは200km以上離れている。

 ダラムサラ・キルティ僧院のチベット本土緊急情報収集本部メンバーのツェリンは本放送局に次のように説明する。
 (録音談話)「中国共産党政府は先月(2011年4月)22日、阿壩州民族高中の学生が使用している教材と副読本の抜き打ち検査を行い、政府の検閲を受けていないという口実で多くの学習教材や副読本が没収され、焼き捨てられた。さらに当局は学生に対し、今後、政府の認可を受けていない書籍の所持や使用は許されないと命じた」
 「阿壩州民族高中の学生は今年3月17日にハンガーストライキを行った。キルティ僧院の僧侶プンツォが民族の自由を訴えて焼身自殺を選んだことに共感と支持を表明したのだ。同時に、何一つ武器を持たないンガバのチベット人に武装した軍と警察を差し向けて殴打して逮捕拘束した後、学校のインターネットがブロックされ、教師や学生の携帯電話までもすべて没収されて、学生たちが外界と一切の連絡をとれなくさせられたことに対して抗議するものだった」
 またツェリンは次のように語った。(録音談話)「中国共産党政府は現在も、ンガバ出身の学生に対する『無期限帰省差し止め』を強く命じている。このため、彼らンガバ出身の学生たちは、今年の夏期休暇をキャンパスから出られずに過ごすことになりそうだ」

 ツェリンによると、今年33歳になるンガバのチベット人チュギャムツァン(Chogyam Tsang/曲堅)は先月(2011年4月)15日に消息を絶ってから一切の連絡が取れていなかったが、今月(5月)3日ごろ、成都市公安局と安全部の人間がンガバを訪れ、チュギャルの自宅などを捜索したことから、家族らは彼が成都で身柄を拘束されているのではないかと推測している。このほか、今年3月16日に公安に拘束された多数のチベット人のなかの1人に、ケルサン(Kelsang/格桑)という若いチベット人が含まれていることが分かっている。

 またツェリンによれば、中国共産党政府は先月(4月)18日、身分証を携帯した50歳から60歳のチベット人女性に限ってキルティ僧院内に入ることを許可したが、今月(5月)6日から再び新しい規定が定められ、今度は、僧院内に入ることができるのは1週間に1回のみ、かつ、すべての僧坊に軍と警察と公安局員が一律に配置され駐留することが決められた。このほか、当局はンガバのンガチュカ=音訳・阿曲卡=のある建物の中にたくさんのチベット人高齢者を集め、いわゆる“教育活動”を進めている。

中共加紧管控阿坝民族高级中学
【挪威西藏之声5月9日报导】位于西藏安多的阿坝州民族高级中学正处于中共军警的严密管控中,当局还下令来自阿坝县的学生不得返回家乡。
达兰萨拉格德寺西藏境内紧急情况联络小组成员次仁向本台介绍说,(录音)中共政府于上月22日,对阿坝州民族高级中学的学生课本和阅读书刊进行突击检查,没收并焚烧了很多被称是未经官方许可的书本。当局还责令学生在将来不得使用和收藏没有官方许可的书籍。
阿坝州民族高级中学学生于今年3月17日进行绝食活动,对格德寺僧人平措为民族自由事业选择自焚表达支持和声援,与此同时,抗议中共政府派遣军警对阿坝县手无寸铁的藏人进行打压和拘捕后,当局曾屏蔽了学校网络,没收师生的手机,禁止学生与外界联系等。
次仁说,(录音)中共政府还强令来自阿坝县的学生“无限期禁止返家”,因此,这些学生将有可能在学校中度过今年的夏季假日。
次仁表示,阿坝县现年33岁的藏人曲坚于上月15日失踪后,一直下落不明,但是本月3日左右,成都市公安和安全人员来到阿坝县,对曲坚的住所进行搜查,于是其家属猜测他被关押在成都市。此外,今年3月16日,遭中共公安拘捕的多名藏人中,已得知有一名叫格桑的年轻藏人。
次仁还说,上月18日,中共政府允许50至60岁的西藏妇女凭持身份证,进入阿坝格德寺内,但是从本月6日开始,当局又规定新的措施,允许在一周内只进寺一次,并对每间僧舍统一安排军警和公安人员进行驻守。此外,中共当局还在阿坝县阿曲卡(译音)一院子里召集很多西藏老年人进行所谓的教育活动。
http://www.vot.org/text_simple.html

 ほぼ同内容の英文記事(パユルが同一情報源を取材)はこちら→Tibetan man missing in Ngaba, authorities in Barkham grill students (2011.05.09)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2011.05.09

[5月9日VOT訳]チベット人僧侶作家ドクル・ツルティムに実刑4年6月

チベット人僧侶作家ドクル・ツルティムに実刑
(ボイス・オブ・チベット中国語スクリプト版「西藏之声」2011年5月9日更新より)

 【ボイス・オブ・チベット(ノルウェー)5月9日報道】ここ数年、チベット本土で文化知識人が相次いで中国政府の政治的迫害に遭うなか、最近また1人の僧侶作家に判決が下された。
0705b_2  インド在住のあるチベット人が本放送局に明らかにしたところによると、中国共産党の馬爾康県地裁でこのほど、国家分裂扇動罪に問われたチベット人僧侶で作家のドクル・ツルティム(Dokru Tsultrim/卓日•次成)に対する判決公判があり、4年6月の実刑が言い渡された。近く成都の刑務所の一つに身柄を移され服役することになるとみられる。
 ドクル・ツルティムは昨年(2010年)5月24日、チベット、ンガバのゴマン寺院(Gomang Monastery/果芒寺)で身柄拘束された。彼は2009年4月2日ごろ、編集した文章が政治的に敏感な問題に触れたという指摘を受け、同時に1カ月以上も身柄を拘束されていた。同年、中国共産党当局は、彼が自費出版した文芸誌「雪の生命」をも発禁処分とした。
 伝えられるところでは、判決を受けた僧侶作家ドクル・ツルティムは、今年28歳、チベット、アムド地方のツォロ(青海省海南州貴南県茫拉郷)の出身という。

西藏僧人作家卓日•次成被判刑

【挪威西藏之声5月9日报导】近年来西藏境内的知识界人士陆续遭到中共政府的政治迫害,近日又有一名僧人作家被判刑。

西藏僧人作家卓日•次成

居住在印度的一名藏人向本台透露,所谓中共马尔康县法院于近日以指控涉嫌煽动分裂国家罪,对西藏僧人作家卓日•次成,判处4年6个月有期徒刑,并计划将押送到成都一家监狱中服刑。
卓日•次成于去年5月24日在西藏阿坝州果芒寺中被拘捕。他在2009年4月2日左右,曾被指控其撰写的文章涉嫌政治敏感问题,也遭到一个多月的强行拘押,当年中共当局还禁止出版他私办的文学报纸《雪之生命》。
据了解,被判刑的西藏僧人作家卓日•次成,现年28岁,是西藏安多海南州茫拉(贵南)县人。
http://www.vot.org/text_simple.html

| | Comments (0) | TrackBack (0)

より以前の記事一覧